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近代以前のヨーロッパ上流階級の価値観では、結婚は「制度」であり、恋愛は「結婚制度の外で行うもの」という認識があったのです。
ですから、上流階級の既婚者が婚外恋愛をするのは、配偶者に恥をかかせない範囲であれば、夫婦ともに黙認という常識だったのです。配偶者に嫉妬する(嫉妬をあからさまに見せる)のはみっともない、という感覚さえありました。もちろん、そうは言っても貴族も人間ですから、嫉妬することもあります。配偶者の恋人に大きな顔をされ、恥をかかされることもあります。それが理由で人間関係がややこしくなることもあるのですが、現代の中流階級の価値観における「不倫」とは考え方がだいぶ違うのです。
そういう社会ですから、身分は低くても外見の良い人物が手っ取り早く成り上がるには、貴族に取り入ってそのお気に入りとなる、具体的に言えば愛人になることだったのです。
当時の結婚というのは、家と家、もっと言うと血筋と血筋の問題であり、そこに「恋愛結婚」という価値観が入る余地はありませんでした。そして当時のヨーロッパ社会での結婚とは、教会法による結婚であり、教会が認めた婚姻によって生まれた子にのみ相続権がある、という考え方です。婚外子(と見なされた子)は、教会の掟の外にいる存在であり、相続権はありません。それでも、まあ、有力な王侯貴族ならば、教会をねじ伏せて自分の婚外子を優遇することもあったのですが、婚外子はその後ろ盾を失えば、教会や世間から後ろ指を指される存在でした。
国と時代にもよりますが、貴族の婚外子は、相手の身分が低ければ相手の家で育てさせ、もちろん家の名は継がせない(継げない)ということが多いです。認知しない貴族も多かったでしょうが、認知して援助し、別の姓を与え、貴族の子としての体裁が整う程度には環境を整えてやる王侯貴族もいます。それでも、教会法の関係で、婚外子には相続権はありません。親が生前にいくばくかの贈与をしてやるのが普通だったかと思います。
妻の側が不倫の子を産んだ場合、揉めることがありますね。妻がこっそり外で秘密に産むこともあれば(そして里子に出す)、「夫の子」として産むこともあったようです。
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