「借地上にある自己所有建物の賃貸は、土地の転貸及び土地賃借権の譲渡にはあたらない」というのが判例だったと思います。従って借地上の自己所有建物を他人に賃貸したとしても、無断転貸として土地の貸し主から土地賃貸借契約を解除されることはなく、自由に賃貸できるはずなのですが・・・
しかし、土地賃貸借契約上に「土地の転貸及び土地賃借権の譲渡及び実質的にそれと同様の結果を生ずる行為を禁ずる」という項目があった場合、この「借地上の自己所有建物を賃貸する行為」は土地賃貸借契約に言う「同様の結果を生ずる行為」として禁止され、結果として借地上の自己所有建物は自由に賃貸できず、賃貸するためには土地の貸し主の承諾が必要となってしまうのでしょうか。
普通に読めばそのよう(貸し主の承諾ない自由な賃貸借は禁止)に読めますが、上記判例を回避するための条項としての意味を認めてそう解釈するのか、それとも上記判例の立場を尊重してそのような解釈を認めず、自由な賃貸借を認める判断をするのか、迷ってしまいました。
判例などあれば教えていただけると幸いです。
No.1
- 回答日時:
(貸し主の承諾ない自由な賃貸借は禁止)が有効となり自由な賃貸借を認めない判例もあるようです。
下記の法律相談は質問の回答そのものと思います。
ご参考にしてください。
参考URL:http://www.asahi-net.or.jp/~zi3h-kwrz/totimudan. …
ありがとうございます。
明確に「建物賃貸借を禁止」とする特約は有効とする判例があるのですね。
今回の「同様の結果を生ずる行為」というのが非常に曖昧で、判断に迷うところですが、現実に「同様の結果を生ずる行為」となると、建物の賃貸は典型と言えなくもないですし・・・。
安全策としては土地貸し主の承諾を得ることですよね。
実際にも、全くの無断で賃貸することは考えていない(事前にご挨拶してお知らせするくらいは礼儀としてします)のですが、紛争に備えて書面をもらうとなると少々面倒が予想されるもので・・・。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
基本は,質問者の方が書かれているとおりで,借地上の建物を貸すこと自体は転貸にあたりません。
#1の方の引用されている相談の判例は,その前に紛争があって,調停の中で,他の人に貸さないことを決めていたという事情があり,普通の契約における場合よりも,契約の拘束力が強くなっていたと考えられます。
判決の一般論の部分を抜き出すと,
「建物所有を目的とする土地賃貸借契約においては、借地人は一般に、借地上に自己が所有する建物を他に賃貸することは建物所有権に基づいて自由になし得るところであつて、借地人が借地上の自己所有建物を土地の賃貸人の承諾を得ないで第三者に賃貸して使用させたとしても、その故をもつて借地の無断譲渡転貸として土地の賃貸人が土地賃貸借契約を解除することはできないと解される。しかし、借地人が借地上の自己所有建物を他に賃貸して使用させることは、建物の使用を介して間接的な形においてではあつても、建物の敷地の使用・占有を必然的に伴うものであることに鑑みると、賃貸人と賃借人の合意により、借地上の建物を他に賃貸することを特約で禁止することは、それが賃貸借期間の全部にわたるものであつても、そのような特約をなす合理的客観的理由が存する場合には許されないものではないと解するのが相当である。そして、調停において、右のような特約が合意されるとともに、右特約に違反した場合には土地の賃貸人において土地賃貸借契約を解除することができ、そのときは賃借人は土地を明渡さなければならないとの条項が定められても、賃貸借契約が当事者間の信頼関係を基礎とする継続的債権関係であることに照らすと、右条項は、賃借人が土地上の建物を他に賃貸したすべての場合に当然に解除が効力を生じるものと解すべきものではなく、形式的には右特約に違反しても、賃貸人と賃借人との信頼関係を破壊するに至らない特別の事情のある場合には、右条項に基づく賃貸借契約の解除は効力を生じない」
とされていて,特約を結ぶ合理的な理由がある場合でなければ特約は有効ではなく,特約が有効だとしても,それだけで解除できるものではないということが示されています.
他には,神戸地裁平成3年12月20日が,形式的には借地上の建物の賃貸借を取っているものの,その実態が借地権の譲渡であると認めています.
これも,建物の賃貸借契約の期間を20年として,家賃を20年分全額一括前払いにしており,また,建物の賃借人が増改築を自由にできる契約で,実際にもほとんど原形をとどめないくらいに増改築されていたことから,賃貸借ではなく,建物自体(とそれに付随した借地権)の譲渡があったとみなされている事案なので,通常の賃貸借であれば,あまり気にする必要はないと思います.
大家さんに事前に挨拶にいかれるなら,その記録を残されておけばよいのではないでしょうか.
大変細かい解説をありがとうございます。
原則として、借地上の自己所有建物の賃貸は自由だというのが判例の立場と考えても良さそうですね。No.1でご回答いただいた判例が、調停を経てなされた特約だということで少々安心しました。
ご意見も参考にさせていただき、対応したいと思います。
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