No.2ベストアンサー
- 回答日時:
それにはいくつか理由がありますが、
まず第一に、ルイ16世自身の不明があげられます。
彼は現在起きている状況を正しく把握しておらず、
今後、どのように進めべきかという指針も持っていませんでした。
三部会を開いたのはネッケルの助言に従っただけで、
それがどういう結果になるかも理解してませんでした。
それで彼はそのつど違う助言者の意見に左右されて、
ちぐはぐな行動をとっていたわけです。
第二の理由は、改革派の真意を疑っていたという点です。
改革派の狙いは封建的特権の廃止のみならず、
絶対王政の廃止に及ぶのではないか、王権の制限に及ぶのではないか
という疑心暗鬼から、開明派貴族の意見を容易に信じず、
彼らに権力を渡すのを抵抗したわけです。
これはその後の展開をしる我々にとっては奇異に思えるのですが、
その後には穏健派として見なされる人々、シェイエスや
ラファイエット、三頭派の面々なども、当初は
過激分子と思われていて、秩序乱す存在と位置づけられていました。
国王やその取り巻きの立憲派への敵愾心は
理解しがたいとは思いますが、それほどに保守的だったということです。
それが数年のうちに激変するわけ。
第三の理由は、第三身分がはじめた国民議会というのは
主権在民の精神に則るものであり、王権の優位性を否定するものでした。
ここまでに至る前に、身分制議会に対してルイ16世は
改革案を提示し、税負担の平等や、個人の自由、出版の自由、農奴制の廃止、
さらに一般利害に対しては議員の一人一票の投票権など、
第三身分が当初求めた内容をすべて満たしたわけですが、
二ヶ月の紛糾の間に、第三身分は目覚め、改革から革命への
精神的成長を見せていたのです。
「人民の意志によってここにいるからには、銃剣によるのでもなければ
ここからは立ち去らぬ」というミラボーの啖呵は有名ですが、
王権に挑戦を始めた第三身分そのものを脅威と見なしだしたことが、
貴族議会の一院制の妨害に国王が加担した理由のひとつです。
ただ最終的には事態収拾策を国王も第二身分議会の面々も持ち合わせていなかったので、
6月27日になって国王に忠実だった聖職者と貴族に
第三身分に合流するように命じると宣言するしかなくなったわけです。
要するに国王の抵抗は無駄な努力だっただけでなく、
無策ぶりをさらけだすことになりました。
矛盾というよりも無能ということです。
この回答へのお礼
お礼日時:2007/06/03 16:41
非常に分かりやすかったです!!!
優柔不断なルイ16世からうかがえる行動ですね。
とてもすっきりしました。
ありがとうございました。
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