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ラマンやIR分光分析のバンドの帰属は、指紋法で帰属されているのが多いと思うのですが、
そもそもはどのように帰属されているのですか?
まず対称性から、このバンドが出現するというのが分かるのですよね。
その振動がどこに出るのかってどうやったら分かるのですか?
伸縮の場合は、換算質量と結合定数からの式があると思うのですが、
結合定数をどうやって求めているのか?
また、他の振動の場合はどうしているのか。。
理論計算から求めているのか、実際のところどうなのか教えてください。
お願いします。

A 回答 (4件)

無機化合物をご専門とされているということでしたので、有機~有機金属分野とは注目している波数領域が違っていそうです。

我々が低波数領域をあまり重視しない理由は既に述べたとおりですが、たとえば金属酸化物のような化合物なら、其の領域こそ重要なデータがあるのかもしれません。
私の書いた”指紋領域”は、あくまで有機屋の感覚でしかありません。

>例えば、A-B-Cの結合を持った化合物の場合、A-Bの結合に関する、そもそもの換算質量は、AとBの質量でよいのでしょうか? Cや周りの環境は影響しないのですか?

第一近似としてはそうするのですが、当然、周りの環境の影響はあります。
そもそも調和振動子で計算している時点で結構ずれるのですが。。。
強い結合だと調和振動子近似がわりあい成り立つのですが、金属が入った低振動数モードだとずれやすいと思います。

>また、Bが例えば別の重さを持ったDになった場合、ピーク位置は単純に換算質量の√で影響すると考えていいですか?
これも、上述のとおり、第一近似としてはそうします。
ただ、計算してみるとわかると思いますが、H>Dの置換を除き、同位体シフトの影響は非常に小さいです。
ざっくりした二原子間の調和振動近似がどこまで成り立つか・・・?他の影響が無視できない可能性があります。

>伸縮だけでなく、変角や他のモードの場合も同じようにするとして、同位体シフトを考えてよろしいのでしょうか??
これも上記のとおりなのですが、たいがい低波数モードになるほど調和振動子近似が成り立ちません。
No.2様が指摘されてますが、低波数領域では多数のカップリングしうる振動モードが存在しうるため、単純なモデルで記述するのは難しいと思われます。

>やっぱり計算しなければ、ピーク位置から化合物の情報は正確に得られないものですか?
計算しなくても、ピーク位置やそのシフトから、その化合物の情報を得られる勘所をご教授いただきたいです。宜しくお願いします。
そもそも、IRで化合物の構造情報をどこまで得られるか?という問題になります。
これは、No.2様もご指摘されていますが、普通、分子科学の人間はIR・ラマンで分子構造決定をするということはありません。外場の影響を受けすぎる・情報が多すぎる、、、いろんな原因はあると思いますが、ある特定の官能基・部分構造の情報を得ることはできますが、化合物全体の情報を得ることは極めて困難です。
繰り返しますが、”同定・構造決定に使うのは難しい”が、”ある特定の部分構造・局所構造の周囲環境を鋭敏に知ることはできうる”のがIR・ラマンだと思います。
まず、質問者様の研究対象がどのような部分構造を持っているのかを見た上で、それがIR・ラマンに活性かを調べるという順番が普通だと思います。全く未知な構造をIR・ラマンだけで決定するのは、ごく単純な分子の場合をのぞき、現在でも容易な作業ではないです。
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この回答へのお礼

>例えば、A-B-Cの結合を持った化合物の場合、A-Bの結合に関する、そもそもの換算質量は、AとBの質量でよいのでしょうか? Cや周りの環境は影響しないのですか?

第一近似としてはそうするのですが、当然、周りの環境の影響はあります。
そもそも調和振動子で計算している時点で結構ずれるのですが。。。
強い結合だと調和振動子近似がわりあい成り立つのですが、金属が入った低振動数モードだとずれやすいと思います。

→なるほどです! 共有結合ではあまり周りの影響を受けにくく、ずれもすくないが、イオン結合だと影響が大きいとは言えそうですね。すごい参考になります!


