「平成」を感じるもの

演劇の記録写真の撮影を依頼されています。
演劇自体の著作者人格権は演出家に帰属すると思いますが、
演劇自体の著作財産権はプロデューサーのものでしょうか演出家のものでしょうか。
また、その記録写真の著作財産権はプロデューサーのものでしょうか演出家のものでしょうか。

A 回答 (4件)

>> 質問はその[業界慣行]についてです。

//

それは、残念ながら当方には分かりかねます。著作権法についての一般的な知識はありますが、演劇や写真に携わる業界人ではありませんので、そこでの個別的な慣行についてまでは分かりません。

ところで、当方の先の回答が少々混乱を招いているようなので、問題を整理しておきましょう。

著作権の大原則は、「著作権は、その著作者に原始的に帰属する」ということです。写真は、フォトコピーと同等のものでない限りは、およそ著作物といえますから、撮影者がその写真の著作権者です。

ところで、写真は、3次元の物体を2次元で表現し直す表現方法であり、その「変換過程」に創作性があります。すなわち、写真の著作権は、「被写体をどのように撮影したか」という部分について生じるのであって、「被写体それ自体」に対する権利ではありません。これは、風景写真を撮ったときに、被写体である山や湖についての権利が発生しないことを考えれば、よく分かります。

そうすると、「被写体が他人の著作物」であった場合、その写真の著作権は、「被写体となった他人の著作物の著作権」には及ばない、ということになります。たとえば、ダビデ像を撮影したからといって、他人がダビデ像を利用することに文句をいえる訳ではありません。

このように、「他人の著作物を変形した場合」は、その他人の著作物を「原著作物」、変形物を「二次的著作物」と呼びます。

そして、二次的著作物は、「原著作物の表現」をベースにして、変形という新たな創作性を付与しているので、原著作物の利用行為といえます。そこで、著作権法は、原著作物の著作権者は、二次的著作物を自由に利用できるものとしています(著作権法28条)。(なお、二次的著作物を作ることを翻案といい、著作権者は翻案権:27条を専有しますから、他人が二次的著作物を自由に作ることは著作権の侵害に当たります。もちろん、撮影依頼があった場合は、この点は問題ありません。)

したがって、演劇を写真撮影した場合、演劇が原著作物、写真が二次的著作物の関係になるので、演劇についての著作権者は、あなたの撮影した写真を自由に利用できることになります。

ただ、この場合、写真の著作権者はあくまで「あなた」なので、その写真の利用について、あなたに無断で第三者にこれを許諾することはできません。28条の二次的著作物利用権は、「原著作物の著作権者が自分で使う分には自由」というだけで、「他人が利用することを許諾する権利」まではないからです。

そこで、このような写真の場合には、原著作物の著作権者にも許諾権を与えたり、著作権自体を原著作物の著作権者に譲渡したりすることが考えられます。今問題になっているのは、まさにこの部分です。

したがって、そのような契約が存在しなければ、これまで縷々述べてきた通り、あなたが写真の著作権者だということになります(もっとも、あなたは被写体である演劇について何らかの権利を持っているわけではないので、その写真を利用するには、けっきょく演劇の著作権者の許諾が必要です)。

他方、著作権に関する何らかの契約がある場合には、その写真の著作権者は、あなたではない可能性があります。

このような写真については、何らかの契約があることが一般的かと思われましたから、No.3の回答では、その部分について(前提問題をすっ飛ばして)述べた次第です(No.2の回答も同じ趣旨と思われます)。

なお、傍論ですが・・・

>> Wikipediaなど多くのウェブでこの用語が使われていましたので //

Wikipedia日本語版の「著作権」の項目を流し読みする限り、法律上の用語である「著作権」のことは「著作権」として、きちんと書かれているかと思います。

「著作財産権」という用語が、間違っている訳ではありません。「広義の著作権」の中に「著作財産権」と「著作者人格権」とが含まれ、著作財産権のことを「狭義の著作権」と呼ぶ場合もあります(Wikipediaの同項目でも、そのように理解する外国法制度があることが書かれています)。

しかし、日本の著作権法は、17条で「著作者は、次条第1項、第19条第1項及び第20条第1項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第21条から第28条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。」と規定し、財産的な権利のことを「著作権」と呼んでいますから、「広義の~」「狭義の~」という区別は正しくなく、また「著作財産権」という用語も著作権法には存在しない、ということです。
    • good
    • 0

結論だけまとめていうなら、「事実認定や契約内容の問題なので、制作過程や契約書を詳細に検討しないとお答えできません」。



映画の場合には、原作ないし脚本の著作者の権利を除いた範囲で、「全体的形成に創作的に寄与した者」が著作者となり(法16条)、その者が映画会社に雇われて制作した場合は、当該映画会社が著作者となる旨の規定がありますが(法15条1項)、舞台劇の場合にはこれがありません。

