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量子力学的において、ppとかnnのような原子核がない事をどのように説明しているでしょうか?

「見つかっていないからないんだ」あるいは「不安定だからないんだ」というのであれば、それはそれでいいのですが、例えば、
http://www.rarf.riken.go.jp/RIBF/overview-j.html
の下の方の図を見る限り、どうも理論的に存在しない、という事になっているのだと思います。

いくつかの本を調べてみたのですが、どれも「2核子系の原子核は重陽子しかないから・・・」という所からスタートするもので、満足のいく説明がありません。

いや、昔は
フェルミオンは、粒子の交換に関して符号を変える:Ψ(1,2)=-Ψ(2,1)
粒子を交換しても同じ状態である:Ψ(1,2)=Ψ(2,1)
故に、Ψ(1,2)=0であり、ppやnnは存在しない。
という感じの説明で納得していたんです。

しかし、Ψ(1,2)=Ψ(2,1)とならねばならない理由が分からなくなりました。あるいは、全く別の理由でしょうか?

A 回答 (4件)

思いつきで書きます。



ppがないのはわかりやすいと思います。+と+をどうやってくっつけることが出来ますか。H2+は存在できるようです。分子軌道の計算の最初に出てくる例です。+と+の反発を間に-の電子が入ることで打ち消しているというイメージでいけると思います。原子核のスケールで++をくっつけることは出来ないはずです。
だからHeから後の原子核で核力が問題になったのでしょう。中性子の存在が大きいです。n→p+e、p+e→nとこれの仲立ちをする中間子というのは湯川秀樹の当時のテーマです。
小さい原子では原子量が原子番号の2倍になっています。pの数とnの数が等しい同位体がメインになっているということです。大きい原子になるとnの数の方がpの数よりも大きくなってきます。
同じ符号の電荷の反発というのは波動関数以前の大きな性質ではないでしょうか。
nnも事情は同じでしょう。結びつけるものはなんでしょう。
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この回答へのお礼

遅くなってすいません。ご回答ありがとうございました。

核力って、電磁気力よりも10倍~100倍くらい(?)強いので、fmのオーダーまで近づけば、p-p,n-nの束縛状態があってもよさそうだと思ったのですが、どうもp-p,n-n間には斥力が働くので束縛状態を作らないという事のようですね。

お礼日時:2007/02/21 20:42

Ψ(1,2)=Ψ(2,1)はボーズ統計のときだけ、成立します。

もしこれがフェルミオンでも成立するとすれば散乱状態も存在しないことになり、n,n散乱、またはp,p散乱は起こらない?とかいうことになります。実際は散乱は起こるし、計算もΨ(1,2) = -Ψ(2,1) を満たす波動関数でちゃんと行われています。ヘリウム原子核4Heで粒子1,2を陽子、粒子3,4を中性子とすると、フェルミオンだから、
 Ψ(1,2,3,4) = -Ψ(2,1,3,4)
一方、Ψ(1,2,3,4) = Ψ(2,1,3,4) も成立するとすればΨ(1,2,3,4) = 0 でヘリウム原子核は存在しない?とかいうことになります。位相は観測できないので、粒子の交換で状態が変わらないということからは
 Ψ(1,2) = exp(iΔφ)Ψ(2,1)
ということが言えるだけです。exp(iΔφ)が±1 以外の値をとるものはfractional statistics, Anyonと呼ばれ、重要です。
http://web.mit.edu/redingtn/www/netadv/Xanyon.html
1中間子交換相互作用により2核子間のポテンシャルは
 V(1,2) = mc^2 f^2 (1/3)(τ1・τ2)[(σ1・σ2)Y(x)+S12Z(x)]
という形になります(例えば中村誠太郎「大学院原子核物理」p.146)
ここでτ1、τ2はそれぞれの核子のアイソスピンです。全スピンの大きさをTとすると、簡単な計算から
 〈|τ1・τ2|〉={T(T+1) -3/2}/3
となることが分ります。Tz=0 の状態では、T=0とT=1の状態がありますが、Tz=±1 の状態では、T=1の状態しか作れません。したがってアイソスピンz成分が同じとき、すなわちp-p系またはn-n系ではポテンシャルが必ず斥力になってしまうのです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

