
民法188条と186条1項に違い(関係)が理解できません。
たとえば、即時取得(192条)の場合には188条によって無過失が推定されるのにもかかわらず、短期取得時効(162条2項)の場合には188条によって無過失が推定されないのはなぜなのでしょうか。
ご教示よろしくお願いいたします。
【参考】
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
第百八十六条 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
2 前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。
第百八十八条 占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。
第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
※〔即時取得(192条)の場合〕
「取引行為」である。
188条「占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。」より、「前占有者」の「占有」は、適法に有するものと推定されるので、「即時取得者」は、「『前占有者が占有物を適法に占有している。』と信じて、その前占有者から占有物を取得する。」のが自然である。
↓
「即時取得者」は、無過失と推定される。
※〔取得時効(162条2項)の場合〕
「取引行為」ではない。
時効取得者は、「『前占有者が占有物を適法に占有している。』と信じて、その前占有者から占有物を取得した。」のではなく、勝手に占有したのであり、188条「占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。」は、適用されない。
↓
「時効取得者」は、無過失と推定されない。
そのとおりです。
No.2
- 回答日時:
>即時取得(192条)の場合には188条によって無過失が推定される
即時取得は「取引行為」に適用されますから、即時取得者の前者は「占有している」「占有者」です。
即時取得者の前者の「占有」について、民法188条が適用されますから、即時取得(192条)の場合には188条によって無過失が推定されます。
上記は形式的な理由です。実質的には即時取得が取引の安全を図る制度だから、無過失の立証責任を即時取得者に負わせるのは妥当でないという実質的判断があります。
>短期取得時効(162条2項)の場合には188条によって無過失が推定されない
取得時効の場合の典型は、他人の土地を間違って自分の土地と思って建物を建てたという場合です。ここでは、前者の「占有」を信じたわけではありません。
したがって、即時取得とは異なり、民法188条の適用を論ずる前提がありません。
また、実質的に考えても、時効取得は、他人の物について、勝手に占有した無権限の者に権利を認める例外的制度ですから、時効取得者に無過失の立証責任を負担させる方が公平と考えられます。
この回答への補足
恐れ入ります。
つぎのとおりに理解してよいでしょうか。
188条の「占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。」の占有者の対象は、取得者の「前占有者」である。
※〔即時取得(192条)の場合〕
「取引行為」である。
188条「占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。」より、「前占有者」の「占有」は、適法に有するものと推定されるので、「即時取得者」は、「『前占有者が占有物を適法に占有している。』と信じて、その前占有者から占有物を取得する。」のが自然である。
↓
「即時取得者」は、無過失と推定される。
※〔取得時効(162条2項)の場合〕
「取引行為」ではない。
時効取得者は、「『前占有者が占有物を適法に占有している。』と信じて、その前占有者から占有物を取得した。」のではなく、勝手に占有したのであり、188条「占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。」は、適用されない。
↓
「時効取得者」は、無過失と推定されない。
No.1
- 回答日時:
192条での取得は、「動産」の「取引行為」によるので、両者の合意が合法的にあれば、即座に取得できるのは当然かと思いますが。
162条2項での取得は、元の所有者に知られることなく、所有しておこうと占有が始まってしまっただけで、十年間経ったときの、残りの要件は192条でのものと同等(動産のほか、不動産も含まれるが)かと思います。
そして、162条は、所有権の取得に関するものであり、そのほかの条項は占有者についての規定でしかなく、分離して解釈すべきものでもあります。
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