No.2
- 回答日時:
藤森照信著「一神教VS多神教」を読んでのご質問ではないかと思います。
(違ってたらごめんなさいね)この本は、「かなり短絡的な宗教分析」という印象をうけました。Q1~Q3まで、わたしはすべて 'NO' だと思います。Q2にかかわる部分は、なかなか面白い分析でしたが…。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>旧約聖書の内容って,多神教のエジプト人の奴隷になってたユダヤ人が,唯一紳の導きによって苦労して脱出したりしますね。
「旧約聖書」は歴史的事実を記述しているのではありません。それは宗教文学ともいえるものですし、神話とも言えます。歴史的には、ユダヤ人の一神教は、エジプト神王イクナートンのアトン唯一神信仰から影響を受けたというか、それが起源のように考えられます。
イクナートン王は、後に異端王とされましたが、ひとときはエジプトは、アトン信仰が盛んにになったのであり、アトンのための新首都さえ作られ、政府がそこに移っていました。
ユダヤ人は、エジプトで、かなり悲惨な「奴隷的境遇」に陥っていたのですが、アトンは、誰でも救ってくださるという神でした。従って、エジプト人の宗教改革で出てきた「一神教」をユダヤ人が受け継いだというのが歴史的には妥当です。
「旧約聖書」をよく読めば分かりますが、唯一神ヤハウェとユダヤ民族の密接な絆は、モーセを通じて成立しています。彼がシナイ山で、神との契約を行って、ユダヤ民族は、ヤハウェの民となったのであって、モーセ以前は、ユダヤ人は、アブラハムなどの有力族長が、個人でヤハウェを信仰していたので、民族全体が神と契約を結んでいたのではありません。
また、エジプトで、ユダヤ人は、貧しい生活を送っていましたが、「奴隷」ではないのです。奴隷であれば、たとえモーセが集会を開いたとしても、勝手に出席などできないのですし、「出エジプト記」を読むと分かりますが、ユダヤ人はレンガ職人で、自分たちで集団で仕事を請け負っています。これは奴隷ではないのです。
>Q1)てことは,ユダヤ人とエジプト人って仲が悪いんでしょうか?
歴史的には、エジプトは、この事件が起こったとき、西アジア最大最強の世界帝国で、もし、モーセと対決したときのファラオがラムセス2世なら、彼はヒッタイトを退けた大王で、ユダヤ人などとは比較になりません。エジプトは当時様々な民族に開かれており、エジプト人とユダヤ人の仲が悪かったなどという証拠はありません。
>Q2)ユダヤ教が成立した原動力は,奴隷のもつ凄まじい恨みによるものなんでしょうか?
そういう根拠はまったくありません。エジプトを脱出したため、多くのユダヤ人は、余計に厳しい生活を強いられたのであり、「金の子牛」の事件がそのことを示しているでしょう。
ユダヤ教が成立したのは、豊かなエジプトを飛び出して、砂漠の厳しい環境で長いあいだ放浪する期間に、ヤハウェとの契約が唯一の希望の源泉となったことと、ようやく「約束の地」カナーンにたどり着き、先住民族と争って、徐々に地歩を固めるにおいて、カナーンの宗教に引かれる者が多数現れ、これを批判する「預言者」と呼ばれる、非常に深い宗教的経験を持った人々が多数輩出した結果でしょう。
また、実際に、ダヴィデ、ソロモンの王国の繁栄が実現し、その後、王国の分裂や衰退やアッスリヤなどによる破壊を受けて、最終的に、ローマによって、故郷のパレスティナの地を多くのユダヤ人が追われたという経験の上で、独特の一神教となったのです。
「奴隷の恨み」などというものは無関係でしょう。
>Q3)奴隷と主人の関係は,そのまま信者と神(唯一紳)の関係に置き換えても差し支えないでしょうか?
