No.2ベストアンサー
- 回答日時:
> 「自由とは自由でありたいという精神が自由であること」
これはサルトルの言葉ではなく、サルトルが『存在と無』のなかで言った
「人間存在がまさに自己自身の無であるべきであるかぎりにおいて、人間存在は自由である」(『存在と無』第四部第一章I「行動の第一条件は、自由である」p.67 ちくま学芸文庫)
という言葉のなかの「自己自身の無」というところを、解釈して言い表した文章なのだと思います。
この「自己自身の無」というのは、
(1)人間存在は、その過去によって規定されるがままに行為をおこなうようなことはありえない
(2)意識に対して外的な何ものも意識を動機づけることができない
(3)人間存在はまずはじめに存在して、しかるのちに目的に対して関係をもつような何ものかであるのではなく、自己の目的によって自己を規定する一つの存在である
という三つを総合して言っているのですが、おそらく上記の文章を書かれた方が、この三つをまとめて「自由でありたいという精神が自由であること」というふうに解釈されたんでしょうね。
もちろんわたしがそう思うだけで、『存在と無』を全巻(なにしろ三分冊なのでね)を読み直してみたら、そんな文章があるかもしれないんですが、だけど、おそらくはないと思います。ちょっと表現がおおざっぱなので。
ですから、それに当たる原文の英訳というご質問の回答は、ありません、という以外にありません。
ところで、ちょっと思ったんですが、サルトルは「決定論」(すべてのことは必然的に起こる、自分の行動も外部の積み重ねによって、そう行為させられている)との対比で「自由」ということを論証していきます。そうして
「人間は全面的に決定されているか(それは容認されないことである。なぜなら、わけても、決定された意識、外から動機づけられた意識は、それ自身、単なる外面性となり、もはや意識であることをやめるからである)、あるいは、人間は全面的に自由であるか、そのいずれかである」(『存在と無III』p.42-43 引用同)
という。つまり、ここでは動機すらも否定されているんです。あらゆることが自己決定であり、自発性に基づくものである、と。あらゆることに自由である、ということが、意識の本質である、それゆえに、自分に関わるあらゆることは、自己決定に基づくものであるから、自分にはあらゆることに責任があるのだ、というふうに、この先つながっていきます。「或る意味で、私は、生まれたことについて選ぶ」(p.319)とまで。
そんなふうに考えていくと、「自由とは自由でありたいという精神が自由であること」というまとめはなかなか深いな、と思います。というのも、「自由でありたい」というのは、要するに外部からの束縛を逃れたい、という外的な要因から生じた意識です。けれども、人間の本来の意識、自由な意識というのは、そんな思いからも「自由であること」、つまり、三番目の「自由」というのは、要は "smoking free" の "free" と一緒で、“自由でありたい”という思いからすらも、自由であるのだ、と言っているわけですね。
さて、quotation サーチで"Sartre","freedom" で検索すると、山のようにヒットするのが
"Freedom is what you do with what's been done to you."
です。
「自由とは、あなたの身に起こったことに対してあなたのとる行動にある」ぐらいの意味でしょうか。これもおそらく直接の引用ではなく、第四部第一章IIIの「自由と責任」という箇所のまとめなのだと思います。
おそらく質問者さんはきっと、これは上記の言葉とはちがうとお考えで、この質問を立てられたのだと思うんですが、結局はおなじことを別の角度から言っているのだと思います。
だから、上記の英語をもとに、ご質問で書かれた文章を英訳してみると、
Freedom is what you are free from what you want to be free.
ということになるでしょうか。
何か、妙に格調高くないね……。いよいよサルトルから離れちゃったみたい。
以上、何らかの参考になりましたら幸いです。
No.1
- 回答日時:
面白そうなので、サルトル関係を検索してみました。
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0860.html
などを見るに付け、「外へ向かい」「関連性を重視した」サルトルが「◎◎とは◎◎~が◎◎である」といった自己言及的な論調で言葉を発するとは思えないと思いました。
>>>http://www.oyobi.com/maxim01/16_01p2.html から引用
私は孤独で自由だ。だが、自由はどこかしら死に似ている。
サルトル 「嘔吐」
<<<
>>>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3% … から引用
サルトルは即自と対自という対概念を導入する。これは物事のあり方と人間のあり方に分けて対比させたもので、即自である物事とは、「それがあるところのものであり、あらぬところのものであらぬもの」であるとした。これは物事が、常にそれ自身に対して自己同一的なあり方をしていることを意味し、このようなあり方を即自存在<?tre-en-soi>という。
それに対して、対自<pour-soi>である人間とは、「それがあるところのものであらず、それがあらぬところのものであるもの」とした。人間は、何をやっているときでも常に自分を意識することができるので、物事のように自己同一的なあり方をしていない。
人間は自分の本質を自ら創りあげることができるということは、例えば、自分がどのようにありたいのか、またどのようにあるべきかを思い描き、目標や未来像を描いて実現に向けて行動する「自由」を持っていることになる。ここでのサルトルのいう自由とは、自らが思い至って行った行動のすべてにおいて、人類全体をも巻き込むものであり、自分自身に全責任が跳ね返ってくることを覚悟しなければならないものである。このようなあり方における実存が自由であり、対自として「人間は自由という刑に処せられている」というのである(人間は自由であるように呪われている)。
とはいえ、人間は自分で選択したわけでもないのに、気づいたときにはすでに、常に状況に拘束されている。他人から何ものかとして見られることは、わたしを一つの存在として凝固させ、他者のまなざしは、わたしを対自から即自存在に変じさせる。地獄とは他人である。そのうえ、死においては、すでに賭けはなされたのであって、もはや切り札は残されていない。わたしを対自から永久に即自存在へと変じさせる死は、私の実存の永遠の他有化であり、回復不能の疎外であるといわれる。
<<<
これら記述を読むに付け、サルトルがご指摘のような文言を語ったとは思えないです。
で、"精神が自由"で検索すると、ヘーゲルが引っかかってきました。
ちがうかもしれません。。。今のところ、ここまでです。
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