
今日は一日あかるくにぎやかな雪降りです
ひるすぎてから
わたくしのうちのまはりを
巨きな重いあしおとが
幾度ともなく行きすぎました
わたくしはそのたびごとに
もう一年も返事を書かないあなたがたづねて来たのだと
じぶんでじぶんに教へたのです
そしてまったく
それはあなたの またわれわれの足音でした
なぜならそれは
いっぱい積んだ梢の雪が
地面の雪に落ちるのでしたから
雪ふれば昨日のひるのわるひのき
菩薩すがたにすくと立つかな
あなたは、「冬」ですよね。「またわれわれの足音でした」の「われわれ」は何をさしているのでしょうか?「雪ふれば昨日のひるのわるひのき 菩薩すがたにすくと立つかな」の解説も出来ればよろしくお願いします。
A 回答 (1件)
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No.1
- 回答日時:
宮沢賢治は、自身の残した作品群について、「自分でも、なぜこうなったのかわからない」といった言葉を残しています。
本人もわかってるのかわかってないのかわからないようなことを、専門家や評論家も含めた私達が「これはこうだ」と言い切るのは間違っています。
その前提で、私の解釈を述べます。
「もう一年も返事を書かないあなた」とはっきりなっている点からも、「あなた」は単純に「わたくし」の知人、つまり人であることが伺えます。きっと音沙汰の無い強い不安を募らせながら待っているのでしょう。恋人や家族かもしれません。電話もネットもテレビも無い時代には、こういうことは特に多かったと思います。
じゃあなぜ、「あしおと」が「雪が地面に落ちる」音だったと言い切っているのに、その直後に「あなたの足音」そして「われわれの足音」だったと言うのか。ここが隠喩の部分だと思います。(それまでの部分は、現実ありのまま。)
「わたくし」は、「雪が落ちる」音が「あなたの足音(のよう)」であり、「われわれの足音」のようだ・・・とその時感じたということなのでしょう。
1つの可能性としては、「いっぱい積んだ梢の雪」は「日々募らせた不安感」、それが「地面の雪に落ちる」のが「(足音といった)希望だったり、不安だったり・・・時折溢れてしまう感情」のようなものではないかと、私は感じました。それが「まったく、今の私達(の心)のようだ」ということではないでしょうか。
いえもしかしたら、「あなた」がいなくなるまでの2人がそういう状況だったのかもしれません。だとすると「不安」は、お互いへの「不満」でもあるかもしれません。だとすると「あしおと」は2人の「軌跡」とも同時に受け取れますね。
「わるひのき」は「悪ひのき」だそうです。賢治はしばしば檜(と岩手で呼ばれている樹木、アスナロとも)を悪人のように擬人化した表現を用いているようで、そこに「悪」と付いているくらいですから、まぁ良くないイメージ(様相)のものではあるのでしょう。それが、雪を被ると一転「菩薩」姿のようになる。
まぁ詩はそれだけの意味ですが、「わたくし」にとっての「あなた」への思いが、ちょっとした何かをきっかけに、希望(ポジティブとか)になったり不安(ネガティヴとか)になったり・・そういった日々を「わたくし」は暮らしている(きっと「あなた」もそうだろうと思いを馳せている)・・・・ということなのでしょうか。
宮沢賢治の詩は、何を言わんとしているのか予測も及ばないほど非常に難解なものが多いです。この詩は私でも「こうじゃないか」と見解が述べられるぶん、わかり易い方だと思います。
この詩でもわかると思いますが、賢治の作品はどの部分が現実でどの部分がメタファーなのかわかりにくいものが多いんですよね。それが、なんてことない部分でも余計難しく見えてしまうこともあるように思います。
ここでは「そしてまったく それはあなたの またわれわれの足音でした」の部分だけがメタファーだと解釈すれば、よりシンプルにわかり易く解釈出来るかな、と私は判断しました。
(勿論以上は現時点での見解でしかなく、自分の心の変化や知識で、いずれ変わるかもしれません。)
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