ユダヤ教に限らず、西アジアの古代の宗教、セム族の宗教は、神と支配者=帝王を同一視するような性格があります。たとえば、エジプトの帝王は、神でもあるのです。アッスリヤの帝王は、征服地の支配者であり、被征服民族は、帝王である神の奴隷だとも言えます。
印欧系のペルシアの帝王でさえ、被征服民族との関係では、主人=神と奴隷のようなものになります。
しかし、ユダヤ教、キリスト教は、神を人格神とし、地上の帝王のようなものとは、違う存在であるという考えがあります。それでも、たとえば、聖マリアは受胎告知において、天使ガブリエルに向かい、自分のことを、「主のはしため」というように呼んでいます。「はしため」というのは、召使の女ですが、普通は奴隷女のことです。
神が主人で、人がその奴隷というのは、むしろ、西アジア的宗教の特徴を濃厚に持った、或る意味原始的なイスラム教がそうです。イスラム教徒に多くある名に、「アブドル」というようなものがありますが、これはアラビア語で、「奴隷」の意味です。
ビン・ラディンなどは、アッラーは偉大な主人で、自分たちは奴隷だと考えているかも知れません。そういう発想で、アメリカは悪の帝国で、大統領が主人なのかどうか知りませんが、悪魔にそそのかされた奴隷の軍隊や企業や国民が、アッラーの民(イスラム教徒)に悪をなすための組織だと考えているのかも知れません。
有難うございます。
詳しい解説で大分,偏向が治りました。
asterさんのおかげです。
ビンラディンに関連して,
ゴアが大統領になればもう少しパレスチナの和平交渉が進んで,テロの可能性も軽減できたのかしら?
もし,パラレルな世界があったとしたらどっちの世界がよかったのかなと思ってしまいます。ブッシュって,州知事時代には黒人の冤罪と思われる多数の人の処刑を下したり,大統領就任直後に戦争おっぱじめたり,何かと血なまぐさい人ですね。
日本の政治家の利権や既得権益なんか生易しいもんですな。
No.4
- 回答日時:
宗教について考察するとき、その宗教の開祖、あるいは開祖
に匹敵するほどの功労者についての考察は不可欠です。
例えば、儒教の成立・発展過程を調べるときには、儒教の
開祖である孔子の思想や性格、あるいは人生といった内容
を抜くことはできないでしょう。
仮に抜いてしまうとしたら、本質とは大きく外れた空虚な
議論しか成立しません。
ユダヤ教という宗教は、実質的にモーセによって成立しました。
ヤハウェ神との契約は、モーセよりずっと昔の時代、イスラエル人
の父祖アブラハムから始まっていますが、宗教と呼べる段階
にまで次元を高まったのは、モーセの時代からです。
よってユダヤ教について語るには、モーセについて調べる
ことが重要となります。
モーセはどのような人物かというと、旧約聖書の記述によ
りますが、捨て子であったがエジプトの王族に拾われて王宮
で育ち、その後イスラエル人としての民族意識に目覚め、
やがて事件を起こして砂漠へ逃亡し、そこでミデヤン人の
祭司の娘と結婚して荒野の羊飼いとなり、やがてヤハウェ神
の召命を受けるわけです。
「日本人とユダヤ人」(イザヤ・ペンダサン著/角川書店)
に詳しい考察があるのですが、モーセは養子としての人生
をおくります。最初はエジプト王族の養子であり、次に
ヤハウェ神の祭司であるエテロの養子になります。
モーセがヤハウェ神の祭司の養子となったことは、間接的
ですがヤハウェ神の養子のような立場であったわけです。
旧約聖書での神とモーセの会話(?)の記述を読む限りは、神
と預言者モーセは、互いに信頼しつつも、ちょっと固苦しい
関係のようです。あたかも養父と養子の関係に見えます。
上記の考察を前提に質問に回答しますと、
Q1:
必ずしも悪いとは言えないようです。モーセは元々エジプト
王族と深い関係がありましたし、イスラエル人の先祖である
ヨセフはエジプトの大臣にまで出世し、エジプトを飢饉から
救った実績もあります。
旧約聖書の記述によりますが、イスラエル人の方でも(豊かな)
エジプトに帰りたいという愚痴は何度もこぼしていますが、
エジプト人を深く恨んだ言動というのも特にないようです。
Q2
奴隷の環境から何とか解放されたいという願望が、宗教的
な方向に向かい、先祖の神による救いを求めたということ
は言えるかと思います。
Q3
ここはNo.3の方の意見とほぼ同じですが、主人と僕の関係
というのは、当時の社会や宗教では当たり前であったとい
うことです。
むしろユダヤ教では「契約」が重視されており、主人である
神がその民に対して理不尽な扱いをしないということが明確
になっている分だけ、進歩的であると私は思います。
有難うございます。
なるほど,神との契約によって得るものがあるみたいですね。
割礼の契約だけは,ちょっと遠慮したいですけどね。
それさえなければ,もっと進歩的な宗教として広がっていた可能性もあるのかな?
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