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たいへん初歩的な疑問なのですが、未承認薬って自由に使えるのですか?

普通の薬は薬事承認を経て、保険適用が認められて、病院などで処方されるのだと思っていますが、全く新しい国内で開発された薬でまだ、薬事承認されていない場合でも、本人が了承すれば、自費なら可能なのでしょうか?

同じく、海外の未承認の癌治療薬を個人輸入して使うなんて話を聞きますが、あれも、本人が同意して保険外で自費治療なら、なんの規制もなく自己責任で自由に使えるということですか。

とすると、海外では承認されている薬が、日本では審査が厳しくて使えるようになるのに時間がかかるという話は、要するに、保険の範囲で使えないだけで、お金さえ払えば、いくらでも使えると思ってよいのでしょうか?

そもそも、薬事承認って何を「承認」することを言っているのでしょうか?

ちょっと、考えると薬の世界は素人にはわからないことだらけでなので、詳しい方がいたら教えてください。

A 回答 (4件)

薬事の承認と、健保の適応の2つの問題があります。




まず、基本的な考え方として、厚生労働省の役人は事務官であって、病気の治療には携わっていません。中には医師の免許を持っている人もいますが、そういう人も基本的には事務手続きなどが仕事であって、治療を行っていません。ということは、実際の治療に関する知識は、現場で治療に携わっている医師より少ないと考えられます。その知識の少ない事務官が、知識の多い現場の医師に「ああしろ、こうしろ」と指示するのは不合理です。ですから、現場の医師は自分の知識に従って自由に薬を使って良いのです。これをプロフェッショナル・フリーダムといいます。

さて、プロフェッショナル・フリーダムによって医師が治療を行った結果、患者さんが死んでしまいました。原因は使用した薬の副作用です。
さて、誰が責任を取るのでしょうか?
ここで言う「責任を取る」というのは、「誰が損害賠償金を支払うか」という意味です。

医師が自分の判断でその薬を使った結果ですから、やはり医師の責任であり、医師が遺族に損害賠償金を支払うべきだ、と考えるのが順当でしょう。

ということになると、医師もうかつに薬を使うことができません。患者に薬を使うたびに、「この薬は大丈夫だろうか?」とびくびくしてしまいます。その薬がちゃんと効き目があり、安全かどうか実験を行って確認したいところです。
しかし、患者の病気は多種多様ですから、使う薬の種類も沢山あります。一人の医師が自分が使う薬の効果や安全性をいちいち実験して調べるのは大変です。そして、日本中の医師の全てが、各人で自分の使う薬を実験して調べだしたら、その手間や実験に使う薬品、機材等は莫大な量になってしまいます。

そこで、国がこれを肩代わりして、薬の効果や安全性などを調べ(実際には大学病院などに委託して)その薬に御墨付きを与えます。これが薬事の承認です。

薬事で承認された薬品は、国が調べて「問題がない」という御墨付きを与えたものですから、その薬を使って患者に問題が生じた場合には国が責任を取ります。万一の場合には国が損害賠償金を患者に支払ってくれる、という安心感があるから、医師はその薬を安心して使えるわけです。(その時に副作用が発見され、副作用に注意して使いなさい、という但し書きがあるのに副作用に注意しなかったために障害が生じた場合には、医師の責任になります。)



さて、健康保険ですが、健康「保険」というくらいですから、保険の一種です。自動車の自賠責保険や、火災保険、損害保険などと考え方は同じです。
「皆でお金を出し合って貯めておき、万一の時にはそのお金を使う」というのが保険という仕組みです。日本の人口の中で、実際に火事にあって焼け出される人の数はわずかですから、各人が少しずつお金を出してプールしておけば、誰か1人が火事で家が丸焼けになり、数千万円の被害にあったとしても、その金額を補うことができるわけです。
交通事故にあう人は多いようですけれど、日本中で運転免許を持っている人の総数に比べるとわずかなので、少ない掛け金で交通事故の損害賠償を賄えるわけです。


でもそのお金はみんなのお金です。もちろん交通事故を起した人もお金を少しは出していますが、保険金としてもらうお金の大部分は、他の皆が払った、みんなのお金です。みんなのお金ですから、その使い方はみんなのためになるようにきちんと決めておかなければいけません。交通事故でカーナビが壊れちゃったのなら買うお金は出しますが、「もうじき地デジになって今のテレビが使えなくなるから、自賠責保険のお金で新しいテレビを買おう」なんていうのはもちろんダメですよね。



健康保険も同じです。みんなで出し合って貯めたお金です。使い道はきちんと決めておかなければいけません。では薬事の承認が降りたばかりの新しい薬はどうしましょうか?
もしかするとその薬はある病気にかかっている人がみんな使うようになるかもしれません。だったら保険を適用すると皆が助かります。でももしかするとその薬が必要になる病気はほとんど罹らない病気かもしれません。あるいは罹ってもその薬が使えるような病状の人は少ないかもしれません。「じゃあ、保険は適用しないことにしておこうか、予算も限られていることだしさぁ。」ということになるかもしれません。



