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 日本とイギリスはどちらも君主制の島国で、歴史が長いところは似ていると思いますが、19世紀終わりまでどちらも複数の王国(又は藩)に分かれており、最高権力者はその盟主という位置付けだったと思います。でも、一方は廃藩置県によって完全に中央集権化が図られた一方、もう片方はウェールズとかスコットランドなどが残っていたりします。どちらがいいのかという議論は別として、なぜこうなったのか理由がわかる方は教えていただけないでしょうか。ウェールズ人・スコットランド人は地域のアイデンティティが強いといいますが、日本だって古くは薩摩藩、現在でも名古屋人など、それらに負けず地域への愛着を強く持っている人はたくさんいると思います。

A 回答 (8件)

既に回答された方とダブる部分も結構あるのですが、英国史は自分の一番得意な分野なので、回答させて頂きます。

長文になりますが、ご容赦下さい。

歴史的に見ると、ウェールズは、イングランドがノルマン人によって征服された直ぐ後の11世紀末ぐらいから、ノルマン人の侵入が始まり、13世紀後半には、エドワード1世により一応征服されます。一応と言ったのは、ウェールズ系のPrince of Walesが倒され、ノルマン系・ウェールズ系を問わずすべての領主がイングランド王の支配下に、明確に入ったというだけで、支配者層が全部代わった訳ではないからです。その後、散発的に反乱はありましたが、15世紀初めのOwain Glyn Dwrの大規模な反乱を最後に、独立への動きはなくなります。しかし、領主はノルマン系になっても、その下の階層は、言葉の問題もあり、混血によって事実上ウェールズ人と区別がつかなくなったノルマン人や、ウェールズ人によって占められ、この階層が、イングランド風の文化を受け入れつつ、一般ウェールズ人を直接的には支配し続けます。ですから、一般人のレベルには、相続にあたってイングランド法が適用されるなどの面で大きな影響があったのは事実ですが、一般人の文化&生活までイングランド化された訳ではありません。
その後、ヘンリー八世により1536年に正式に併合されますが、上記のような、社会の上層だけイングランドの影響を強く受ける、という社会構造は長く続き、一般人のレベルまで、イングランドの影響が強く及ぶようになったのは、18世紀後半の産業革命期にイングランドからの移民が大量に入ってきてからです。。

スコットランドは、エドワード1世による一時的な征服はありましたが、基本的にはずっと別の国であり続けました。17世紀初めにジェームズ6世がイングランド王ジェームズ1世となった時も、これは一人の王が、二つの王位を兼任しただけです。市民革命期でも、スコットランドはプロテスタントの中の長老派が優位を占め、イングランドの王党派とピューリタンと、微妙な駆け引きが行われ、明らかにイングランドとは別の動きをしました。18世紀初めに、両国の議会が一つになり、正式に連合しました(征服されたのではない)が、法的体系は維持され、いまでも、民事裁判では最高裁の役割を果たす英国貴族院は、スコットランドの案件にスコットランドの法律を適用しています。

以上を纏めると、スコットランド・ウェールズ・イングランドは、それぞれ独自の長い歴史を持ち、その中で異なる「民族意識」が醸成されていった一方で、ウェールズのイングランドによる征服は、主に社会の上層部に強く働き、一般人の文化・社会生活は、引き続き独自の発展をしたし、スコットランドに至ってはそもそも征服されたわけではないので、無理矢理イングランドの文化を一般人にまで押し付けられるはずも無く、その結果、現在に至るまで「別の民族」「別の国家」という意識が強く残っている、と考えられます。但し、現代になり、テレビ・ラジオなどの影響で、独自の言語を第一言語とする比率は急速に減っています。その意味では、一般人まで強くイングランド化が働くようになったのは、どちらかというと新しい話です。

日本との比較で言えば、そもそも別の国・別の民族としての長い歴史を持っている別々の「民族」もしくは「国」が政治的に連合・併合した結果なので、そこが最大の違いだと思います。また、イングランドにとっても、政治的に統一されている限りは、国家が強制的に文化・社会生活面まで統一する必要もありません。
同じ島の中に、異なる民族的集団が存在する事自体が、「別の民族」としての意識を残存させている、とも言えると思います。(「民族意識」自体、違う集団との接触がないと生まれませんから)

ウェールズやスコットランドの、別の「国」としての特徴をあげておくと、
1.法体系では、既に述べた通り、スコットランドとイングランド&スコットランドは、かなり違いがある。専門家ではないので詳述しないが、スコットランドは、ローマ法の伝統を受け継ぐ大陸法の影響を強く受けている事。