しかも、「全体的形成に創作的に寄与した者」というのは、一般的にいえば監督ですが、これは実質判断なので、名目だけの監督ではなく、現実に現場を仕切ったプロデューサが「全体的形成に創作的に寄与した者」と判断される場合もあります。

すなわち、(1)舞台劇の場合には著作者となる者や著作権の帰属について明文の規定がなく、仮に法16条を類推できるとしても、(2)誰が著作者になるかは事実認定の問題なので、個別のケースを詳細に検討する必要がある、ということです。言い換えれば、「演劇自体の著作者人格権は演出家に帰属する」かどうかは、ケースによって異なる(裁判所がプロデューサを「著作者」と認定したなら、著作者人格権はプロデューサに帰属する)ということです。

また、著作権(著作財産権という用語は、法律的には正しくありません)は、著作者が有するのが通常ですが(法17条)、契約により譲渡でき(法61条)、また利用を許諾することもできます(63条)。これは、つまり、著作権の帰属(や利用のための権利処理)についてはどのような契約内容となっているかによる、ということです。「演劇の著作権は」という一般論では処理できません。

また、演劇を写真に撮影した場合、その写真の著作者は撮影者ですが、著作権をどうするかは、これも契約次第で決まります。

したがって、結論として、

(1)「演劇自体の著作者人格権は演出家に帰属する」かどうかは、その演出家が著作者といえるか(16条を類推するなら「全体的形成に創作的に寄与した者」といえるか)次第で決まります。「演出家の肩書きがあるから」ではなくて、「どういう仕事をしたか」の問題です。

「どういう仕事をしたか」は、その演劇が完成されるまでの過程を詳細に検討する必要があるので、質問文だけでは判断できません。

(2)「演劇自体の著作財産権はプロデューサーのものでしょうか演出家のものでしょうか」という点については、著作権の帰属についての契約次第なので(なければ上記(1)で著作者とされる者が有する)、質問文だけでは回答できません。

なお、契約で明確になっていない場合には、業界慣行、当事者の仕事の内容、当事者同士の関係、当事者の言動、などが斟酌されます。

(3)「その記録写真の著作財産権は」、写真家、演出家、プロデューサなどの間の契約によって、その帰属が決まります。質問文だけでは回答できません。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
著作財産権という用語は、法律的には正しくないんですか。
Wikipediaなど多くのウェブでこの用語が使われていましたので使用いたしました。
著作権法でこの内容を見つけられなかったもので、ご質問した次第です。
"契約で明確になっていない場合には、業界慣行、当事者の仕事の内容、当事者同士の関係、当事者の言動、などが斟酌されます。"
やはり法律上で明記されていないんですか。

たとえば舞台劇の写真を引用したい時に、関係者に契約書の内容を問い合わせることなど余程のことがない限り無理です。
質問はその[業界慣行]についてです。
よろしくお願いします。

お礼日時:2008/10/17 14:21

それぞれの要素ごとに権利者は違うと思いますよ。



演劇の脚本は脚本家が権利を有し
音楽は作曲家が権利を有し
振り付けは振付師が権利を有し
実際の実演は実演家が権利を有し
演出手法については演出家が権利を有する


映画の著作権については映画製作者に権利を集中させるという著作権法の規定が存在するのですが、演劇についてはこういった規定はありません。従って、創造性のある各要素ごとに、それを作ったか実演した人間に著作権あるいは著作隣接権が帰属するでしょう。

もちろん、それらの権利をプロデューサーに譲渡するという契約を予め結んでいればプロデューサーが権利を集中してもつことになります。


あと、写真の著作権は、契約がない限り撮影者に帰属します。「賃金を受け取っている以上、著作財産権は委託人に」という考えを著作権法は採用していません。権利の譲渡について明確に合意していなければ、たとえお金を受け取った場合でも写真の著作権(著作者人格権と財産権としての著作権の両方とも)は撮影者に帰属します。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
演劇の著作権は法律上まだはっきりしていないんですね。

写真の著作権は、契約がない限り撮影者に帰属するんですか。
もし、それについて銘文されたものがあれば、ご提示いただければたすかります。

お礼日時:2008/10/17 14:29

演劇自体の著作財産権は「プロデューサー」ではないでしょうか。


演劇の記録写真の著作財産権は「写真家」に帰属すると考えるのが一般的です。(ただし、契約上明記してある場合はこれに従う)
    • good
    • 0
この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
記録写真の著作者人格権は撮影者にありますが、
賃金を受け取っている以上、著作財産権は委託人にあります。
撮影者がその写真を使用するにあたって、著作財産権所有者に了解を得なければなりませんが、その存在がわかりません。
個人的には著作財産権はプロデューサーに帰属すると思っているのですが。

お礼日時:2008/10/09 08:51

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!


おすすめ情報