「p-p,p-n,n-n間の核力が本質的に同じだ」という旨の記述を見かけたので、p-n間に働く力と、p-p,n-n間に働く力は同じ(向きも大きさも)なのだと思ったのですが、そういう意味ではなかったんですね。まだ、この意味をきちんと理解していないのですが、今日、図書館で本を探していたら(仰る本は置いてませんでした…)、核子間のポテンシャルの事も含めてこの辺りの事が書いてあるのを見つけたので、それを読んで見ようと思います。

お礼日時:2007/02/21 21:42

下の回答で、「全スピンの大きさをTとすると」というところは「全アイソスピンの大きさをTとすると」に訂正させていただきます。

ついでに言うと、電荷が同符号同士の粒子の束縛状態は存在します。例えば中間子π+ はuクォーク(電荷2e/3)を反dクォーク(電荷e/3)の束縛状態とされています。

この回答への補足

すいません、No.4に書いたのお礼の事なんですが、

点電荷だと思った場合でもクーロンエネルギーが2MeVを超えるには陽子同士が0.3fm~0.4fmくらいまで近づかなければいけないみたいですので、どう頑張っても、陽子間のクーロンエネルギーが、重陽子の束縛エネルギーを超えてくれませんね^^;

なので、No.4のお礼に書いた事はなかった事にして下さい。

補足日時:2007/02/22 01:57
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重陽子の結合エネルギーとp-p系のクーロン力による反発力を比較してみましょう。

水素原子ではよく知られているように電子-核間距離はボーア半径0.5×10^(-10)mでエネルギーは13eV。したがって二つの陽子がパイ中間子のコンプトン波長1.4fm 離れているとするときのエネルギーは
 0.5×1.3/1.4=0.46 (MeV)
一方、重陽子の結合エネルギーは約2MeVで、もし二つの陽子が強い相互作用で重陽子と同じ強さで結びついていたら、クーロン反発力はこれを解離させることはできません。
下の回答で
  〈|τ1・τ2|〉={T(T+1) -3/2}/3
となっている所は
 〈|τ1・τ2|〉= 2T(T+1) -3
に訂正させていただきます。

この回答への補足

> 〈|τ1・τ2|〉= 2T(T+1) -3
>に訂正させていただきます。
あれ、τ1・τ2={(τ1+τ2)^2-τ1^2-τ2^2}/2ではありませんでしたっけ?
ですので、{T(T+1)-3/2}/2の間違いかな、と思っていたのですが。

補足日時:2007/02/21 23:54
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

>したがって二つの陽子がパイ中間子のコンプトン波長1.4fm 離れているとするときのエネルギーは
> 0.5×1.3/1.4=0.46 (MeV)
1.4fm程度の距離になると、陽子の大きさも無視できなくなりませんかね?
1.4fmというのが、何の距離なのか(重心間の距離なのか表面と表面の距離なのか)にもよりますが、おそらく重心間の距離と考えるのが自然でしょう。だとすれば、表面と表面とはすごく近づく(0.数fm程度?)ので、計算してないですが、0.46MeVよりも大きくなりそうな気がします。重陽子の結合エネルギー2MeVは0.46MeVよりもべらぼうに大きい、という訳ではないですから、陽子の大きさによっては、クーロン力の方が支配的になるかもしれませんね。
うーむ、いずれにしても、fmのオーダーになれば、クーロン力って核力に対して無視できるくらい小さいのか(せいぜい10%程度)と思っていましたが、クーロン力も意外と大きいんですね。驚きました。

手元のPCにはMathematicaのような計算してくれるソフトがないので、すぐには計算できないのですが、近いうちに計算してみたいと思います。

お礼日時:2007/02/22 00:40

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