No.5ベストアンサー
- 回答日時:
三島の自殺の原因・理由を説明しようとする人は、ややもすると三島自身の説いた死の美学に迎合した解釈に陥りがちです。
それに惑わされることなく彼の軌跡をたどってみますと、彼はもともと生きたくなかった、ずっと生きるのが辛いと思い続けてきた人です。
プライドの高い三島だけに、そうとは明言していませんが、どの作品にも露呈しているのは、彼が他人との人間関係を円滑に結ぶのが苦手な人だったということです。
でも、そういう自分が生きていくためには、孤高や反俗のポーズを取るしかなかったのでしょうね。
幸か不幸か、それが一応功を奏して、周囲からは天才作家のように称えられ、本人も何度となくその気になったはずです。
しかしながら、彼自身はいずれも意識裡に潜んでいる対人恐怖的なコンプレックスの裏返し、単なる虚勢でしかないことを自覚していたはずです。
こ
ういう自覚をした人間にとって、自他を欺きつつ現実社会を生き続けることほど苦しいことはなかったと思います。
自分を騙し続けることに疲れ切ったとき、あるいはそれに限界を感じたとき、彼は自ら命を絶ったのだと言うことができます。
No.4
- 回答日時:
はじめまして。
私は学生時代、卒業論文のテーマとして「三島の滅びの美学」を調べていました。私なりの解釈としては、遺作となった「豊饒の海」四部作や「憂国」などを読まれるとなんとなくわかると思うのですが、三島自身、老いや醜さを非常に恐れていました。幼少の頃のコンプレックス(ひ弱な色白の少年ということ)から筋骨逞しい肉体の憧れが強く、剣道やボディビルに励み肉体を手に入れますが、失うことを恐れると同時に、美しさの絶頂で全てを滅ぼしてしまうことを究極の美と考えてもいました。それゆえに、三島由紀夫自身、肉体も才能も絶頂の時に自滅させることで自らの美学を完成させたのではないかと考えています。豊饒の海の最終章「天人五衰」は衰えへの
恐れや虚しさが書かれており、とても切ない物語です。
No.3
- 回答日時:
こんにちは。
彼は「死」にとても高い価値を置いていた方だと思うんです。
普通の感覚では「生きること」に価値を置きますよね。
三島由紀夫は「死」に価値を置くことによって、その人の「生」も光り輝くという考えをもっていたように思います。
その事を自ら大衆に示したのではないでしょうか。
No.2
- 回答日時:
三島の自決については、はっきりとした理由は不明です。
よって様々な論考や解釈がありますが、有力な説(と私は思っています)として、○もともと自殺願望があった(一度試みて失敗したことがあるという)
・意識の中に太宰治のこともあったのでしょうか
○「右翼」三島の心情を徴発するような社会状況や事件の頻発
(天皇パチンコ事件、東大安田講堂事件、よど号事件etc.)
○三島の行動に共感する同志(楯の会)の存在
よって、三島の死は「政治的」外形をとった自殺であり、本来政治的な意味は無く、自分の美学のために死んだ。
だが一方、三島と共に自決した楯の会メンバーの森田必勝にとっては、その死は政治的な目的があり、それぞれが利用しあったのではないか、という説です。
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