80半ばの私の友人で、若い時からクラシック音楽分野の大家が(戦後に)来日した際には、ほとんど見逃すことなく、演奏会に行ってその名演奏を聴いたそうで、その時の演奏会プログラムを今でも彼自身の宝物のように保管しておるそうです。
たとえば、カラヤンの最初の(単独)来日でN響をふった時のプログラムをはじめ、
オケの来日としては、ウィーンフィル、ベルリンフィル、コンセルトヘボー、ゲバントハウス、ニューヨークフィル、ボストン、クリーブランド、フィラデルフィア、チェコフィル、・・・・・・・のほとんどの来日公演、
イタリアオペラ(戦後初期の頃の来日、デルモナコとか、テバルディ、シミオナート、ベルゴンツィのころ)、 ブダペストカルテット、バリリカルテット、イムジチ、ローマ合奏団、・・・・・・
ディスカウ、タリアビーニ、ヒュッシュ、
ラザール・レヴィ、コルトー、オボーリン、ギーゼキング、バックハウス、ギレリス、
ケンプ、・・・・・・
シゲティ、ハイフェッツ、エルマン、コーガン、カンポーリ、グルーミオ、・・・・・
フルニエ、ピアチゴルスキー、カサド、カザルス、カサドゥシュ、シュタルケル、
マイナルディ、・・・・・・
ランパル、アーサーフィドラー、セゴビア、オリヴィエ・メシアン、ストランビンスキー、・・・・・
これらは、ほんの一部ですが、これらクラシック音楽の分野で、世にいう大家と目される音楽家の来日演奏会には、ほとんど欠かさず足を運んで聴かれたそうです。 これらの演奏会で当日会場で販売されたプログラムは、もちろん、欠かさずに手に入れており、まだ、演奏会後は、できる限り楽屋を訪ねて、買ったプログラㇺにサインをもらっているそうです。 私も何回か経験したのですが、戦後すぐの頃の演奏会では、聴衆が演奏会終了後に楽屋へ行くことは、今と違って、かなり自由でした。 それで、カラヤン、バースタイン、ヨッフム、ミュンシュ、デルモナコ、テバルディ、シミオナート、バックハウス、ケンプ、ランパル、・・・・といった超大家のサインをもらうことは、比較的容易だったようです。
ここで、お尋ねしたいのですが、今となっては、これらの一連のクラシック音楽家来日公演の演奏会プログラムは、おおよそ、どの程度の価値があるのでしょうか? もし、相当な価値があるようでしたら、一度、機会を見て、正確に鑑定してもらうとすると、どういうところへ持ち込んだらよろしいのでしょうか?
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
こんばんは。
評価や鑑定に詳しいわけではないのですが、音楽の仕事をしており、ちょっと気になったので回答させていただきます。
これは、金銭的価値はともかく、まず資料としての価値はかなり高いです。来日演奏家のプログラムをほとんど漏らすことなくそろえているとすれば、日本の演奏会史の研究資料となります。また、プログラムには日本の著名な音楽家や研究家が文章を寄稿していることも多いので、文献的な価値も出てきます。研究者が一人でこれだけの資料を集めることは不可能です。もちろん、戦後のものであれば極端に入手困難ではないので、それなりに収集している機関はあるかもしれませんが、簡単にできることではないでしょう。所有者の方にとって宝であり、その方が特にお金に変えたいという意思がないのであれば、できる限り散逸させることを避け、まとまった資料として残すべきだと思います。家族の方たちがそういうものには何の価値もないと思っているのなら勿怪の幸い(失礼!)、寄贈を考えてもよいと思います。
仮に売却処分するとした場合は、古書店に引き取ってもらうことになります。数の多さを考えれば、個人でマニア、収集家対象のネットオークションなどに出すのは不可能です。古書店で販売する場合の販売価格は、もちろん品物によって差が大きいとは思いますが、それなりの値段が付くものはあると思います。たとえば、「風船舎」という古書店が古い演奏会プログラムをネット販売していますが、下のような価格で販売しています。
ダヴィッド・オイストラッフ日本演奏会プログラム 昭和30年
4,320円
ウラディミール・アシュケナージ ピアノ演奏会プログラム 初来日 昭和40年
3,240円
レフ・オボーリン ピアノ演奏会プログラム 初来日 昭和31年
4,320円
エミール・ギレリス ピアノ演奏会プログラム 初来日 昭和32年
5,400円
ユーディ・メニューイン日本公演プログラム 於横須賀E.M.クラブ 昭和26年
10,800円
オーレル・二コレ&ジャン=ピエール・ランパル フルート合奏会プログラム 昭和43年
4,320円
アイザック・スターン日本公演プログラム 初来日 昭和28年
3,240円
以上はみなプログラムだけです。もしこれにサインが入っているとなればずっと高価になります。ただこれは販売価格で、買い取り額は当然何分の一かになるでしょう。全体の数が数百冊でサイン入りも多いとなれば、数十万ということもないとは言えませんが、バラバラに散逸してしまうことを考えると、それに見合った金額ではないと思います。
