江戸時代までの家の玄関なのですが、昼間など全く留守にする時、鍵はどうしていたのでしょうか?
夜、寝る時には 「つっかい棒」 で戸を固定して開かないようにしていたと思うのですが、昼間で家人がいない時は?
但し、貧乏長屋などで盗まれる物が全然ない家は除外するとします。 そもそも泥棒が入るわけはないですからね。
もう少し上の階層というか、そこそこの財産はあるが、大店のように昼間でもいつも人が多くいる事はない、家族しか住んでいない、といって多少の金目の物はある、映画で言えばそうですね、銭型平次などのように 「小金」 程度はある家の場合です。
昼間に家を空ける時があると思うのですが、そんな場合、玄関の鍵はどうしていたのでしょうか?
もしかして当時から既に今のように玄関の戸に鍵をかけていた? でも時代劇なんかでそんなシーン、見た事がないんですよね。
あるいは鍵なんかかけなくても泥棒の心配がない時代だった?
それと、もっと昔の時代ならどうしていたか、あわせて教えて下さい。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
江戸期のやや大きな邸宅の場合、たしかにまったく誰も居ないといった状況は少なかったものですが、それでも戸締りは大切なことでしたから、やはりいろいろな仕掛けや錠前が作り出され使われていました。
もう皆さんからご回答が寄せられていますので、ここでは当時、戸締りとして使われていた防犯器具について書いてみましょう。1.「落し」
これは引き戸の下の方に取り付けて上下に上げ下げ出来る木片で、戸を閉じたあと「落し」を敷居に嵌まり込ませて戸を固定するものです。別名を「さる」とか「こっとり」などとも呼び、外からはLの字の形をした鉄製の「鉤」を戸の穴から中にさしいれて「落し」を引き上げて開錠できるものも作られました。
2.「かんぬき」
おもに開き戸に使われたもので、戸のほぼ中央部に水平に取り付けられ、左右にスライドする堅牢な木製の角棒で、これをコの字型の受金にさし入れて戸を固定するもので、お寺の山門などに今でも見られますが、あの「忠臣蔵」で大石蔵之助率いる赤穂四十七士が吉良上野之介の屋敷に討ち入る際にゲンノウでこれを打ち壊すシーンはことに有名です。
3.「しんばり棒」
引き戸を閉じたあと、戸が開かぬようにつっかえとして使う棒のことで、「つっかえ棒」とも呼ばれ、一般庶民からお屋敷まで広く使われていました。
4.「栓錠」
1.の「落し」を鉄を素材に替えて作り上げたもので、中には美しい装飾を施したものもあるなど、ここまで来ると本格的な錠前の一種と言えるものです。施錠や開錠の原理はほぼ「落し」と同じです。
5.「蝦錠(えびじょう)」
江戸期に入って、わが国独自の本格的な錠前が作られるようになり、同時に急速に普及し始めました。
そのルーツは奈良朝の頃(7~8世紀頃)に唐から伝来した海老錠とされ、錠本体にコの字型になったカンヌキをさし込むと、本体の中でバネがパチンと広がって引っかかり、カンヌキが抜けなくなるという構造をしていました。
これを開錠するには本体の反対側から棒のような姿の鍵をさし込んで、本体の中で広がったバネを縮めてカンヌキを抜き取るという仕組みになっています。
使い方としては今の南京錠とまったく同じですが、後に、今日のように錠本体の正面から鍵をさし込んでグルリと回すと中のバネが縮められるという構造の物も作られています。
これらの「蝦錠」は江戸錠、阿波錠、土佐錠、などと全国で大小沢山作られ、大は蔵の戸から小は仏壇の逗子の扉などへと大変普及したものでした。ちなみに唐から伝わった「海老錠」は今も正倉院の御物として保存されています。
ついでに言いますと、このような錠前、テレビドラマではカンザシなどでいとも簡単に開けてしまいますが、あれはウソ。本物はドッコイそんなに簡単に開くものではありません。今でもコレクターの手で沢山収集されて実際に見ることが出来ますが、大変精密でしかもほとんど錆びることすらなく、当時の錠前師の腕と材料の良さは世界一だと言っても過言ではありません。
6.「からくり錠」
