初めて自分の家と他人の家が違う、と意識した時

フランス文学、contes cruelsの特にDuke of Portlandの面白みってどこでしょう?
Véraの方が割と話し中に私は入って行きやすく読みやすかったのですが、ポートランド伯爵はイマイチ自分の中で 面白いところがわからず読み込めません。

面白いなと思われるポイントがありましたら教えてください。よろしくお願いします!

A 回答 (1件)

確かに「ポートランド公爵」と「ヴェラ」は、合わせ鏡のような短編ですよね。



不治の病である「癩」を病み、自身は世を隠れながら、城館で夜宴を張り、遠くからその輝きを眺めるポートランド公爵と、ヴェラの死後も、妻が生きているように日々を過ごすダトール伯爵は、眼前の死を拒み、美に生きようとする点で、同一の人物といえるかもしれません。

> Veraの方が割と話し中に私は入って行きやすく読みやすかったのですが

どこらでそのように思われたのかわかりませんが、最愛の妻が現れ、伯爵が“おまえは死んでいるのだ”と思った瞬間、墓場の鍵が降ってくる、というところなど、こちらの方が「オチ」がくっきりしているかもしれませんね。

ただ、わたし自身は、マントですっぽりと身を包み、黒いマスクをつけた公爵が、波打ち際で光り輝く城館を見上げている、というイメージは、忘れがたいものです。生きながら自らを死んだ者とし、自分だけがいない華やかな夜宴を、ポートランド公爵はどのような思いで見ていたのでしょうか。若き日の自分の蛮行、自分の若さと力と権勢を恃み、不治の病の「最後の保管者」の手を握ったことに対する後悔は、どれほどのものだったでしょう。さらには、婚約者ヘレナに対する思いは。

リラダンの作品は、「どうなったか」という筋を追うよりも、ことばをひとつずつ丁寧にだりながら、そこで描かれている情景を、頭の中で映画を見るように思い浮かべ、そうして登場人物の気持ちに思いを馳せるものだと思います。そうやって読んでいくと、ほんとうに短い短編が、忘れがたいものとなって、読者の心に残っていくのではないでしょうか。
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