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ritenuto(リテヌート)は「急に速度をゆるめる」という意味の速度記号と言われていますが、実際の演奏では、少々遅くなる程度だと感じています。楽譜を見てCDを聞いていると、ritenutoがたまに出てきますが、急に遅くというより、そこから速度を少々ゆるくする 程度であることが多いように思います。「急に」 というニュアンスはritenutoにあまりないと思うのですがどうでしょうか?

理論ではなく実際に演奏されている方、実情を教えてください。

A 回答 (1件)

それは日本語の訳語の読み違いです。


「急に」というのは、ritardando のように「だんだん、少しずつ遅く」ではなく、
「その箇所からすぐに遅く」という意味です。「うんと遅く」の意味ではありません。

「理論ではなく」とあるので、先に実践的なことを書きますが、
極端に遅くすることはなく、多少テンポを抑えるだけです。
もし「急にうんと遅く」なら、molto ritenuto のように書かなければいけません。

大事なのは、理論というよりもイタリア語の本来の意味です。
多くの音楽学習者は、イタリア語を学ぶわけではないので、
楽典の本などに載っている日本語訳でだけ意味を覚えます。
日本語訳の丸暗記のために、正確なニュアンスを理解していないということは、
音楽教育の現場でも問題になることです。

ritenuto には、tenuto という語が含まれていることに気が付くと思います。
音楽用語としての tenuto の意味は、「音の長さを十分保持して」です。
音符の玉の上下に引かれる短い横線も tenuto の意味です。
これは、tenére という動詞からきた言葉で、この動詞の意味は、
「持つ、つかむ」「保つ」「保存する」「引きとどめる、制止する、こらえる」などです。
それで tenuto は、「音価を十分保つ」という意味になります。

ritenuto は、動詞 ritenére の過去分詞ですが、ritenére の本来の意味は、
「考える、判断する」「抑える、引き止める」「制止する」などです。
つまり ritenuto という語には、「急に」という意味も「遅く」という意味も本来はありません。
ただ、音楽用語としては、「テンポを抑える」ことを意味するものとして使われるようになりました。

ritardando は「だんだん遅く」ですが、こちらは、
「遅れる、ぐずぐずする」という意味の動詞 ritardare からきているので、
「だんだん遅くなる」のです。

ritardando と ritenuto は、短く rit. と riten. のように表記することもあるので紛らわしく、
ritardando の「だんだん」という意味との区別をはっきりするために、
「急に」という訳語を考えたのだと思います。
本来の意味で言うなら、「ここでテンポを抑える」が正しいでしょう。
具体的にどれだけ遅くするかを示す言葉ではないので、
演奏者の解釈により幅は出ますが、いずれにしても、
もともとそれほど大きな速度変化を指示する標語ではありません。
いわゆる「テンポ・ルバート」の範囲内程度の変化と思えばよいでしょう。
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この回答へのお礼

誠にありがとうございます。納得しました。実際に演奏していると
「急に」遅く はあてはまらず 音楽的には テンポを抑える がぴったりだと
感じています。

イタリア語に関してもとてもよい分かりました。

お礼日時:2018/08/10 14:56

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