このように優れた錠前製造技術を持っていた当時の錠前師ですが、なかでも国産の錠として世界に誇れるのが「からくり錠」です。見えている鍵穴は実はニセモノで、本当の鍵穴は装飾の中に隠されていたり、動かせる部分を正しく順に動かさないと鍵穴が露出しないとか、下手にいじると空砲が鳴るとか、アイデア一杯のものが見られます。
そのほか、盗難防止の方法として「隠す」という手段もありました。床の間の掛け軸を外すと、その裏に秘密の隠し場所があるなんてよくドラマにも出て来ますよね。
それではそれ以前の時代はどうかと言えば、農耕や狩猟、漁業などによって財産というものが出来だしたと同時にセキュリティの感覚が当然生まれたであろうし、もちろんそのための仕掛けもあったと考えられます。
ひとつの例として封印とかヒモで縛るとか、また立ち入り禁止をアピールするしめ縄なども挙げられますが、落しやカンヌキ、しんばり棒などはかなり古代から使われて来たとされています。
ただ、当時とて大きな屋敷などでは屈強な門番や見回り人、用心棒などといった人を置くことはもちろん、塀には尖った金物を埋め込むこと、こうしたことは当然行われていたようです。
こうした締り装置や金具、錠前について書かれた書籍は大変少なく、日本のものではせいぜい3冊ぐらいしかありませんが、中でも錠前全般にいて書かれた書籍として「錠と鍵の世界(赤松征夫著・彰国社発行)」をお読みになると、世界の、そして日本の、錠前の歴史をはじめ、種類や構造などがよくわかりますので、良い参考資料としてお勧めします。
有難うございました。錠前について随分、勉強になりました。鍵ひとつとってみても、その歴史を調べると興味深い世界が広がっているように感じました。とても面白く勉強させていただき、有難うございました。
No.4
- 回答日時:
鍵は金持ちが蔵にかけるくらいで、庶民は特に使用しませんでした。
蔵にかける鍵も見た目がごついだけで、素手で簡単に開けられるような物も多かったそうです。
江戸時代以前も同じようなものでしょうね。
また、治安に関しては以下の質問が詳しいかと思います。
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1055877
No.2
- 回答日時:
貧乏じゃなくても長屋か、門のついた屋敷しか思い浮かばないのですが。
長屋でしたら昭和の下町でもそうだったかもしれませんが、隣近所に「ちょっと出かけてきますので、よろしくお願いします」と声をかけていたのではないでしょうか。
今は人が家の外を出歩いていませんが、昔は買い物にでかける主婦が往来しているなど、誰かしらいましたし、井戸があるところでは、洗濯しながら井戸端会議をする光景がうかぶので、わたしはあまり疑問に思いませんでした。
長屋がなくなった現代でも、田舎ぐらしの番組で「このあたりは鍵なんかかけて出かけませんよ」というところは、いくつか見たことがありますので、なんとかなっていたのでしょう。
東京でもこんなに空き巣が増えたのは、この10~20年だと思います。
うちの自治体なんか、2階で寝ていても、1階にどうどうと入ってくるのもいますが、小銭・小金でも彼らには、大金でありねらい目なのでしょう(誰と書くと、ちょっとまずいので書きませんが)
有難うございました。「近所の住民の目」 これが鍵の代わりをしていたようですね。今でも泥棒にはこれが一番効果があるとか、テレビで見た事があります。でも、もう今では無理でしょうけどね。ところで怖い経験をされているんですねえ、充分に気をつけて下さいね。
No.1
- 回答日時:
泥棒に狙われるような家ならたいていが蔵がありますから価値のあるものは蔵に入れて鍵をかけており、家にはそれほどめぼしい金目のものは置いていないので家には鍵をかけたりしていないのが普通です。
今と違ってトラックで大量に重いものをもっていけませんから盗るにしても現金か書画骨董ですが、そういうものは蔵に入れています。
商人などは商品は蔵に入れておいたままでは商売になりませんが、そういうところでは留守にすることはないので心配はいりません。
早速のお答え、有難うございました。やはり一般庶民の家は金目の物はないので泥棒の被害に遭う事がなかった、従って留守をする時でも鍵は不要だった、こういう事になりそうですね。
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