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映画の世界では、よく「ワンチャンス主義」と言いますが、俳優の権利は出演時にギャラを受け取るのみで、以後の権利は全て映画会社に帰属するというのが一般的な考え方だと思います。
したがって、個別に契約を交わしていない限り、映画がテレビで放送される場合やDVD化の時には俳優さんたちに利益の還元はありません。

しかし、テレビドラマの場合は判断が分かれるようです。
映画会社が制作しているテレビ時代劇などは映画扱いで、DVD化や再放送の時には俳優さんには権利料が支払われないようですが、いわゆる大手テレビ制作会社が制作し民放が放送しているようなドラマは、DVD化される際には出演した俳優さんたちにも権利料が支払われる場合もあるようです。

著作権法上、テレビドラマと映画はどのように線引きされるのでしょうか。
映画会社が制作すれば、テレビドラマも映画と認定されるのでしょうか。

主役級の人で個別に契約がある場合は別ですが、テレビドラマにおいて、脇役などで特に制作会社やテレビ局と二次使用に関する契約を交わしていない場合、DVD化の時に使用料を受け取る権利はあるのでしょうか。

A 回答 (2件)

色々誤解があるようですが、まずなぜ劇場映画の俳優にDVD化やテレビ放送時に権利がないか著作権法をみてみます。


まず映画の著作物とはなにかといいますと、普通想定する映画館の映画はもちろんですが、著作権法では

第2項 3 この法律にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする。

と 映画だけでなく 映画の効果に類似するもので固定を要件とするものも 映画の著作物と定義しています。テレビ番組も放送のために一時固定するものは映画の著作物に入ります。生放送のような固定していない映像は映画の著作物には入りません。他にもテレビゲームも映像を再生するため映画の著作物に入る場合があります。だからテレビドラマも映画の著作物です。
第2項
十三 録音 音を物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。
十四 録画 影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することを
著作権法での録音録画とは 普段私達が考えている録音録画だけでなく、録音・録画したものを複製する行為も入ります。CDやDVDをコピーすることも著作権法では録音・録画です。

(録音権及び録画権)
第九十一条 実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。
2 前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾(第百三条において準用する第六十三条第一項の規定による利用の許諾をいう。以下この節及び次節において同じ。)を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない。

基本的には実演家には録音権・録画権があります。先ほど定義した通り、DVDの複製物を販売する旅に権利が及ぶはずです。しかし2項で映画の著作物において 実演家の許諾をもらって撮影した場合 それ以降は録画権・録音権が働きません。劇場映画の場合当然撮影の許諾を得ているのでこれがあてはまります。では放送用のテレビ番組はというと、基本的にはその許諾はとっていないので、その後も録音権・録画権を持ちます。
そんな馬鹿なと思うかもしれませんが、放送するために撮影する場合は放送する許諾だけをとればいいのです。この時同時に録画権の許諾をとれば劇場映画と同じくその後の録画権は働きませんが、普通しません。
放送に関しては
第九十二条 実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 放送される実演を有線放送する場合
  二 次に掲げる実演を放送し、又は有線放送する場合
イ 前条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録音され、又は録画されている実演
ロ 前条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

前条第1項第2項は第91条のことで放送も最初に許可を得て録画録音されたら放送権はない。
テレビドラマと劇場映画の違いです。
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この回答へのお礼

大変わかりやすい回答でありがとうございました。
私がよく分からないのは、昭和30年代~50年代頃に大手映画会社が制作したフィルム素材の時代劇や青春ドラマ、ホームドラマ、サスペンスドラマなど、いわゆる「テレビ映画」です。
著作権法上の解釈からすると、テレビ映画をBSやCSで再放送(番組販売)、DVD化する場合は、その度に俳優の権利が発生するはずです。
ですが、全て確認したわけではありませんが、おそらく俳優の許可を取ってやっているわけではないし、権利料も払われてはいないと思います。
その頃は、今と違って契約書もきちんと交わしていないし、事実上映画会社が全ての権利を握るという商習慣でやっているということですかね。

お礼日時:2010/12/19 09:18

あなたがお察しの通り、映画制作会社が制作した作品と、テレビ局やテレビ番組制作会社が制作した作品との違いじゃないでしょうか。


俳優さんのギャラなど、制作費を管理するのはプロデューサーですが、映画畑で育ったプロデューサーと、テレビ畑で育ったプロデューサーは発想が根本的に異なります。
映画全盛期のころは、映画屋はテレビを「電気紙芝居」と言ってバカにしていましたし、テレビ屋は映画に追いつこうと必死でした。
元々映画屋とテレビ屋はライバル関係にあったわけで、考え方が異なるのは当然です。
そもそも映画全盛期には、俳優は映画制作会社の社員で、ギャラではなく月給をもらっていました。
自社の社員ですから、自社で制作した作品をどう使おうが会社の勝手で、社員に権利を主張する権限はありません。
その後、芸能プロダクションという新しい業態が登場したため、その芸能プロダクションに所属する俳優やタレントは、仕事のたびに制作会社側と契約を結ぶことになり、ギャラなどの交渉ができるようになったのです。
つまり、映画制作会社は伝統的に俳優が権利を主張するという発想自体なかったのです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
著作権法には「映画の著作物」と書かれていますが、何を持って映画の著作物なのかイマイチよく分かりませんね。
一般的に映画会社と思われている会社がテレビドラマを作ったり、テレビ局が映画を制作することもあり、法的に何を以て映画会社というのかも不明です。
著作権の中で、映画だけ50年から70年に延長されましたが、映画監督の権利は元からないし、脚本家の権利も50年のままなので、ようするに旧来の有名映画会社だけ有利になっている気がしてまりません。
昔の徒弟制度が今でも続いているんですかね。

お礼日時:2010/12/18 17:15

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