
6員環のジラクトンのメチレン水素とマロン酸ジメチルのメチレン水素のpKa値について、7.3と15.9と大きく変わってしまうのはなぜなのでしょうか?
またそのジラクトンの酸素が炭素に変わった6員環のジケトンのメチレン水素はpKaが11.2とジラクトンより酸性度が下がってしまうのはなぜなのでしょうか?
ジラクトンのほうが酸素の非共有結合の共鳴があるので、その分メチレン水素の脱離によるエノール型への異性化が減るので酸性度はジラクトンのほうが小さいと思うのですが、間違っているでしょうか?
どなたか有機化学に詳しい方よろしくお願いします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
No.1です。
> 環による固定のため容易に平面構造がとれて安定化するため酸性度があがる
との考え方は正しいと思います。
(炭素鎖長が違いますが、アセトンのpKa=約20に対し、シクロヘキサノンは11.3)
ただ、前回私の方で追加したアセチルアセトンは、その安定化の効果を受けている
環状ジケトンよりもさらにpKaが小さい状態です。
つまり、前回説明したように、鎖状の場合は分子内水素結合による安定化の寄与が
大きく、炭素鎖での環化と同程度(ないしそれ以上)ある、ということになります。
マロン酸ジメチルとアセチルアセトンの違いは、末端がメトキシ基かメチル基かという
ことになりますが、これらはともに環の外側に出ます。
よって、マロン酸ジエチルの場合のみ立体障害が大きくなるとは考えにくいのでは
ないでしょうか。
H
.・ \
O O
|| |
C C
/ \ // \
R C R
(R=メチル基(→アセチルアセトン)、メトキシ基(→マロン酸ジメチル))
従って、「環化による平面構造の固定化」だけでは、環状ジラクトンが
マロン酸ジメチルよりもpKaが圧倒的に小さいことは説明できないのでは
ないかと思います。
(つまり、「環状ジケトンとアセチルアセトンとの差程度が妥当」かと)
そこで、今回教えて戴いた構造を改めて見直してみたのですが・・・
まさかとは思いますが、環状ジラクトンのpKaは「2つのカルボキシル基に
挟まれたメチレンのものではない」ということはない・・・ですよね?
どういうことかというと、
/ \
O= =O
| |
O O
\ /
/ \
↑↓
/ \
O= =O
| |
O- O
+ /
/ \
↑↓
/ \
O= =O
| |
HO O
/
// \
というように、ラクトンの開裂の寄与まで含まれていないか、ということです。
(なお、このラクトンのアルコール側は、実際にはアセトンに水が付加した
2,2-プロパンジオールで、一番下の式はマロン酸とエノールのモノエステル
という形になっています)
これなら、ラクトンの環内酸素を炭素に置き換えた環状ジケトンとの差も
説明がつくことになります。
・・・といったことぐらいしか、理由を思いつきません(汗)
(ただ、遊離マロン酸のpKaは調べられませんでしたが、7程度というのは若干
大きすぎる(=酸性度が低すぎる)気もしますが・・・)
なるほどそういうことですか。
丁寧な説明ありがとうございますm(__)m
問題の全文は
「ジラクトン1のメチレン水素のpKa値(7.3)はマロン酸ジメチル2(pKa15.9)およびジケトン3(pKa11.2)のメチレン水素の値に比べて非常に小さい。この現象に妥当な説明を与えよ。」
1,2,3には構造式が示されてます。
です。
確かに開裂を考えれば、酸性度を高く考えれますね。
ただメチレン水素という記述だと、開裂まで考えるべきではないんですかね?
そしたら妥当な説明なんて不可能ですよね・・・
No.4
- 回答日時:
すみません、回答が遅くなりました。
今回の問題で挙げられている3つの化合物の構造を考えれば、
「環による固定」と「酸素の孤立電子対」への着目は妥当です。
ただ、choco53さんが考えられた通りだとすれば、
「吉草酸(=n-ペンタン酸)メチル」(又は酢酸メチル)と、ω-ヒドロキシ
ペンタン酸のラクトン、及びシクロヘキサノンのメチレン水素のpKaに
ついても、同様の傾向がなければならないことになります。
(つまり、各物質のpKaの関係が、ラクトン<環状ケトン<エステル、と)
環状ケトンのメチレン水素のpKaが鎖状ケトンのそれに比べて小さいこと
については、その理由ともども学生時代に講義を受けた覚えがあります。
ただ、ラクトンと鎖状エステルでそれ以上の差が生じるという話は
聞いたことがないので・・・正直なところ、何とも言えません(汗)
※なお、σ*はエネルギー準位が高すぎるため、流れ込みの寄与は非常に
小さいのではないかと思います。
(位置的には重なっても、エネルギー準位が大きく違うと干渉は
起こさない;例えば酸素原子の2p軌道は(2s軌道だけでなく)1s軌道を
貫通していますが、干渉(混成)は起こしていないですよね。
つまり、「見た目の重なり」だけでは判断できない、ということです)
この回答への補足
たびたびすいませんm(__)m
>ただ、choco53さんが考えられた通りだとすれば、
「吉草酸(=n-ペンタン酸)メチル」(又は酢酸メチル)
と、ω-ヒドロキシペンタン酸のラクトン、及びシク
ロヘキサノンのメチレン水素のpKaについても、同
様の傾向がなければならないことになります。
(つまり、各物質のpKaの関係が、ラクトン<環状ケ
トン<エステル、と)
まさかこの順にならないのでしょうか?それなら考え直しです・・・
>なお、σ*はエネルギー準位が高すぎるため、流れ込 みの寄与は非常に小さいのではないかと思います。
グルコースのアノマー効果でもアキシアルとエクアトリアルが1:2になるみたいで、
Oの非共有電子対のσ*への流れ込みは結構あるのではないかなと思ったのです。
例えば酢酸エチルがシス型(=OとEtが同じ側)をとるのはもちろんのこと、蟻酸エチルも立体的に込み入ったシス型(=OとEtが同じ側)をとるのもこの立体電子効果のせいのようなので、これも考えるとσ*の寄与が大きいのかなと思いました。
長い期間かけて、いろいろと一緒に考えていただきありがとうございました。
たくさん勉強させていただきました。
ほんとうにご迷惑をかけてすいません、そしてありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
No.1、2です。
> ただメチレン水素という記述だと、開裂まで考えるべきではないんですかね?