もちろん著名人のサインには、美術品としての価値もあります。東京にある輸入楽譜専門の店、アカデミア・ミュージックなどは、音楽家のオートグラフ(サイン)を収集しており、高級な額装にして販売することもあります。この場合、鑑定はアメリカのメトロポリタン美術館に依頼し、鑑定書も付けています。サインだけでも、ほかにポートレート写真を付け加えて額装にすれば、十万、二十万という商品になります。
このことを考えると、サイン入りのプロフラムには単純な研究資料とは別の価値が加わるので、どういう扱いが適当なのか判断し兼ねます。
いずれにしても、寄贈するなら一流音楽大学の図書館、もしくは公共の音楽資料館がよいでしょう。たとえば東京芸術大学の場合は、小さいながら図書館に付属の美術館がありますので、サイン入りのものなどは展示品として活用できる可能性はあります。また、音楽大学には、「楽理科」といって音楽の学術的研究を専攻するところがあるので、そういうところで教授をしている音楽学者に相談して寄贈先を考えてもらうという手もあります。音楽大学以外でしたら、たとえば民音音楽博物館とか、東京文化会館音楽資料室などが考えられます(後者ではすでにかなりのプログラムが収集されているようなので、受け入れられないかもしれません)。
民音音楽博物館
http://museum.min-on.or.jp/material.html
東京文化会館音楽資料室
http://www.t-bunka.jp/library/data.html
その他参考
風船舎
http://fusensha.ocnk.net/product-list?keyword=%E …
アカデミア・ミュージック
https://www.academia-music.com/academia/autograp …
以上、少しでも参考になりましたら幸いです。
Tastenkasten 様
たくさんの大変貴重がご意見をいただき、誠にありがとうございます。
本人は、これでお金儲けをしよう、などとは全く考えておらない様子ですので、御説のように、今後散逸しないように伝えておきましょう。 一度、機会を見て、音大の専門家の方、ないしは、公共性のある音楽資料館のようなところと相談してみましょう。 その他、多くの大変興味深い、しかも貴重な情報などをいただき、まったく感謝にたえません。 ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
No.2です。
誤字あり。「ほとんどが既に個人ですから」(誤)
↓
「ほとんどが既に故人ですから」(正)
です。
No.2
- 回答日時:
ご本人にとっては、「自分の歩んできた人生の記録」「その演奏にリアルタイムで立ち会えた思い出とその記録」「戦後日本の演奏活動の歩みと同期した自分の音楽履歴」という意味で、非常に価値があるのでしょうね、ご本人にとっての。
その演奏会に直接行けたのは、当時の音楽ファンの中でもごく限られた人だけだったでしょうから、配布されたプログラムの部数は限られたもので、かつそれに演奏家本人の直筆サインがあるものなら、ほとんどが既に個人ですから、希少価値は高いと思います。
そういう意味で、「価値」とは
・本人
・当時を知る音楽ファン
・当該演奏家のファン、あるいは個人的な知り合い
・日本の演奏史の専門家・研究家
・現在の音楽ファン
・現在の一般人
・古紙回収業者
など、立場によって様々でしょう。
「価値」とは、「需要と供給」のバランス、「売り手と買い手」がいて初めて成り立つものですから。
>正確に鑑定してもらうとすると、どういうところへ持ち込んだらよろしいのでしょうか?
ですから、そんな金銭的な「客観的価値」は存在しません。
戦後の日本の演奏史としての価値(金銭的ではなく、文化的、学術的な)は非常に高いと思いますので、公共の福祉のために、どこかの音楽大学にでも寄付されたらいかがですか?
yhr2 様
大変貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。 おっしゃる通り、将に、”その方の歩んできた人生そのもの” のようです。 ご自身は、これらの貴重なプログラムは最後まで手元に置いておきたい、と私に申しておりますので、処分するとなれば、亡くなられた後、遺品として処理することになろうかと思います。
ただし、彼のご家族(息子さん、および、娘さん夫妻)は、クラシック音楽は全くの門外漢、このような演奏会プログラムの類にはまったく価値を見いたすような方々ではないようですので、遺品整理の時は、友人として、何かお手伝い、助言差し上げることになるのか、と思慮中です。
おっしゃる通り、プログラムにある演奏家は、今は、ほとんどが故人となっておりまして、しかも、多くが歴史に名を残すような世界的な大家ですので、有意義に使っていただけるところへ、お譲りするのが適当かと思われますので、どこかの音大にでも、あたってみましょう。
ありがとうございました。
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