2.政治では、スコットランドもウェールズも、英国全体の議会とは別に、1999年の地方分権で、独自の議会を持つようになり、スコットランドでは立法権と若干の徴税権(所得税率の基本税率を少しだけ変えられる)を持っている。(ウェールズでは、そのどちらもなく、中央で決まった予算の執行に関して責任を負うだけ。)

3.民族的集団については、元々は、ウェールズはブリトン人、スコットランドは、民族系統がはっきりしないピクト人、南部のブリトン人に、古代末期~中世初期に移住してきた、アイルランドからのゲール人、大陸からのアングル人、イングランドは、先住のブリトン人に、同じく移住してきたアングロ・サクソン人、北欧からのいわゆるバイキング(註:3カ国とも、支配者としてのノルマン人は入ったが、比率としてはごく少数)
とそれぞれ別の集団から構成される。もちろん、元々は、という事であって、長い間に混血が進み、今は、個々人が、名前等で元々の集団が区別可能な事があるだけで、地域毎の濃淡はあるにせよ、基本的にはスコットランド人といった集団にまとまっている。

4.独自の言語として、ウェールズは、ケルト系のブリトン語(現在のウェールズ語)、スコットランドには、アイルランドから入ったケルト系ゲール語と、アングル人が持ち込んだゲルマン系のスコットランド語がある。(但し、スコットランド語については、元々は英語と同系統なので、英語の方言と考えられる。)
但し、第一言語として話す人の比率が僅かになっているのは既述の通り。(ゲール語はほぼ『絶滅』状態)

5.宗教(宗派)
宗教改革期とその後の革命期の影響で、英国では宗派と政治が密接に結びついたので、政治面でも多数派と呼ぶべき宗派があるが、イングランド&ウェールズは国教会、スコットランドは長老派。またウェールズは、少数派としては、メソジストやパプティストが多いのが特徴。

6.集団への帰属意識について
これは、私自身の経験に基づくものだが、スコットランド人やウェールズ人にとっては、ドイツ人、フランス人という区別と同じレベルで、スコットランド人とイングランド人を区別する。もちろん、BritishとFrenchやGermanという区別をする時もあるが、日常的にはスコットランド人、イングランド人、ドイツ人というレベルの区別の方が優勢。

という訳で、ラグビーでSix nations Championship(6カ『国』対抗戦)があり、サッカーでもそれぞれ別に代表チームを作り(プロ・リーグも別)、スコットランド人、ウェールズ人、アイルランド人に対してEnglishと呼びかける事は、「侮辱、どんなに控えめに言っても鈍感」(私が持っている本曰く)とされているのだから、私は、我々が普段使う意味とは違いますが、「国が違う」と考えるべきだと思っています。

最後に、他の方の回答をみてちょっと考えた事を書いて終わりにします。
ローマは、イングランドとウェールズを支配下に置きました。アイルランドには、全く侵攻していないか、あるいはしたとしても非常に狭い地域だと思われます。イングランドだけがローマに支配されたわけではありません。
また、ローマ撤退後は、キリスト教などのローマ文化が残ったのは、イングランドではなくむしろウェールズで、イングランドも、その後の、いわゆるバイキングの進入で、北東部(”デーン・ロー”)には文化的にも経済的にもデーン人の影響が長く残りました。ローマの影響よりも、歴史的にはデーン人の影響の方が重要です。ローマの影響をもって、イングランドとそれ以外を分けるのは無理でしょう。

イングランドでも日本でも、王から与えられる領地は、基本的には世襲で、反逆とかがなければ代々相続されて行く訳ですが、領地の場所は、かなり国内各地に散らばっていました。(江戸時代は、日本でもむしろ例外的。また、江戸時代でも、初期には、大名対策もあり、改易・領地替が多かったが、それ以外は相対的にはかなり安定的。)まして、ウェールズやスコットランドの大部分が、特定の一人の領主によって領有されていたなんて事はありません。イングランドの大貴族は、日本の鎌倉時代の武士の領地のように、かなり散らばった場所に領地を持っていました。
ですから、領主の個性と地域の個性の関係は、ほとんど考えられません。(もし、そうだったら、ものすごく斑模様の地域の個性になってしまいます。)
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イギリスの場合は、連合王国という形をとりながらも、いち早く産業革命を達成して、世界の覇権を握りました。


