
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
日本における外国語学習の黎明期(つまり江戸時代後期から明治時代前期)には、オランダ語や英語の学習法として漢文の書き下しを手本にしたやり方が編み出されていたそうです(ただし訓点を付けるなどの方法ではなく、単語ごとに読む順番の番号を振る形だったようです)。
これは別宮貞徳先生の『翻訳読本―初心者のための八章』 (講談社現代新書 540、1979年)で知ったことですが、こうしたやり方は「逐語的直訳」の「解読法」であり、当時でもそのような意識はあったようで、この「直訳」をさらに洗練された日本語に移す「意訳」が別になされていたと書かれています。
例として“First I would have a big boat brought very close to the shore, and would have planks laid across, so that the elephant could walk right into it.” という文を漢文式に逐語訳すると「最初に私が海岸にまで甚だ接して持ち来し大なる船を持ったであろう而して横切って置かれて板をもつであろう(事程左様に)象がそれにまで正しく歩み能いし」となるが、「講義」欄に示された意訳は「先ず私は舟を浜に密接せしめ、象が丁度舟の中へ歩めるように板を横にわたします」とされている、などの事例が紹介されています。
※逐語訳・意訳ともに原文ではカタカナ書きの旧仮名遣いですが、読みにくいのでひらがな書き・新仮名遣いに改め、適宜送りがなもつけました
わたくしとしては、お考えのようなやり方は比較的短い文であれば漢文書き下しとの類推で理解しやすい部分もあるように思います。ただし文が長くなってくると訓点や順番の番号付けの作業量も増えて、内容や構造の理解よりも訓点付けの作業のほうに労力を割かれてしまうように感じます。江戸・明治時代のインテリ層のように白文を自在に読み下せる力があれば、また話は別なのかもしれませんが……。
長い文では、個々の単語よりも単語のかたまり(『節』や『句』ですね)の切れ目を見つけることに注意を払うほうが効率的かもしれませんね。
なお現在『翻訳読本』は新刊在庫がないようで書店では手に入れられませんが、ご興味があるようでしたら古書としてAmazonあたりでは数百円で入手できるようです。ご参考まで。
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
おすすめ情報
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
おすすめ情報