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- 回答日時:
多元社会と多極社会について。
多元社会は、民族、宗教、集落地域などの母集団たちの集合によって政府の立法・司法・行政が行われることで、社会が形成されることです。したがって、分化社会の集合とも考えられます。
これが「階級社会」とか「多極社会」であれば、文化・民族・宗教・地域といったことからの対立状態が前提とみなされ、たとえば人口比率の不均衡からの衝突、差別などを矯正することが、ひとつの課題・目的となります。
つまり多元社会は、大小のタイルがモザイクとして並んで形成される社会であり、多極社会は大小のタイルが小さなスペースに重なりあって、ぶつかりあっている状態の社会です。
ただし、多元社会は、その母集団を政治的にまとめる人たちが、その母集団に対して、ある強制力・指導力をもっていなくては安定が保てず、民主政治のあり方として議論の余地があります。多極社会は、衝突はあっても、民主社会としての健全性を保有しているように思われますが、これについても疑問を挟めると思います。
なお、「多極共存型民主主義」は、有名なことなので、ちょっとお調べいただければ、分かるとは思いますが、簡単に言いますと、モザイク社会で、多数決選挙をしていると、人数が多い母集団が常に政権を取ってしまいます。また、モザイク社会があまりにも多様であると、毎回のように選挙結果が異なり、安定した政治基盤ができないこともあります。
つまり、少数の意見を大切にしたり、政権が長く固定化されないように、また逆に政権がコロコロと変わらないように、母集団の代表(エリート)が、集まり連合政府を形成することを意味します。
多極共存型民主主義は、コンソシエーショナルデモクラシーと言い、レイプハルト著、内山秀夫訳『多元社会のデモクラシー』(三一書房、1979)に詳しく書かれています。
古くは、カトリックとプロテスタントの衝突の時代から、こうした考えはあったと言われています。
ただ、実際には、中央から北欧にかけて、トルコ人などイスラム教信仰者の多量の流入が引き金になって議論がされるようになりました。政治的な意味合いが強く語られたのが、オーストリア、スイスでの事例でした。対比される政権形態としては、イギリスやアメリカの二大政党により政治です。現在では、カナダなどは良い例としてあげられます。
また、中南米やアジアの植民地の統治や独立に関しても、議論されたテーマでした。
この問題は、多文化主義、民族主義などと重なりあって、ちょっと面倒な議論となっています。ただ、簡単にイメージできるのは、世界がひとつの国家として捉えた場合、国連が多元社会・多極社会のような形成がなされているということです。国連が機能しているかどうか、の問題を見ても、ことの複雑さが理解できると思います。とはいっても、ソ連とアメリカの二大国家が世界を動かしていた時代が良いとも思えませんが。
この回答へのお礼
お礼日時:2002/01/26 13:24
お礼が遅くなってすいませんでした。
とてもわかりやすかったです。
国連についての文は考えさせられるものがありました。
本当にどうもありがとうございました。
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