No.3ベストアンサー
- 回答日時:
もう一つ付け加えておきましょう。
「犯罪(行為)の客体」という表現があります。客体とは対象くらいの意味に思ってください。
これとは別に「保護の客体」という表現もあります。
それぞれどう違うのか?大体重なることがよくあるのですが、例えば公務執行妨害罪では、「犯罪(行為)の客体」は公務員です。つまり、公務員に「対して」暴行脅迫を用いるので、「犯罪(行為)の客体」は公務員というわけです。一方、「保護の客体」ですが、これは「国家(地方公共団体等も含む。以下同。)の作用」です。公務執行妨害罪という犯罪類型が保護している対象は何かと言えば、これは「公務が適正に執行できること」つまり「国家の作用」であって、その公務を執行する公務員を保護することで、公務が適正に執行できることを実現するというわけです。ですから、「保護の客体」は、「国家の作用」具体的には「適正な公務執行」ということになります。この「保護の客体」こそが保護法益なのです。
ちなみに、「被害者」(特別な法律概念ではなく、当該犯罪行為によって直接に害を受けた者くらいの意味に思っておけば十分です)というのはまた別の話です。公務執行妨害罪など国家的法益についての罪で、被害者は誰かを論じる実益はありませんが、あえて言えば、「国家」です。
No.2
- 回答日時:
法益とは、法的保護に値する社会的利益のことです。
権利よりも広い概念だと思ってください。定義的には刑事に限らない言葉なのですが、一般には刑事実体法で使う概念です。保護法益というのは、それ自体は一つの用語ではなくて、単なる複合語です。つまり、「保護」と「法益」がくっついているだけであり、文字通り、「保護する法益」(あるいは「保護している法益」。)という意味です。例えば、「捜査対象」という表現が、「捜査する対象」という意味であるのと同じようなものです(なお、「法益保護」との違いは、法益保護は、「法益の保護」という意味であるから、「保護」が一番言いたいことであり、「法益」は単に「保護」の対象を明示する説明に過ぎない点です。「保護法益」の表現の主題は、「法益」の方であって「保護」は単なる説明、言い換えれば「法益」を限定するものに過ぎません。日本語の表現では、最も言いたいことが一番最後に来るのが基本ルール。)
「保護する(している)法益」というからには、通常は「何がどんな」法益を保護する(している)のかということが問題になるわけでして、それが刑事実体法で問題になる「保護法益論」というものです。
保護法益論とは、「何がどんな法益を保護しているのか」を明らかにすることで、犯罪の本質を明らかにすることなので、刑法解釈論の前提として非常に重要なのです。
「何が」については、通常は、「犯罪類型を定める刑法(特別刑法含む)各条が」なので、実際の議論では、その「刑法各条」を問題にするのですが、こと刑法典に関する限りは、内容を端的に表現する罪名が付いているので、罪名をもって表現するのが普通です。例えば殺人罪とか窃盗罪とか放火罪とか。
「どんな」は、刑法各条が保護を図っている法益の実体そのものです。具体的な刑法各条が、具体的に一体どんな内容の社会的利益を保護しようとしているのかということです。殺人罪なら、「個人の生命」であり、窃盗罪なら「個人の財産権」(詳細は略)であり、「放火罪」なら類型によって「個人の生命」「個人の財産権」「社会公共の安全」等など。
つまり、刑事実体法上の議論における「保護法益」とは、「一定の犯罪類型を刑罰という制裁をもって抑圧することで保護を目指している一定の社会的利益」ということになります。
そして、「どんな」というのがまさしく議論の中心で、それぞれの犯罪類型が、「実社会におけるどんな利益を守ることを目的としているのか」ということを明らかにすることが、犯罪の実体を明らかにし、刑法各条の定める犯罪の実質的な中身を明らかにすることにつながるのです。それが、様々な刑法解釈に影響を与えるので、保護法益論は非常に重要なのです。
お礼遅れてすいません
保護法益の意味がわかりました
簡単にいえばひとそれぞれの何を侵害しているかによって刑罰をきめるって感じですよね?
わかりやすい回答ありがとうございました^^
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