No.3ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
追加のご質問をいただいていましたね。
やはり、トリチェリの実験の本質部分というよりは、パスカルの原理(定理)の問題のようで・・・。
(実は私もかつて理解に苦しんだところです)
次のような説明ではいかがでしょう。
ポイントは、「”圧力”は本当は、あくまでも”単位面積当たり”に着目しなければいけない。なお、力の問題としてはテコの原理に近い」
まず、”圧力”の理解は「お皿に立てた管」だと理解が難しいのでやはりいったんU字管で考えましょう。
単純なU字管なら、入れた水の水面は左(仮にA管)も右(仮にB管)も同じ高さになることは直感的にも納得できるでしょうし、その際には、両管の水面の圧力は同じで、大気圧に等しいことも何とか理解できるでしょう。
従って、仮にB管に空気ポンプで少しだけ高い空気圧を加えると、B管の水面が下がりA管の水面が上がりますね。その際、「B管の水面を押す圧力(※)は、A管側の同じ高さから上の部分の水の重さ(+大気圧)による圧力(※)に等しい」ことも推定できるかと思います。
(でもこの表現の※のついた「圧力」の言葉に罠があります。)
途中で太さが変わるU字管を想像してみましょう。ラッパ状の管(テーパ管)をU字型に曲げることを想像しても良いですし、細い管と太い管を途中でつないだ管(段付き管)をU字型に曲げたものを想像しても良いですが、ひとまず段付き管にしてみましょう。
この変則のU字管に水を入れても、細いA管と太いB管の水面の高さは変わらないのは理解出来るでしょう。一方、A管、B管両方の水面に、断面にぴったり大きさの板を浮かべてオモリを乗せると・・・
もし、A管の断面が1平方センチ、B管の断面が10平方センチだったとすると、A管100gでB管では1kg(1000g)の重さを支えることができます。あれ?「圧力は同一」ではないの?
このとき、「単位面積当たりの圧力」(単位圧力)と「面全体の圧力の合計としての支える力」(合計圧力)とを分けて考える必要があることにお気づきでしょう。
A管の水面も、B管の水面も、「単位面積当たりの圧力」は、100g/平方センチ。でも合計圧力はA管は100g、B管は1000gになります。
これがパスカルの原理の楽しいところであり、自動車整備工場の自動車を持ち上げる油圧ジャッキで利用されている便利な原理です。
細いシリンダ(頑丈な管)に付けたピストンを人間の力で10kgの力で押したら、その先の太いシリンダに付けたピストンの上に載せた1t(1000kg)の自動車を持ち上げることができる・・・
大変に不思議な現象でもありますが、他方でこれは、テコの原理とそっくりです。
支点から長い棒を100gの力で押しても短い棒の先にある1000gの荷物を持ち上げることができる。
(その代わり、ストローク(動かす距離)は、長い棒を大きく動かしても短い棒の先は少ししか動かない。この点も油圧ジャッキも同じ。)
なお、テコの原理の応用で考えると、追加質問の「普通に出てくるような容器を使ったものだと容器上面に働く力はどこで打ち消されるのでしょうか」については、次の2つのステップの答えになります。
・大きな面の大きな力(合計圧力)と、小さな面の小さな力は、テコと同様にバランスできる。テコでは「モーメント」が、U字管やお皿上の管では単位圧力が、これを変換する。
・作用・反作用の見方では両端の二つの力がバランスすると考えてはダメ。どちらも下向きベクトルであり、単純な反作用関係にはならない。結局はお皿・U字管の底(テコの原理では支点)が、両端の荷重を両方とも支えている。
いかがでしょうか。
最後に、いちどU字管から「お皿」のイメージへの展開もしてみましょう。
U字管のイメージの中で、太いB管の断面(水面)を変形させ、楕円にします。(でも、水面の高さ・単位圧力は変わらない)
さらに変形させて、A管を取り囲む「C」の形にします。(でもやはり高さなどは変わらない)
さらに変形させて、A管を取り囲むリング状にして・・・その上でA管とリング(B管)の間の空間に溶けたプラスチックを流し込んで一体の壁にして・・・リングの「幅」を広げながらA管とリングの中間の壁の厚さを薄くすると・・・「お皿に立てた管」の形になりますね。
これで基本原理としてはU字管と、物理的に(圧力の点では)同じであることは理解できますでしょうか。(”トポロジーが同じ”と言います)
さてさて、再びすっかり長くなってしまいましたがいかがでしょうか。
お役に立てば幸です。
No.2
- 回答日時:
こんにちは。
ご質問には必要なキーワードがほとんど入っていて既にほとんどご理解のように見受けられるため、かえってご質問の意図がわからないのですが、次のようなアドバイスは役に立つでしょうか。
ポイントは、「”水銀の柱の重さ”を大気が支えているので、重さと圧力が釣り合っている」
さて、次のモデルで説明したとき、ご質問の意図との間で”ひっかかる”ところはありますか?
