
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
教義が若干違います。
イスラームの基本信仰箇条である「アッラーの他に神は無し」「ムハンマドはアッラーの使徒なり」については同じですが、ごく簡単にいうと預言者の後継者(=後世の指導者)の資格についての考えの違いから、イスラーム史の比較的初期のうちに分かれました。スンナ派(スンニー)は血統による世襲にこだわらなかった主流、シーア派は預言者(ムハンマド)の血を引く子孫に特別の資格があると考えた少数派(というか、戦って負けて少数派になった)が連綿とその後千年以上も残っているもの。イスラームの戒律や慣行についても、今では双方で微妙に違いがあります。一般には、シーア派のほうが信仰の内面を重視するが、戒律についてはスンニーの方が厳密に実行する傾向にあるとされます。
(例えば、イラン人は今でも意外に酒を飲む人は多いし、ラマダーンの断食をしない人もいます。シリアやエジプトや湾岸アラブ諸国の方がずっと戒律を守る率は高い。)
現代ではシーア派の地域に行くと、ホメイニの肖像とかが街角に大きく掲げられていたりして、そういう点で普通のイスラーム(スンニー)の地域とはちょっと違うと思います。
歴史的には、シーア派を支えたのは主にイラン民族です。
スンニの教義ではシーア派は異端で、真のムスリムには含まれません。スンニーの一般ムスリムに尋ねても、シーア派への宗教的共感は全く無いようです。
ただ、現代においては、ムスリムの間では「世界の中でムスリムは被害者である」という思い込みが強いため、例えば欧米・国連がイランに圧力をかけると「ほらみろ、やはり欧米はイスラームの国を目の敵にしているではないか」という風には見る。でも、シーア派のイランのために一緒に戦おう気には全くなりません。スンニーから見ればシーアは理解しにくい異常な教派に過ぎないから。
>イランでこの両派が対立していますが
イランではなくイラクですね。イランは圧倒的なシーア派国家で、それに対立するようなスンニ勢力は無いです。
今のイラクは、イラク社会を混乱させ内乱状態を激しくさせようとするテロリスト勢力(アル・カーイダなどに同調する連中。また、旧サッダーム・フセイン派など)が、スンニーとシーアとの間で紛争を起こさせようと煽り立てているので異常な対立状態になっています。普通は、なんとなく共存してきたのです。
普通のまともな時代、まともな状態では、ムスリムだって、宗教の違いだけで他人と全面対立したり殺し合ったりなんてしません。
No.3
- 回答日時:
2番です。
>なぜ厳しい対立をしているのでしょうか
シーア派とスンニ派の場合、教義内容で対立しているわけではありません。
正当カリフの正当性による対立、つまり、1500年前の権力闘争に由来しているのです。
教義内容からすれば、シーア派内のドルーズ派と12イマーム派(イランの国教)では、同じ宗教とは思えないほど違ったものになっています。
スンニ派内でも、ファナフィー法学派(トルコなどに多い)とワッハーブ派(サウジアラビアの国教)では、全く異なった考え方をします。
現在では、スンニ派のワッハーブ派と、シーア派の12イマーム派の考え方は、極めて近い考え方になっていますが、過去のいきさつから、対立を繰り返しています。
そもそもこの対立は、4代目カリフであるアリー(ムハンマドの従兄弟で、娘婿)が、3代目カリフであるウスマーンを殺害したグループにより擁立されたため、ウスマーン支持者(主にウマイア家)とアリー支持者(主にハシム家)の対立に端をはっしています。
その後、アリー支持者たちが、カルバラにおいて壊滅し、ウマイア朝が成立する過程で、ウマイア朝が、アリーの支持者(シー・アリー)を弾圧したため、シーア派内に、強い反発心を根付かせます。
さらに、ハシム家の一族であるアッバースの子孫が、シーア派の反発を利用し、ウマイア朝を倒しアッバース朝を起こしますが、カリフの地位につくと、シーア派を弾圧します。
この事が、シーア派の反発を呼びます。
これは、シーア派にとってカリフとは、アリーの子孫以外ありえず、ムハンマドの叔父での一族のアッバース家であっても、カリフとして認めないためであったと思われます。
教義内容で対立しているのではなく、過去の遺恨が現在まで続いているのです。
No.2
- 回答日時:
イスラム教の派閥には大きく分けて、スンニ派、シーア派、ハワーリジュ派の3つがあります。
スンニ派は、全体の85%程度を占める最大勢力です。
スンニ派は、スンナ(慣例)を重視する人達です。
このスンナは、開祖ムハンマドとそれに続く正当カリフであるアブー=バルク(ムハンマドの舅の一人)、ウマル(ムハンマドの舅の一人)、ウスマーン(ムハンマドの娘婿)、アリー(ムハンマドの従兄弟であり娘婿)の教えが中心となっています。
シーア派は、3代目カリフのウスマーンが、反乱軍により殺害され、殺害者によりアリーが新カリフとして擁立されたため、ウスマーンの一族であるウマイア家と戦争となります。
アリーがハワーリジュ派に暗殺されたため、アリー支持者が急速に減少し、現在のシーア派が形成されます。
ハワーリジュ派は、ウマイア家とアリーの抗争中に、アリーにカリフの資格が無いとしてアリーに反旗を翻した人達です。
教義の大きな違いは、スンニ派が、ムハンマドと正当カリフの教えを守ろうとするのに対し、シーア派は、アリーの子孫(イマーム)の教えを守ろうとする事です。
教義に不明点、実情に合わない点が有る場合、スンニ派では、宗教指導者や住民代表が合議の上決定したり、各地区ごとの合意を重視するのに対し、シーア派では、宗教指導者(現在イマームがいなくなってしまったため)の指示に従う事になっています。
イランは、イスラム革命以前は開放的な国でしたが、イスラム革命によりホメイニが実権を握ると、宗教指導者ホメイニの考え方が、イラン全てを被ったのは、このシーア派の考え方によります。
このように、シーア派では、教義が急展開する事があり、だれの教えに従うか(誰を宗教指導者とするか)が問題となり、いくつかの分派が存在します。
スンニ派では、スンニ派公認4法学派があり、建前では、スンニ派であれば、どの法学派に属しても良い事になっています。
4法学派は、イスラム法の解釈の仕方の考え方であり、同じ法学派に属していても、解釈が全く違っている事もありますし、別の法学派であっても、全く同じ解釈になる事もあります。
この回答へのお礼
お礼日時:2006/02/23 15:12
詳しい解説をありがとうございます。大変よくわかりました。もうひとつ解説いただきたいのは、なぜ厳しい対立をしているのでしょうか。ルターの宗教改革のときは旧教と新教の対立のポイントがはっきりわかりますが、この件はよくわからないのです。
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