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No.4ベストアンサー
- 回答日時:
> 低大気圧の状態では酸素の不足によって血中の炭酸ガス分圧が上昇するので
低酸素だからといってもこうはなりません
> 一方,体内の炭酸ガス分圧は大気に比べてずっと高いから,どんどん二酸化炭素が排出される.
これは平地でも同じことです
> 血中の炭酸濃度は低下,アルカローシスが起きる.
これは主として低酸素に応じた過換気により炭素ガス排出が増えた結果です
> 肺胞でのガス交換は酸素に関してはほとんど大気ー血中で平衡するほど効率がいいから,
大気と血中ではなく肺胞内と血中のことですね
若い方では差が10Torr以下とかなり近い値です
で、肺胞内では飽和水蒸気圧と炭酸ガス分圧が高い分、大気中より酸素分圧は低いのです
たとえば大気中では150以上ある酸素分圧ですが肺胞内では100少しです
> 大気の方が低酸素分圧だとどうがんばっても血中酸素分圧を持ち上げることができない.
過換気により肺胞内炭酸ガス分圧(~血中炭素ガス分圧)が下がればその分少し肺胞内酸素分圧が上がり血中も少し増ええます
> 呼吸中枢が酸素分圧ではなくて炭酸ガス分圧をセンスしている,というところがミソ?
炭酸ガスより酸素分圧やPHのほうが敏感と考えてください
そのため重症の呼吸不全の方にむやみに高濃度酸素を投与すると低酸素が解消して呼吸促進がなされず高炭酸ガス~意識低下を招くことがあります
参考URL:http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/physi1/respi/res …
ありがとうございます.
シナリオがダメだというのはわかりました.酸素分圧のセンサーはイオンチャネルとのことで,そうすると極めて短時間でのレスポンスが可能になるのはわかりました.呼吸性アルカローシスは過呼吸で起きるとして,それがどのように解消されているのか,がやっぱりわかりません.高山病の総説を手に入れたので勉強してみます.
No.5
- 回答日時:
> 酸素分圧のセンサーはイオンチャネルとのことで
これがPHセンサーのことを言っているのであればそれはアシドーシスを検知する炭酸ガスセンサーとして働きます
> 呼吸性アルカローシスは過呼吸で起きるとして,それがどのように解消されているのか,がやっぱりわかりません
いちばん最初の時に書きました重炭酸利尿で、代謝性アシドーシス化して中和しているわけです
点滴をしてもお考えのように酸素化はしませんが、多分、利尿剤を使って重炭酸利尿するのでしょう
一般的にはなるべく高度を下げて酸素化が基本です
酸素ボンベの供給がままならない途上国で登山者が多い所にはGamow Bagなどと呼ばれるゴムチューブの中に患者さんを入れて外から足踏みポンプで加圧するものが準備してあることもあります
(キリマンジャロへ行ってきました)
参考URL:http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/kanki.htm
この回答への補足
こっちじゃないと長文はのせられないとのことで....
2009年のレビューでも,急性高度障害の生理は完全には理解されていない,との記述が多々見られるので,いまだに解明できていないところがあるようです.ebisu2002さんに何度かご説明をして頂いて,大体のスジを納得しました.
酸素分圧センサーと炭酸ガスセンサーのやりとりで気がついたのですが,私のいっているセンサーは,酸素を直接,計っているセンサーというニュアンスです.「pHセンサーが炭酸ガスセンサーとしてはたらく」,というお答えがいまひとつわからなくなっているのは,pHセンサーっていうのは水素イオンを計っているのか,炭酸ガス(イオン?)を計っているのか,が区別できないからのように思えます.水の中では同じことになるのかな?
例えば,明暗の受容の場合,松果体は光センサー,という場合と,ロドプシンは光センサーと言う場合のセンサーの意味はだいぶんに違う感じがして,それぞれ独立した文脈の中ではよいのですが,一緒の文に並べてしまうと違和感を覚えてしまいます.