確かに・・・
前回の回答で、ご質問のラクトンがマロン酸とアセトンで構成されていることを
指摘したのは、プロトンの由来が「アセトンのメチレン」と考えられなくもない、
ということを意図してだったのですが・・・「ジラクトン1のメチレン水素のpKa値」と
言われてしまうと、強弁でしかなくなりそうです(汗)
> そしたら妥当な説明なんて不可能ですよね・・・
そうですね・・・
もし教授(?)に質問などされて、妥当な説明を聞かれましたら、補足欄ででも
お聞かせいただければ幸いです。
お役に立てず、申し訳ありません。
この回答への補足
いえいえ、いろいろと教えていただきましたし、大変参考になりました。
実は先生にも聞いたりしたんですがわからずじまいでした(笑)
もしどこかでわかったら書き込みしときます。
ありがとうございましたm(__)m
模型を組んだりしていろいろかんがえてみたのですが、こういうのはどうでしょうか?
まず鎖状と環状を比べた際に、鎖状のマロン酸エステルは酸素の孤立電子対2つは、1つはC=OのΠ*軌道に、もうひとつはσ*軌道に電子を流すことができる配置に酸素を位置することができ、それによりカルボニルとの共役も強い。
しかし環状だと環が固定されているため、酸素の孤立電子対は1つはC=OのΠ*軌道に電子を流せるが、もうひとつの孤立電子対はσ*軌道に電子を流す形には位置できない。だから共役が弱くなって、その分酸素の高い電気陰性度が相対的に強くあらわれてメチレン水素の酸性度があがる、と。
C=Oのσ*軌道への電子の流れ込みがどれだけ共役の具合にかかわるかはわかりませんが、割と妥当な説明になるかなと思ったんですがいかがなものでしょうか?
No.1
- 回答日時:
数日考えてみたものの、わからなかったのですが・・・(汗)
まず確認なのですが、六員環のジラクトンの構造は下記でよろしいでしょうか;
/ \
O= =O
| |
O O
\ /
とりあえず、上記の仮定で話を進めます。
それぞれの物質をpKaの順に並べてみます;
環状ジラクトン アセチルアセトン 環状ジケトン マロン酸ジメチル
7.3 9.0 11.2 15.9
こうしてみると、
ケトンでは環化によってpKaが若干大きくなっているのに対し、
エステル(ラクトン)ではpKaが非常に小さくなる、
というように、全く異なる変化をしていますが、残念ながら私の知る限りでは
そこに合理的な理由を見出すことができません。
そこで確認なのですが、環状ジラクトンのpKaが7.3というのは間違いないでしょうか。
もし、これが「17.3」であったとすれば、上記の序列は
アセチルアセトン 環状ジケトン マロン酸ジメチル 環状ジラクトン
9.0 11.2 15.9 17.3
になります。
これであれば、
ケトン・エステルの双方で、環化によってpKaは若干大きくなり、
環状同士/鎖状同士で比べるとエステルよりもケトンの方がpKaが小さい
となり、非常に納得がいく値であるように思われます。
(鎖状の方がpKaが小さいのは、鎖状の場合は一方のカルボニルがエノール化した
状態のときに、他方のカルボニル基と分子内水素結合を形成することで
エノール型が安定化されることによるものと推測;
H-O-C-C-C-O(-H)による六員環形成)
この回答への補足
レスありがとうございます。
構造式がわかりにくかったです、申し訳ありません。ジラクトンは下にメチルが2つついてます。
ジラクトン(7.3)
/ \
O= =O
| |
O O
\ /
/ \
マロン酸ジメチル(15.9)
O O
∥ ∥
\ / \ / \ /
O O
ジケトン(11.2)
/ \
O= =O
| |
\ /
/ \
こんな感じです。
ジラクトンは確かに7.3でした。
他の2つに比べて小さくなるという理由を説明する問題なので、プリントミスとは考えがたいです。
鎖状と環状の違いは、分子内水素結合を作れるほかに
環による固定のため容易に平面構造がとれて安定化するため酸性度があがるという理由も考えたのですがどうでしょうか?(鎖状はカルボニル同士の反発でお互いに平面からずれる?)
ジラクトンとジケトンのOによるpHの低下の方は全く見当がつきません。
考えられるとすれば、Oによる吸引によって酸性度がさがるということですが、
それに加えてOのローンペアによる共鳴が働くなる機構でもあるのかなと思ったのですが、
妥当な説明が思いつきません・・・。(--;)
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