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Aが、甲を乙だと勘違いして殺した場合について(客体の錯誤)
甲について殺人既遂はわかるのですが。
乙についてはどうなるのでしょうか?

結論として無罪なのはわかりますが(どの本にも乙への罪名については書かれてません)理由は不能犯だからでしょうか。であるならば、一般人からして乙だと認識しえた事情の有無を考える必要があるように思いましたが、わかる方お願いします。

また、B犬をA男と勘違いして殺してしまった場合(客体の錯誤)
通説では、A男に対しては不能犯だと思うのですが。

ところが、抽象的符合説ではA男に対しては殺人未遂になるようです。通説と同じく不能犯になぜならないのでしょうか?
よろしくおねがいします。

A 回答 (4件)

[まずは前回の回答に対する~に関しては認識を同じくしております]


今一度、元のご質問に戻りつつ調べ直しました。以下まとめです。(ただし答えにはなっていないです)

1.具体的危険説における客体の錯誤
甲に対しては具体的危険説より一般人からの事情を考慮すべきでないか―>具体的危険説では一般的事情を基礎として客観的に「危険性の有無」を判断する。よって一般人からして甲に見えても見えなくてもいずれにしても甲には危険が生じていないので、元々おっしゃっていたように不能により不可罰。

2.抽象的事実の錯誤(重い罪の認識で軽い罪を犯した)
故意論の問題となる。通説の法定的符合説でも重い罪の未遂犯が成立する余地がある(ただし危険性の発生が条件)。抽象的符合説は、犯罪の認識で犯罪の結果を生ぜしめた以上故意を認めるとするので、人を殺す故意で犬を殺しても殺人未遂が成立。

単なる参考レベルでしょうが、私のまとめは以上です。
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この回答へのお礼

大変遅くなりましたが、ありがとうございました。
丁寧に答えてくださってわかりやすかったですm(_ _)m

お礼日時:2003/09/27 17:52

全体を通して不能犯を客観的危険説の立場で述べられていると思います。


それを踏まえつつ、例4を元に書きます。
おっしゃるような「一般人が認識し得た事情」を考慮する
のがこの説の立場ですが、それはAの行為による客体に対しての危険性を考える上でのことであり、つまりその必要があるのは、客体である甲男に対してです。
しかしそれは甲男へ結果が生じていない上で法益侵害の危険性があった場合ですから、実際に結果が生じているこの件では事情の考慮は必要ないと思います。
そして問題の乙女にはAの行為による法益侵害の危険は全く生じていないので犯罪を成立させないでしょう。
それを不能犯と呼ぶのでしょうか....少なくとも法定的符合説からは、構成要件の範囲で客体が存在するので、客体の不能にはならないと思うのですが、だとすると乙女に対しては不能犯であったからとする理由はどうも違和感があります。
単に、法益侵害の危険がなかったのがその理由、とするのではダメでしょうか。

私は自信があるわけではないので、akeminnさんに更に疑問、反論があれば是非とも伺いたく、そして議論をしたく思います。

刑法総論って難しいですが、その分面白いですよね。
私にとってもいい復習になっています。いい題材をありがとうございます。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

さて、「不能犯を客観的危険説の立場で述べられている」とのことですが下にも書きましたが、一般人が認識し得た事情を考慮するのは具体的危険説ですね。単に書き間違えでしたらすみません。

>法定的符合説からは、構成要件の範囲で客体が存在するので、客体の不能にはならないと思うのですが

法定的符合説や具体的符合説というのは、「予期せぬ客体」に対して結果が生じた場合に、その「予期せぬ客体」に対してどの範囲で故意を阻却するかの問題ですよね。

つまり、ケース4の甲男も「予期せぬ客体」なんです。
ですので、「構成要件の範囲で客体が存在する(←これが違うような気がします)ので客体の不能にはならない」というのは違うような気がします。

