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金属の引張試験において、負荷速度は、降伏点や引張強さなどの
機械的性質にどのような影響を与えるのでしょうか?教えてください。

A 回答 (1件)

負荷速度は、一般に、降伏点や引張強さなどの値を上昇させます。


その理屈は、材料の内部抵抗の影響にあります。
内部抵抗の影響は、負荷速度=0の時には現れませんが、負荷速度の上昇とともに増大し、その結果として、外部から作用した力が、内部まで直ちには伝達しなくなるからです。

抵抗力が負荷速度とともに増大するのは、ちょうど、ドアの上についている「バタンと閉まるのを防止するダンパー」を思い浮かべれば理解できると思います。このダンパー、ドアを無理に早く閉めようとすると、抵抗力が増しますね?

理論的に説明するには、
f:外力
x:変位(伸び)
t:時間
m:質量
c:抵抗係数
k:ばね定数
として、力の釣り合い方程式
m(d^2 x/dt^2)+c(dx/dt)+kx=f
において、fが時間tに比例する、すなわち
f=at (a:比例定数)
とおいた微分方程式を解けば、その解からわかります。

何がわかるかと言えば、cと負荷速度が0でない場合には、「fとxは比例する」と仮定したときよりも、小さいxが得られるということです。
歪は、xを座標で偏微分して得られるので、xが小さいということは、歪も小さくなります。歪から、応力-歪線図を適用して、応力が計算できます。この応力も小さくなります。

内部の状態変化を決めるのは、基本的に応力よりも歪の方であって、上の方程式から得られるx→歪→応力よりも、外力から直に計算した応力(=力/断面積)の方が大きくなるのです。

状態変化は歪で見ている限り、負荷速度に関係なく、いつもほとんど同じ歪の値の時点で起きるのですが、応力で見た場合、負荷速度が大きいと、応力も速度に応じて大きくなるので、降伏点や引張強さなどの値が上昇してしまうのです。

ただし、歪には、熱応力の発生源である熱歪に代表される、内部歪(=発生変位には直接関係のない歪)と呼ばれる種類のものもあり、これは状態変化に影響を及ぼします。今の問題には、この内部歪は関与しません。
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この回答へのお礼

こんなに具体的な解答が頂けるとは思っていませんでした!
本当にありがとうございます。助かりました。

お礼日時:2008/10/27 00:26

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