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ホールバーニングという用語に始めて接しました.
私の理解の範囲では,
吸収スペクトルが欠けてしまうということで,
退色と同じ現象かなと推測しております.
これで合っているのでしょうか?

A 回答 (2件)

「退色」という言葉をどういう意味でお使いになられているかです。


有機化合物、たとえば色素の退色というものを考えるとそれは分子構造自体が変化した物ですから、スペクトル特定部位の吸収だけが無くなるということにはなりません。

ホールバーニングはもともと不均一広がりのある物質でレーザー光波長の部分のみがくぼみ、それが維持される現象が報告されたことから生まれた言葉です。

光の吸収を司っているのは原子や分子です。これら一つ一つ単体ではある特定の吸収スペクトルを持っています。その中には幅広いスペクトルではなく、狭い範囲のスペクトルを持つ物があります。
もっというと本質的にはスペクトル幅というのはあまり広くはありません。この原子・分子固有のスペクトルの広がりを均一広がりと言います。

ではこれらが集団でいたときにどうなるかというと、簡単には単純に重ね合わさるだけです。
しかし、分子間相互作用や不純物、分子振動その他の影響からこのスペクトルが更に広がるという現象が生じます。これは原子・分子の均一広がりの固有スペクトルの波長が同じではなくなり、ずれたものが出てくると言うことです。そうするとずれたスペクトルの重ね合わせが集団としてのスペクトルとなり、それは元の均一広がりのスペクトルより幅広くなります。

ここに特定の波長の光が入射すると、全体の原子・分子の中でその波長の位置にちょうど自分のスペクトルがある原子・分子のみが光を吸収するという現象が生まれます。
更に物質の中には、光を吸収することで分子構造などが変化して、その吸収順位が無くなり(固有のスペクトル形状自体が変化する)簡単に元に戻らないものが存在します。そうしますと、そこだけ吸収が消えた状態が続くわけです。要するにこれが特定波長だけに穴「ホール」を開けた「バーニング」という訳です。

その光を吸収してしまい分子構造などが変化してしまうという点では退色ですが、「ホール」になる為には上記のように原子・分子全部ではなく、ある特定環境におかれてたまたま入射光の波長に一致したスペクトルを持つ原子・分子のみが反応する必要があるのです。

なお退色の場合は普通は元に戻らない場合を指しますが、ホールバーニングには元に戻る場合も含めて言います。
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この回答へのお礼

ありがとうございます.
ホールバーニングもそうですが,
均一広がりと不均一広がりの違いが始めて分かりました.
私は蛍光色素を使用しているのですが,
蛍光色素の励起波長の広がりも,
不均一広がりのせいでしょうか.
もしホールバーニングが起こればそう言えるかもしれませんね.

お礼日時:2005/04/17 10:18

>蛍光色素の励起波長の広がりも,


>不均一広がりのせいでしょうか
全部の色素は知りませんが、エオシンY、エリスロシンB、フルオレセイン、ローダミン6G、アゾ系色素etc...等々のスペクトルが広いのは励起準位の構造が複雑に細かくあり、それらが不均一広がりにより重なった状態です。なので「ある一部」だけを見ればそれに近いことがおきますが、あの全体の広いスペクトルが不均一広がりだけで出来ているわけではありませんので、ホールバーニングのようなスペクトル全体の一部がへこむという現象は観察できません。
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この回答へのお礼

お返事が遅くなり,申し訳ありません.やっと区別ができました.ありがとうございました.

お礼日時:2005/04/30 10:00

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