その「予期せぬ客体」甲男に対して故意を阻却するかどうかの問題が、法定的符合説や具体的符合説の対立だと思います。

私も勉強不足のため自信はありませんが、議論を交わすことで理解が深まると思いますm(_ _)m

お礼日時:2003/07/11 14:34

Aの行為による乙への法益侵害の危険性は


無いので、乙への犯罪は成立しないでしょう。
法定的符合説では、甲でも乙でもヒトという客体が
同一であれば構成要件を成立するとされますので、
Aが乙と甲をなぜ間違えたかのか、という理由を
考慮する実益はないでしょう。
人を殺そうとして人を殺したのですから。
一般人からして....という事情を考慮する必要が
あるのは、「熊だと思って撃ったら人間であった」
というような過失や責任を問題にする場合でしょう。

なお、理由は「不能犯であったから」とするのは
違うように思います。
Aが(例えば何かのお告げを信じ)乙を殺害する目的で、
甲を殺害したのであれば、乙へは不能犯であるとして
よいでしょうが。

抽象的符合説では、
主観と客観がずれていても、犯罪的意図で犯罪的結果を
生じた以上、故意犯の処罰は可能であるという観点から
犯罪を考えるので、殺人未遂と器物損壊罪の観念的競合、
あるいは殺人未遂のみ成立します(抽象的符合説の立場でも説が分かれます)。
法定的符合説では、殺人未遂のみ成立しますし、
具体的符合説ではそもそも故意が阻却されますね。

人との認識で犬を殺害する抽象的事実の錯誤において、
人に対する「不能犯」になるという“通説”とは何説なのですか?

B犬を殺したらA男が死ぬと信じて、B犬を
殺害したとすれば、A男に対して不能犯であるという構成は
判らなくはありません。しかし前の例もそうですが、
構成要件の該当性と不能犯の定義を混同されている
気がしますがいかがでしょうか。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
さて、不能犯の件ですが。

1、bshipさんのおっしゃっていた、Aが(例えば何かのお告げを信じ)乙を殺害する目的で、甲を殺害したケース
→具体的危険説(通説)で不能犯
2、殺人目的で砂糖食べさせたケース
→通説で一般人が砂糖とわかれば不能犯
3、甲を殺そうとベットに向けてピストル発射したが、甲はいなかったケース
→通説では、一般人もベットに人が寝ていると認識しうるので殺人未遂(不能犯ではない)

と、不能犯の事例をあげてみました。
これらは通説では、(行為者の認識していた事情と)一般人の認識しえた事情からして、法益侵害の危険性の有無で判断されますね。

これに対し、4、Aが甲男を乙女だと勘違いして殺した場合。
同じように、一般人からして甲男が乙女だと認識しえたのなら、法益侵害の危険性があるといえる(もちろん一般人からして)ので、乙女に対して殺人未遂。そうでないなら不能犯と考えました。

1~3(不能犯の事例)と4の事例はどこが違うのでしょうか?
よろしくお願いします。


補足
人との認識で犬を殺害する抽象的事実の錯誤において、
人に対する不能犯になるというのは、法定的符合説のことを指しました。
私の参照した本に、当該事例で「人に対しては,一般人が人と思える事情がない限り不能犯。」と書かれています。

これを見てから「客体の錯誤の場合には、抽象的符合説を除いて、認識した客体に対しては不能犯になるのかな」と思ったのです。

お礼日時:2003/07/07 15:30

まずちょっと質問なんですが、これは判例でしょうか?


もし判例だとして、実際に裁判が行われたとしたら、客観的に見て乙だと認識した事情がわかったからではないでしょうか?
もし判例でなく、甲と乙を錯誤する事情が客観的に観察できない場合であれば、錯誤の事情を明らかにしなくてはならないと思います。
それと、不能犯ということは乙を殺害することが不可能な行為だったのですか?

では、不能犯には触れないで2つめの例。
抽象的符号説は、行為当時に認識した犯罪事実と発生した犯罪事実とを比べ、少なくとも軽い罪について故意犯の成立を認めるべきだという説なので、こちらのA男の殺人未遂となったのではないでしょうか?

ところで、B犬とは人間ですか?
もしも犬だということであれば、そもそも故意は認められませんよね?錯誤なのですから。。。
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この回答へのお礼

大変遅くなりましたが、ありがとうございました。
私の勉強不足でパニックになり質問に答えられなかったのです(^^;;;

お礼日時:2003/09/27 17:43

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