しかし日本は、欧米諸国から大きく遅れをとり、「脱亜入欧」を掲げながら、早く追いつこうと努力したわけです。しかし、その際ドイツのように、君主に絶対的な権力を集中させないと、その目標を達成できなかったのです。
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一番の違いは、天皇による直接統治は室町時代以前、後醍醐天皇による建武の新政が最後だということです。


これに引き換え、「王立海軍」の言葉が示すように、イギリスでは19世紀終わり頃まで国王による直接統治がありました。
日本の場合、各藩に分かれていたといっても「日本」を代表する名目上の統治者は天皇陛下ということになっています。
そして名目上は、天皇陛下に摂政、関白、征夷大将軍の称号を受け、或いは任命されて統治を代行する仕組みとなっていました。
また、各藩において、藩主は領国を独自に統治していたように見えますが、幕府による統制・支配を受けており、改易・国替え等による領主の交代も行われています。
これに引き換え、これに引き換えイギリスでは、戦争・政争により統治者が交代しています。
つまり、「同じように歴史が古い」といっても、実態はどうあれ、神話の時代から現代に至るまで「天皇陛下」を国の代表者として現代に至る日本と、王朝自体が交代しているイギリスでは、統治方法自体が異なるのです。
日本における「何々人」という各地方の独特の気風・風習は、政治体制ではなく、各々の地域の特性が作り上げているものであり、イギリスのように、領主の個性で、ということは無いのです。
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あらら・・・コヒ海道って・・・北海道ですね。


なお、宗教についていうなら、イギリスの王様は神ではなく神に認められたもの。
天皇は一種の神様(特に戦前は事実上唯一の神様)という扱いで、そのイデオロギーで国家統一をしたわけですが。
イギリスの場合神>王なので、王は複数いても良いし、そもそもいなくてもいいわけです。
民族的差異と地域的差異は歴史的には違ったものになっていますから、やはりその辺りが大きいのでは?
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民族や言語の相違、という問題もあるのではないかと思います。


日本も本当は単一民族ではないのですが、天皇制を軸に、とりわけ明治政府は「単一民族の統一国家・唯一の現人神たる天皇」という建前をなかば暴力的に貫いたわけです。
これに対し、イギリスは王のあり方がかなり違いますし、スコットランドとかはもともと別の王様がいたわけですから民族的に一つになったことは一度もないし、またそうしようとしてもできなかった、という違いでしょう。現実問題、日本でも沖縄やコヒ海道の事を考えるとこのあたりはかなり強引にやったわけですが。

この回答への補足

ありがとうございます。

日本は北海道や沖縄の支配を半ば強引に行えたが、イギリスは世界最強の大英帝国をもってしてもスコットランドやウェールズを支配できなかったのは不思議ですね。

補足日時:2006/06/08 08:11
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決定的に「違うなぁ」と感じるのは宗教です。


日本人は基本的には「八百万の神々」を奉り、自然に感謝して、父祖をあがめます。また、宗教的には比較的寛容で、神仏をあわせて拝む事を気にする人は少ないでしょう。
UKの人はクリスチャンとしてYHWHを崇拝し、日本人よりは自然や父祖をあがめる事が少ないように見えます。まあ、それでもケルトに由来する精霊や妖精などを結構信じている人も多そうですが(ほとんどはカトリック化していると聞きます)。

宗教に基づく世界観の相違は大きいのではないでしょうか。
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私は日本人とイギリス人の気質の違いが根底にあるのではないかと思っています。



現代日本も世知辛い世の中になっていますが、それでもインドに行くと、多くの日本人が「こんな暑い中でロバがたいへんだなぁ」とロバに同情するそうですが、イギリス人はロバに同情することはないそうです。
これがインドを支配しようとして東インド会社を成功させたイギリス人と、満州でうまくいかなかった満鉄の違いではないかと思います。
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ブリテン島はローマの侵攻を受けました。

そのとき、ローマに屈してその配下になったのがイングランドです。スコットランド、ウェールズ、アイルランドは奮戦してその侵略を阻止しました。ところが、占領されたイングランドはローマの文化を取り入れて他の3国の優位に立つようになってしまうという皮肉な結果になり、それが、統一を妨げる大きな原因になっています。これが日本との大きな相違ですね。

 ちなみにヨーロッパではローマの統治下に属した地域が本当のヨーロッパだと大きな顔をしているのですよ。変な話ですね。

この回答への補足

ありがとうございます。

日本についても、北海道や沖縄は伝統的に天皇や幕府の支配を受けない地だったと思いますが、明治初めに日本の支配下にあるとされてから現在まで独立の動きは皆無ですよね。

補足日時:2006/06/08 08:19
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