No.3ベストアンサー
- 回答日時:
恒星は、燃焼の最初の過程では、水素を燃料として核反応を行います。これは核融合反応です。水素をほぼ燃焼し尽くすと、ヘリウムを燃料とした核反応が起こり、より重い元素が恒星の中心部で、核融合反応で造られ、それは、鉄の生成まで進みます。しかし通常の恒星では、「新星」となった時の反応でも、鉄より重い元素は生成されないとされて来ました。
鉄より重い元素は、非常に質量のある恒星が最終段階で到達する「超新星化」の「爆発」の際に生成され、これが宇宙空間にばらまかれるとされていました。どのようにして超新星爆発において鉄より重い元素が造られるかは、まず、大量の高エネルギーの中性子の存在が前提になります。
原子番号は原子核のなかの「陽子」の数で決まります。また。この陽子の数が、クーロン力との関係で、電子の数や配置を決め、「元素の種類とその性質」を決定します。しかし、陽子は、原子核に近づこうとすると、すでに存在する陽子のため、クーロン斥力を受け、核内部には入り込めません。しかし、高エネルギーの中性子が大量にあれば、中性子は、原子核に吸収されます。こうして多数の中性子を吸収した原子核は、質量が増え、不安定となるため、中性子が「ベータマイナス崩壊」を起こし、電子とガンマー線を放出して、「陽子」となります。中性子が陽子となるので、この原子核は、原子番号が1増え、別の原子になります。
超新星爆発においては、このような過程が、ごく短時間のあいだに急速に進行し、多数の重い元素を生成するのだとされています。これを、急速な(rapid)過程というので、「r-プロセス」と呼びます。従来は、鉄より重い元素は、超新星爆発でのみ生成されるとされてきました。しかし、参考URLの「鉛の星の発見」のニューズにあるように、超新星爆発でなくとも、通常の恒星のコアで、AGB(Asymptotic Giant Branch-漸近巨星枝)フェーズと呼ばれる、恒星の最終段階で、余分な中性子が生成され、これが、すでに存在する重い元素に吸収され、超新星爆発の場合と同様に、原子核に吸収された中性子が、陽子へと崩壊することで、鉄よりも重い元素が生成されたという仮説があったのですが、それが「鉛の星」の発見により、実証的根拠を得たとされます。
従って、鉄より重い元素は、存在する半数は、超新星爆発で中性子の陽子へのマイナス崩壊で生み出され、残り半分は、恒星の最終段階のAGBフェーズで、緩やかな反応で、ゆるやかな(slow)過程で生成されたと考えられ、後者を、「s-プロセス」と呼び、鉄より重い元素は、こうして、r-プロセスとs-プロセスで生成されたことになります。
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生命を構成する基本元素は「炭素」です。これは、炭素の原子価が4で、すなわち多様な化合物の生成を可能とする、原子結合の可能性が高く、活性が高いためです。生命は複雑な反応機構を備えるので、単純な化合物しか生成されない元素では、生命を構成できないということになります。
このことから、同じ4価の原子価を持ち、周期律表で、一段上の同じ位置にあるシリコン(珪素)が、化学結合の多様さから有望とされ、「珪素生命・珪素生物」の可能性が考えられたのです。しかし、完全に否定はできないとしても、炭素を珪素に置き換えて考えると、生命を構成する有機アミノ酸は、炭素-炭素の結合が複雑に絡まっているが、珪素の場合、珪素-珪素結合は、不安定で、宇宙に普遍的存在すると思える「水」によって簡単に崩れてしまうことから、珪素を中心元素とした生命は、存在が困難であるということになります。
また、地球の炭素生命、とりわけ、人間の身体を構成している元素は、多い順に、「水素・酸素・炭素・窒素・カルシウム」であり、他方、宇宙一般での元素の頻度順序は、「水素・ヘリウム・酸素・炭素・窒素」で、炭素型生命が使っている元素は、宇宙に普遍的に大量に存在する元素で、一般に生命が発生するなら、「水素・酸素・炭素・窒素」の四大元素を基礎にするのが自然だということになります。地球の生命・生物は、その通りになっています。