今回の高度障害に関して言えば,「高度が上がったことは,何が,何を感知しているのか(光ーロドプシンと同レベル)」というところから知りたかったのです.高山病でwebを調べるといろいろ書かれてますが,本質的なメカニズムから説明されているものはあんまりないと感じました.低酸素のため,という記述が多いですが,たしかに引き金ではあるけど,体液のアルカローシスまで踏み込んでいる議論はなくて,納得できていませんでした.低酸素分圧下で,ebisu2002さんに詳しく教えていただいた循環生理はわかりました.それで最近のレビューをあたってみて,酸素分圧センサーはcarotid bodyというところにあって,本体(ロドプシンと同じレベル)はどうやらカリウムのチャネルらしいとのこと.高度が上がって低圧になり,酸素分圧が下がるとこのセンサーからの信号で呼吸がはやくなり,その結果,過呼吸の状態で血流の炭酸ガス分圧が低下,そのことをセンサー(たぶん,pHをセンスしている,脳幹にあるもの)が受け取って,危険信号出して頭痛やら嘔吐やらの高度障害のいろいろな症状を出す,ということらしい.酸素分圧センサーとpHセンサーが違う,というところがある意味,生理的なレスポンスをちぐはぐにしているらしい.pHセンサーのほうが時間が経つに連れて順応していく性質もあるらしく,腎での重炭酸排出=代謝性のアシドーシスとの相乗で短時間の馴化がおきるらしい,ということまで,理解できました.
たぶん,ほ乳動物のばあい,急激に高度が変わるような状況ってあんまりなかったのでしょう.つい最近になって3000mまで短時間で到達したり,数分で3万フィートまであがったり(予圧されているけど)なんて状況が可能になってしまったので顕在化したのかもしれません.新たな疑問としてはヒマラヤを越える(らしい)渡り鳥はどうやって対処しているのか? ある人は,鳥は赤血球でもクエン酸回路回して炭酸ガス産生しているから,という奇抜な意見をあげてました.
自分で試してみたい対症法としては,ちょっと炭酸ガス濃度をあげてやる..ビニール袋でやるか,いっそのこと,利尿効果も狙ってビールを飲むとか.炭酸水のほうが安全か? 機会があればやってみます.が,これまでになったことがありません.コロラド,アスペン近郊のスノーマスがこれまでの最高高度で飛行機と車とリフトで上がっているのですが,到達前に14時間,飛んでいるし,デンバーで2時間,接続待ちしているので馴化してしまったのでしょう.飛行機無しで,乗鞍か畳平か室堂か,気圧の低い雨の日にでもやってみます.
なにせ,どこら辺りから手をつければよいか,皆目分からなかったのでここで質問させていただきました.何度もおつきあいいただいたebisu2002さん,ありがとうございました.
No.3
- 回答日時:
高山病というのは意外と山で具合が悪くなったら何でも高山病という曖昧な診断が多いですよ。
その場で十分に検査して診断した例は極端に少ないから。
多くは事後診断で「じゃないの?診断」です。
身近に高山病になって事後診断されたと言われる人に、日当と必要経費を出すから「診断書」を見せてといっても、普通出しては貰えないから見せては貰えません。
医師は「高山病(じゃないの?)」と言っただけですから。
どちらかというと速く切り上げて帰れ。と言う意味合いがあります。
1000m程度(山中湖ぐらい)の高度でも山の中で具合が悪くなれば高山病と診断された。とすることもあるぐらいですから。
日頃減塩食で急な運動による発汗での脱水症状でも山の中で起これば高山病と言われるでしょうね。
といっても山中湖の町中で同様に具合が悪くなってもまず「高山病です。低地へ帰れ」とはまず言われません。
救護所で結構深刻な高山病で重篤だ。と言われて、一時点滴受けて休憩した後、下山せず頂上で笑ってるのは結構いたりします。
本来の高山病なら高度を下げる以外笑えないはずなんです。
しかし笑えるのは運が良いだけで、自覚していない何か他の持病が原因で具合が悪くなっている。とはその場ではろくに検査が出来ませんから医師も解りませんので降りろとしか言えませんし、もしそれが発症すればどうなるかはお解りでしょう?
