百人一首を多少覚えようとした時期があって、鑑賞解説文を読んで、その歌心はもとより、技巧性の充実横溢に感嘆しました。1000年前にあれほどの完成度を示した分野なのに、なぜ庶民的に敷居を低くしてしまったのか、あるいはそれが膾炙しているのかよくわかりません。
皇室の歌会始なども、もっとあの人たちならば教養ある技巧を読めると思うのに、わざとレヴェルを落とされていないだおるかと思います。
日本の短歌俳句は、韻を踏む必要がないという自由度があり、敷居が低いと思うのですが、こういうものを逆手にとって、誰でも作れるということはすなわち堕落につながるマイナス面が多くはないでしょうか?
A 回答 (3件)
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No.2
- 回答日時:
恐ろしくギターがうまい人がいたとします。
史上最高レベルです。ですが「ギターは高貴な楽器なので一般人は触れるな!」という決まり事があったとしたら、取り巻き以外の誰が演奏テクニックのすごさを真に実感できるのでしょうか。
純文学は高尚であると仮にしておきましょう。反論があるかもしれませんが。
しかしそれを理解するためには大衆文学などで素養を磨いておく必要がありますし、活字に慣れ親しむためにラノベや携帯小説から入る必要があるかもしれません。
#1さんがおっしゃっているので完成度や敷居などについては触れませんが、孤高の芸術なんてのは、どんなに完成度が高くても自慰にすぎないと思います。
ちなみに女子高生などが読んだ短歌を拝見したことは?
バカにしないでちょっと書店でのぞいてみてください。あのセンスもひとつの才能であり、立派な芸術として百人一首なんかとも渡り合えると思いますよ。
百人一首は浸透してますよね。その精神を現代に受け継いで何が悪いかと思います。もちろん古語の代わりに現代語で、二重三重にわなを張り巡らす。そしてうなって鑑賞する。それこそ芸術ではないでしょうか。
女子高生も、日ごろからわなを張り巡らさないとダメだと思っています。
No.1
- 回答日時:
詩歌に多少の興味・関心を払ってきた者です。
拝読しながら、質問者さんがご自身の確たる根拠も明示しないまま、簡単に「感嘆しました」とか、「あれほどの完成度を示した」とか、「敷居を低くしてしまった」とかとおっしゃっていることに疑問を覚えました。
と言うか、詩歌の優劣を判断する上で、「技巧」とかに囚われることにはたしてどんな意味があるとお考えなのでしょうか?
人と世界と言葉とが一種の三位一体の融合状態にあるとき、その言葉は間違いなく最も写実的な表現であり、世界とそれを表現すべく言葉を発した人とを寸分のズレもなく結びつけておりますよね。
こうして発せられた言葉以上に優れた詩歌があるとでもお考えでしょうか?
その意味で、質問者さんのおっしゃる「庶民的に敷居を低くしてしまった」とか、「教養ある技巧」とか、「わざとレヴェルを落とされて」とかという、一種の権威主義的発想の根底に棲み着いている先入観、思い込み、偏見は一体どこからやって来たのだろうか?と訝しく思わざるをえませんでした。
また「日本の短歌俳句は、韻を踏む必要がないという自由度があり、敷居が低い」とおっしゃいますが、判で押したような「技巧」や類型的な鋳型に迎合するより、言葉で人や世界を表現することの困難さを直視すること、表現という行為に潜んでいるどうしようもない根本的な矛盾を凝視することの方が、詩歌を制作する上では、はるかに困難、かつ大切なことだと思います。
なお、日本の詩歌には、いわゆる「七五調」や「五七調」に代表される《音数律》の伝統はあっても、古典的な西洋詩や漢詩のような「韻を踏む」伝統などの全くないことを、念のために申し添えておきます。
最後に、人間が本当の意味で自分の生き方を取り戻すためには、一度徹底的に堕落することが大切であると分かりやすく説いた坂口安吾の「堕落論」をお読みになることを、お節介とは存じますが、強くお勧めいたします。
たとえば、
いにしへの
奈良の都の八重桜
けふここのへに匂いけるかな
という句があります。
この歌に張り巡らされた二重三重の仕掛け(九重?)
これたしか百人中最年少の作品じゃなかったでしょうか?
音声の上でも
「七」≒「奈良」→「八重」→「九重」
ほかにもいろいろ張り巡らされている。
で、こんなものは普通庶民には作れないのです。どちらが優れているか、自明だということです。反論は技巧という以外の観点でなされるのでしょうが、私は「技巧」こそが詩の核だと思っています。
徹底的に堕落するのは賛成ですね。まだまだ日本は壊滅的にも破壊的にも慣れませんからね。
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