>また、Bが例えば別の重さを持ったDになった場合、ピーク位置は単純に換算質量の√で影響すると考えていいですか?
これも、上述のとおり、第一近似としてはそうします。
ただ、計算してみるとわかると思いますが、H>Dの置換を除き、同位体シフトの影響は非常に小さいです。
ざっくりした二原子間の調和振動近似がどこまで成り立つか・・・?他の影響が無視できない可能性があります。

→確かに二倍変わる水素以外はそんなに影響しないですね! ありがとうございます!


>伸縮だけでなく、変角や他のモードの場合も同じようにするとして、同位体シフトを考えてよろしいのでしょうか??
これも上記のとおりなのですが、たいがい低波数モードになるほど調和振動子近似が成り立ちません。
No.2様が指摘されてますが、低波数領域では多数のカップリングしうる振動モードが存在しうるため、単純なモデルで記述するのは難しいと思われます。

→伸縮以外では、あまり安直に考えないようにします。

phospholeさん、ほんとにご親切なご指導ありがとうございました。

お礼日時:2014/11/24 15:31

実際のIRやラマンの使い方についての観点から、回答を追加させていただきます。


まず、簡単な分子ならいざしらず、複雑な有機・無機分子の場合に指紋領域(だいたい1000ウェーブナンバー以下でしょうか)の重なりあったピークを全て分離して帰属することは、高精度の量子化学計算を組み合わせても困難なことです。また、帰属をつけたところで、この領域には科学的に面白い情報は少ないです。
一方、より高波数の領域にはC=OやO-Hといった重要な官能基の振動が出てきます。
No.1に書いたように、特徴的な領域に出てオーバーラップしにくいこと、吸収が強く観測しやすいこと、置換基や分子間相互作用の影響を明敏に表すことから、帰属は簡単に付けられますし、ピーク位置や本数、強度から化学的に重要なデータが得られます。結合の力定数も経験的に良い値が知られており、同位体置換シフトも予測がつけやすいものです。
ようするに、できるだけ簡単な分子で少しずつ構造を変えた分子の振動スペクトルをたくさん測って比較してやれば、”この官能基はこのあたりに振動が出る”といったことは分かりますし、ピーク位置からばね近似で力定数も出せるでしょう。もっとも、実際には三個以上の原子が振動に関与する場合が多いので、力定数を決めるのはそんなに容易ではないと思いますが。IRにかぎらず、たいがいのスペクトルの帰属の付け方はそんなものです。
いっぽう、最近はラマンスペクトルもよく用いられるようになりました。
いろいろな理由がありますが、我々の分野では多核錯体やクラスターのIR禁制な振動モード、それも低波数領域(600~300ウェーブナンバー)に現れるものを調べるのに重宝しています。金属間結合のように非常に弱く、同時に分極しやすい結合の振動を観測しやすいためです。それまで世の中に無かった結合の強度や次数を実験的に調べるのに重要ですが、当然データベースなどは無いのでDFT計算でシミュレートして帰属しています。
なお、物理化学の友人はIRで化合物の構造を決めています。重要なことは、彼の研究対象はせいぜい数原子からなる分子・イオンなので高精度計算で完全にシミュレートできることと、不安定・短寿命な化学種なのでIR以外の測定が難しいことです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
自分は無機化合物を研究しているのですが、指紋領域の帰属は難しいのですねw。。
やっぱり、“こういう化合物だったらorこう置換したら”こういうスペクトルが得られるというのは、簡単にイメージすることはできず、シミュレートか、多くの類似サンプルを測るしかないって感じですかね。。機会があれば言っていただいた量子化学計算ソフトにチャレンジしてみようと思います。

お礼日時:2014/10/29 06:16

#1のお答えが「常識的」なのですが、それがそうはいかないのが赤外の「呪い」なのです。


変な言葉遊びをせず簡単にすると、赤外はピークが「多過ぎる」
多いのがなぜ「呪い」かというと、エネルギー差が小さく「対称性」が等しいピーク同士が「相互作用して」とんでもない位置に移ってしまい、それがまた他のピークと相互作用する、一体どこで終わるのか……??
多分ラマンでも同じ筈。

他の領域ではピークが少ない、見てもつまらない、情報など得られない。
だけどピーク同士は相互作用しない、エネルギー準位が違い過ぎるから。
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この回答へのお礼

相互作用というものがあるのですね!。。
もっと勉強します!
ありがとうございました!