というわけで、その薬が本当に効き目が合って、安全な薬なのかどうかを、個々の医師に代わって国が調べるのが薬事の承認で、
これを健康「保険」という経済制度で使っていいことにするかどうかが保険適用なのです。

ですから、薬事承認されていない薬は、各医師の責任の下に使うことになります。この場合、たとえば人種的な差や食事習慣などによって薬の効き目や副作用に差があり、その結果重大な障害が生じた場合には、医師が損害賠償を支払わなければならなくなりますから、薬によっては医師が使用に慎重になったり、あるいは患者に対して、万一障害がおきても医師の責任を問わない、という念書を取ってから使用する、ということになったりします。

この回答への補足

すいません。No1さんでなくNo2さんの回答でした。

補足日時:2009/05/27 11:18
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

こんな丁寧でパーフェクトな回答をいただけて、感激しております。

お金のことだけ考えると、医者の損害賠償のリスクがなくなるのが、薬事承認、患者の金銭的負担が軽減されるのが保険適用ということなんですね。

薬事承認のための治験の段階では、医者が患者から念書をとって、医者の損害賠償リスクを回避し、かつ、患者の治療費はNo1さんの回答から考えて、医薬品メーカーが負担するということですね。

また、海外の未承認薬を治療目的で使いたい場合は、同じく、医者が患者から念書をとって、医者側の損害賠償リスクは回避するけど、治療費は医薬品会社が負担してくれるわけではないから、患者は高額のお金を払うということになると理解しました。

ところで、これは単なる好奇心の疑問なのですが、
薬事承認は通っているけど、保険適用になってない薬って、結構あるんでしょうか?
要するに、安全で効き目があることはわかっているから医者は安心して使えるけど、お金持ちの患者しか使えない薬って世の中に多いのかなと。

例え話ですけど、仮に安全な不老不死の薬が出来たけど、とっても高価だったとすると、薬事承認は通るけど、保険は適用されず、その結果、お金持ちだけが不老不死になるみたいな話です。

お礼日時:2009/05/27 11:17

今すでに先進医療に分類される治療があって、


「先進医療に係る費用」については全額自己負担です。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

なるほど、先進医療っていうカテゴリーがあるんですね。

ただ、一つ疑問は、患者が全額自己負担なら、わざわざ先進医療なんてカテゴリーをつくらなくても、薬事承認はされたが、保険適用はない薬、治療ってだけで良いような気がするのですが。

先進医療だと何か良いことがあるのでしょうか?

お礼日時:2009/05/28 12:47

「医薬品の薬事承認」というのは、人や動物の病気の診断や治療、予防に使用される「医薬品」を、日本国内に流通(製造販売)させてもいいですよ、という厚生労働大臣からのお墨付きのことを言います。

そのためには、その薬の有効性や安全性を、十分なデータをもって証明しなければなりません。

海外の未承認の医薬品や医療機器は、医師が個人輸入して、その医師の責任の下で病気の診断や治療、予防に使うことは許されていますが、医師法で許されているはずですが、それを人に販売したら、薬事法違反になります。

国内で開発された未承認の医薬品や医療機器は、薬事申請をする前のデータを取るための「治験」の目的では、使用することができます。多くはその開発したメーカーが医療機関と契約をして行われると思いますが、医師が自ら主導で行う場合もあるようです。いずれにしても、きちんとした計画(プロトコール)に則り、治療を受ける患者さんの承諾も得た上で、実施しなくてはなりません。

海外の未承認薬の場合は、保険がきかないので非常に高価になると思いますが、治験の場合は、基本的に開発メーカーが負担するのではないかと思います。
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この回答へのお礼

薬事承認とは、薬をいわば商品として製造販売してもいいですよというお墨付きなんですね。

回答ありがとうございます。

お礼日時:2009/05/27 10:52

そこまで詳しくはないのですが・・・



所謂薬事承認とは厚生省が国内で安全に使用できる医薬品だということを認めたことを指すと思います。

国内で開発された未承認の医薬品が少なくとも日本で出回ることは、
開発部門や治験をしている医師の横流しでもしない限りありえないと思います(その場合メリットがあまりにも少ないので(医薬品の開発には億単位の費用がかかりますから)そんなリスクを犯すひとはいないと思いますが)

海外で承認され流通している医薬品を日本で使用することは、物理的には可能だと思います。
しかしおっしゃる通り、医師または使用した人の責任なので相当な有益性がない限り使用しないでしょう。

日本は承認が大変遅い国です。
有益な薬はより早く保険の適応範囲内で使用できるといいですね。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

医師と使用した人の責任で使用できるけど、
リスクが高いので、よほどのことがないと、使わないということですね。

納得です。

お礼日時:2009/05/27 10:48

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