しかし、珪素生命がこれで否定された訳ではなく、特殊な環境では、発生し得る可能性があり、また、活性度が高く、化合物を容易に作りやすいということでは、「弗素」を中心にした、弗素生命がいるかも知れず、あるいは、環境によっては、元素の活性は変化し、高温(摂氏500度)とかで、炭素以外の元素を中心として生命が存在するかも知れません。珪素生命なども、高温環境では、大量の水は存在できないので、可能かも知れません。つまり、発見の可能性が皆無ではないということです。
なお、「まだ発見されていない元素」というのは、この宇宙の環境では、原子番号100以上の元素は人工元素で、不安定ですぐに崩壊します。元素の種類は陽子の数が決めているので、「すべての元素は発見されています」。この宇宙で可能な元素という意味ですが。同位体元素だとしても、中性子が余分に加わることで、炭素や珪素のような化学的反応の多様性が実現する訳ではないはずです。
また、原子核としてエネルギー的に底に当たるのは、「鉄原子」の原子核だとされます。鉄までは、普通の星の通常の燃焼で生成され、ここで普通の反応が止まるのは、このためだと云えます。
参考URL:http://www.astroarts.co.jp/news/2001/09/03lead_s …
No.2
- 回答日時:
逆ですね。
鉄よりも重い元素は、超新星爆発でしか生成されません。軽い元素のうちのいくつかは恒星の中で核融合により生成されます。古典SF的には、炭素系でなくケイ素系の生物というアイデアがありますが、現実には難しいのではないでしょうか。
例えば金などという重い元素に関しては星雲と星雲の接触、あるいは衝突によってしか作られないと聞いたこともあります。この話の信頼性は不明ですがとても不思議に感じました。もし重い元素しかなければ、自然はそれを利用して生命体をつくっただろうか、と考えると何となく楽しい気がします。ご回答に感謝します。
No.1
- 回答日時:
ウランをはじめとする放射性元素は、元素崩壊時(?)にエネルギーを放出するわけですよね。
しかし、水素はヘリウムになる際にエネルギーを放出しますね。
核融合と核崩壊、正反対なのにも関わらず、なぜか両方ともエネルギー放出をしています。
そのため、私の考えでは、水素やヘリウム辺りと、ラジウムやアクチノイドなどの中間くらいがエネルギー的な底と思います。
つまり、水素やヘリウムなどが「燃えた」エネルギーのうち、内部にとどまった物が「不安定な放射性元素の生成」という形に変わるのではないでしょうか。
ただし、これは推測の域を超えていませんが。。。
>また、炭素や酸素のように生命活動を担うような化学的性質を持った重い元素がこれから「発見」される可能性はないのでしょうか。
炭素や酸素が生命活動を担うとは、何を根拠として「生命活動を担う」なのでしょうか。
この定義がはっきりしないと何もいえませんよ。
いえたとしても、「宇宙にはたくさんの星があるわけだし、可能性はあるんじゃないの?」で終ってしまいます。
私は答えることができませんが、専門の方が見ているかもしれません。
あなたなりの定義をかき、意見を求めた方がいいと思いますよ。
確かに多くの酸素や炭素に限らず、レアメタルと呼ばれるような重い元素まで生命活動に参加していますね。たとえば珪素系生命体、炭素系生命体というような言葉がありましたが、炭素や珪素は生命活動の中心となりうる元素だという意味なんでしょう。今はあまり珪素系などという言葉は見なくなりましたが、それらの比較的軽い元素が持つ多様な化学的性質が生命現象を始めとする我々の生活する環境の多くの部分をを形作っていて、まだ「発見」されていない元素がこの世界に加わるとすれば、どう変わるのだろう、もしかしたら何も変わらないのかも、などと考えてみたのがこの質問のきっかけでした。ご回答ありがとうございます。
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