お礼日時:2014/10/29 06:18

類似した化合物についてピーク帰属が報告されている場合は、それに基づいてある程度まで自分の化合物のスペクトル帰属を付けることはできます。


カルボニル伸縮振動のように、ピーク位置が特徴的で、他のピークとかぶりにくく、さらに置換基によるピークシフトの傾向も良く調べられている場合は、データベースや教科書と比較しながら、分子構造を考えて帰属を付けられるでしょう。
しかし、データベースに情報がほとんど無い場合や、そもそも未知の化学結合を対象にする場合では、過去のデータベースはあてにできません。
また、低波数の指紋領域はピークの重なりも激しいため、重なりあったピークの中から重要な箇所を探り当てるのは容易なことではありません。

強力なピークの帰属法として、分子の一部を同位体で置換した化合物を合成し、振動ピークが同位体シフトすることを確認するやり方があります。特に、新規化学結合の振動ピークを確定させるためには、理論計算に加えて、この実験的な手法を行うことが望まれます。
この方法の問題は、分子の狙った位置に同位体(1H > 2H, 12C > 13C, 14N > 15Nなど)を導入できるか?という有機合成化学的な困難さにあります。望みの位置に同位体を入れることは、必ずしも(というか多くの場合)容易ではありません。

最近の量子化学計算ソフト(ガウシアン、ゲーメス、スパルタンなど)には、計算化学的手法にもとづいてIRスペクトル・ラマンスペクトルのピーク位置およびピーク強度を求める機能がついています。一昔前は振動モードの計算は非常に時間とマシンパワーが必要でしたが、最近ではかなり速く終わるようになりました。実際に、実験結果と比較すると、なかなか良い一致が見られます。計算の方法(ab initioかdftか、関数は何を使うか、など)に依存するので、ノウハウは必要ですが。

この回答への補足

なるほどです!
phospholeさんすごいですね!

ぜひ振動ピークの同位体シフトに関してもう少しお聞きしたいです。
例えば、A-B-Cの結合を持った化合物の場合、
A-Bの結合に関する、そもそもの換算質量は、
AとBの質量でよいのでしょうか? Cや周りの環境は影響しないのですか?
また、Bが例えば別の重さを持ったDになった場合、
ピーク位置は単純に換算質量の√で影響すると考えていいですか?
伸縮だけでなく、変角や他のモードの場合も同じようにするとして、同位体シフトを考えてよろしいのでしょうか??
やっぱり計算しなければ、ピーク位置から化合物の情報は正確に得られないものですか?
計算しなくても、ピーク位置やそのシフトから、その化合物の情報を得られる勘所をご教授いただきたいです。宜しくお願いします。

補足日時:2014/10/29 06:08
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この回答へのお礼

なるほどです!
phospholeさんすごいですね!

ぜひ振動ピークの同位体シフトに関してもう少しお聞きしたいです。
例えば、A-B-Cの結合を持った化合物の場合、
A-Bの結合に関する、そもそもの換算質量は、
AとBの質量でよいのでしょうか? Cや周りの環境は影響しないのですか?
また、Bが例えば別の重さを持ったDになった場合、
ピーク位置は単純に換算質量の√で影響すると考えていいですか?
伸縮だけでなく、変角や他のモードの場合も同じようにするとして、同位体シフトを考えてよろしいのでしょうか??
やっぱり計算しなければ、ピーク位置から化合物の情報は正確に得られないものですか?
計算しなくても、ピーク位置やそのシフトから、その化合物の情報を得られる勘所をご教授いただきたいです。宜しくお願いします。

お礼日時:2014/11/04 11:39

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