(1) 長いシリンダーの真ん中に1円玉で仕切りを付け、片側を真空にする
内径が1円玉と同じ長い固い管(シリンダー)の真ん中に、空気が漏れないようにぴったりと1円玉を押し込んだモデルを考えます。
片側の切り口にキャップをした上で、そちら側の空間の空気を空気ポンプで抜くと1円玉(ピストン)はそちらに引き寄せられますね。
そちらの空間「真空室」となるからですが、でもこれは、真空(空気ポンプ)が1円玉を引き寄せたわけではないのはご理解でしょう。
「真空は何もしない」が、大気(空気室)は「押して押して押しまくる」ので1円玉が動くのです。
(2) 管を縦にして、1円玉に重りをつり下げる
1円玉が真空室側に移動するのを止めるため、真空室を上にして管を立てるとともに、1円玉にヒモを付けてその先にオモリをぶらさげます。
十分重いずしりとしたオモリをぶらさげると、1円玉が移動するのを止めることができます。ぴたりと止まれば1円玉分の面積にかかる大気圧による「押し上げる力とオモリの重さの釣り合い」であることはお気づきでしょう。管が太くて500円玉をはめ込んであれば、面積が大きい分だけ釣り合いのオモリは重くなりますね。
(3) 上記の実験は、実際には難しい。
上記の実験では高性能真空ポンプが必要な上に1円玉ピストンからはどうしても空気がもれてしまいます。さらにオモリがぴったりの重さからわずかでも重すぎれば、1円玉ピストンはどんどん下に下がってやがて外れてしまいます。(真空室が大きくなると途中で止まる気がすかもしれないが、「真空はなにもしない」ので真空室が大きくなっても「重すぎる」バランスは変わらない)
(4) そこで、1円玉とオモリの代わりに「液体」を使う
そこで、1円玉の代わりに、「管に液体を詰めて立てる」実験にします。管が長いとずしりとした重さの液柱を立てることになります。このとき、仮に液柱の底面が崩れず(空気室側の面からちょろちょろ流れ出さず)液柱の形が維持できた場合には底面(空気室側)の空気圧が液柱を支ようとすることになりますが、もし、液柱が相当に高く重ければ底面の圧力だけでは液柱の重さを支えられずに液柱は下に下がり、最頂部には自動的に「真空室」が発生します。
(真空ポンプなしに真空が作れる(当時の大発見!)上、液体の密着性で隙間から空気が漏れ込むこともない)
真空室が発生したとしても液柱が重すぎると液柱はどんどん下に下がります。しかし、液体は管から出たところで外に発散してしまい失われます。いわば、「下がるほど液柱が短くなって軽くなる」。したがって、どこかで「自動的に釣り合い」ます。この高さは水銀ならば約76cm、水ならば約10mです。
(トリチェリの実験では管の下にお皿があって理解を難しくしているが、基本的には管と液柱と下から支える大気だけを考えると「釣り合い」が理解しやすい。なお、管の太さによって釣り合う液柱の高さも変わる気がするが、例えば断面が1平方センチの管と2平方センチの管では、太さ(断面積)が2倍になって大気圧による支える力が2倍になると同時に、同じ高さの液柱の重さも2倍になるので、高さそのものは変わらない)
(5) 液柱の下面が崩れるのを防ぐために、お皿やU字管にする。
現実には管で液柱を作った場合には底面は崩れやすくなります。そこで、底面にお皿やU字管を設け、そこで溜まった液体の液面(大気との接触面)の高さを基準として液柱の高さを示した説明が描かれますが、これが意外に納得しにくいところでしょう。質問者さんのご指摘のパスカルの原理はやっとここで出てきます(基本的にはトリチェリの実験の本質は上記(4)までで説明が終わるのでパスカルの原理とは無関係)。
私も説明しにくいのですが、次のように説明してみましょう。
「U字管では両側の液面は当然同じ高さとなって動かない。でも、説明を変えると、両端の液面にかかっている圧力が同じ1気圧の大気圧だから液面が動かない。従って、お皿にせよ、U字管にせよ、大気との接触面の高さにある部分の圧力は大気圧に等しいので、トリチェリの実験ではその高さから上の部分の液柱の重さ(と、液柱の断面積)を算出すれば大気圧が算出できる」
さてさて、ご質問の趣旨がわからずにすっかり長くなってしまいましたがいかがでしょうか。
お役に立てば幸です。
この回答への補足
質問の意図は、「なぜ「水銀柱の重さ=大気が容器上面の水銀を押す力」ではなく、「水銀柱の重さ=水銀柱の底面と同じ大きさの面に待機が及ぼす力」つまり「水銀柱の重さ÷柱の底面積=大気圧」なのか」ということです。
U字肝を使うなら納得できますが、普通に出てくるような容器を使ったものだと容器上面に働く力はどこで打ち消されるのでしょうか?
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