数時間の滞在、準備運動程度で慣れるなら、日頃やや運動不足程度で貧血気味等ではないのでしょう。
その程度の気圧や酸素の薄さには元々何もしなくても順応できる余裕が有る。としか言いようがありません。
予防的意味合いでの安易な「高山病」という事後診断や無責任な憶測による弊害もありますかね。
6monakaさん,
ご回答ありがとうございます.高山病/高所障害で点滴,というのは意外でした.webで調べたらチベットあたりでは点滴で対処するらしいですね.酸素不足で起こされる障害が点滴で緩和されるというのはおもしろいと思います.どうしてそうなるのか..というのが疑問の第1点.点滴で酸素が供給されるとは考えにくいので,体をだましているのだと思いますが,その手口が知りたい.
数時間で準備運動で慣れる,のがどういうメカニズムなのか,が疑問の第二点.運動不足気味で,貧血っぽい人は2000 mに連れて行って数時間,我慢してもらえば普通の人に戻れる=順応するのがどうして数時間で可能なのか? 普通の人を2000-3000 mに連れて行って数時間,ほったらかしとくと低酸素分圧に耐性になるとすれば,検出の困難なドーピング(酸素 or 二酸化炭素?抜くからドープしているわけではないですけど)も可能になるのか? とか,いろいろ妄想まで膨らんでしまう.
私の理解では高所障害から肺水腫,脳浮腫を伴う深刻な症状にまで陥ってしまったケースは運動不足や貧血とは無縁な方にも起きるようです.高所障害は自覚してない持病よりは深刻な状態の一歩手前なのではないかと思えてきました.急性で,自覚できる症状って結構深刻なことに直結しているように思えます.
No.2
- 回答日時:
> おおもとの酸素不足が「ある程度でも」解決されているのか
これが過換気です
単に過換気だけでは呼吸性アルカローシス~呼吸抑制となり過換気を続けられませんが、アルカローシスを解消してある程度の過換気を維持します
生理学,全く素人です.申し訳ないのですが,まだよくわかっていません.よろしければおつきあい願えますでしょうか.
低大気圧の状態では酸素の不足によって血中の炭酸ガス分圧が上昇するので呼吸中枢が呼吸量の増加によって対応しようとする.ところが,肺胞でのガス交換は酸素に関してはほとんど大気ー血中で平衡するほど効率がいいから,大気の方が低酸素分圧だとどうがんばっても血中酸素分圧を持ち上げることができない.
一方,体内の炭酸ガス分圧は大気に比べてずっと高いから,どんどん二酸化炭素が排出される.その結果,血中の炭酸濃度は低下,アルカローシスが起きる.
呼吸中枢が酸素分圧ではなくて炭酸ガス分圧をセンスしている,というところがミソ? で,結局,体内の低酸素分圧状態は解決されていないので,直接酸素濃度で制御されているHIFの安定化が起きEPOやらVEGFやらが動員され新規の造血を伴う,1週間を必要とする高地馴化が進む.こういう理解であってますでしょうか.
だとすれば.2000 m付近でゆっくり運動するというのは代謝からの酸産生を期待するという意味があると考えていいでしょうか.馴化も代謝性の炭酸産生による補償なのでしょうか.
素人考えでは酸素吸入するより,ビニール袋かぶって呼気を再吸入するのが効果的に思えます.効率は悪そうですが炭酸水で利尿を促すのもありかもしれません.あちこちwebで紹介されている対症法とはまったく逆ですけれど.
No.1
- 回答日時:
順応の完成には長期間かかるものですが、ある程度は数時間でも意味があります
短期的には
酸素不足<-呼吸促進(過換気)<-低二酸化炭素(呼吸性アルカローシス)<-重炭酸利尿<-pH維持
末梢静脈収縮<-血液量余剰<-利尿
2000mクラスでしばらく寝ないで、尿を出し、できれば歩行などしますと効果的です
この回答への補足
ebisu2002さん,
早速のご回答,ありがとうございます.呼吸性アルカローシスの進行停止のためにcarbonic anhydrase inhibitorが使われる,というところまで理解できました.
わからないのは,たかだか数時間の2000 m付近での行動で,どうしておおもとの酸素不足が「ある程度でも」解決されているのか,あるいは解決されたとだませているのかという点です.5000 m超えの場合には週単位の時間をかけて馴化させるということなので赤血球の増加とかいろいろあるのは予想できますが,数時間では血球分化増殖は無理だと思います.
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