

ある医学系の論文で出てきたのですが、ある種の蛋白の特定のアミノ酸配列に対して反応するmonoclonal抗体についての内容で、抗体作製時の抗原がウシ由来の蛋白で、それを用いてヒトの組織を免疫組織染色すると、その蛋白が正常のものではほとんど染色されることはなく、リン酸化等の修飾により変性が進み、構造が変化したものが陽性に染色されるとのことです。
その原因として、ある特定の位置のアミノ酸がウシではserineであるのに対し、ヒトではprolineであるため、正常の蛋白はいまいち反応しないものの、その変性した蛋白で陽性反応を示すのは、prolineが "serine conformation"を起こしているためと結論づけています。
このserine conformationとは、一体どのような状態なのでしょうか?
No.21
- 回答日時:
どうも、またまたryumuです。
MiJunさん、初めまして。
まだまだ未熟ですが、今後もよろしくお願いします。
前回の回答ももっと早く投稿するつもりだったのですが、
なんせ週末だったもので、夜は遊んでしまいました^^;
さて、ご質問の件ですが、
>1.ヒトτの該当epitope部分のPro前後のconformation
>⇒βターン構造をとっているのか?さらに、それはI型かII型か?
これに関して、この分野で現在どういう知見なのかは残念ながら知りません。
ただ、このPro領域はどうか分かりませんが、PHF形成時においてはτ分子”間”で、βシート構造を取っている可能性が極めて高いです。
さて、もしヒトτがPHF形成時にβターン構造を取ると仮定してみると・・・
ターン構造の代表は、I型とII型ですが(その他、III型、VI型、またI型の鏡像のI’型などもあります)、II型では、折れ曲がる残基間で酸素原子と側鎖Cβ炭素との立体障害があるため、側鎖がないGly以外は不安定です。
となると、今回の場合、ProでもSerでも隣がGlnなのでI型を取りやすいという結論になります。
すると正常時のヒトτにおけるPro周囲の構造は、全く異なる構造を取っており、PHF形成時にI型に構造変化する・・・というストーリーが考えられますね。
この考察ではすべて、一分子内でのターン形成の話に限っていますが、
他の分子との会合により(=繊維化により)、ヒトτのPro周囲の構造がTau2結合能をもつ構造に変化することも十分に考えられます。
いずれの場合も、Proの働きとしては、直接Tau2と結合するのに役立つのではなく、Tau2と結合する構造を作るのに重要である、ということになります。
しかし、そのような構造の解析は極めて難しいと思います。
複合体で、おそらくすべてが同じ構造ではなく(すべての複合体の構造が均一である保証がない)、しかも不溶性ですからね。
>2.ヒトτのリン酸化により、その影響がPro前後の「シスートランス変換?」を起こすのか・・・?
Proの直前にリン酸化されうるThrがありますので、その可能性はあると思いますが、逆にリン酸基結合による立体障害のため、シス-トランス変化を”起こさない”ように働く可能性もあると思います。
>3.リン酸化前後でのシャペロンの関与はないのか・・・? (シャペロンの関与はτタンパクが合成される場合でしょうが・・・?)
これは全く分かりません。個人的にはあらゆる蛋白質でシャペロンの関与があるように思います。
やや、話がずれますが、繊維形成能を持つペプチドは、放っておくとβシートを形成し易いです(合成ペプチドをつくって溶液に溶かしたとき、すぐさまβシートになり沈殿することがよくあるそうです)。それが健康な生体中では、繊維を形成しないのは、形成した繊維を速やかに分解する酵素が働く(どこかでそんな話を聞いたような・・)、あるいは、シャペロンが繊維化したタンパクを正常構造に再フォールディングする・・・ということも起こっているのではないかと私は思っています・・・確信はないです・・・どうなんでしょうね??
>「二次構造」等に詳しいものをご紹介ください。
参考になるか分かりませんが、江口至洋著「蛋白質工学の物理化学的基礎」(共立出版株式会社)なんかはどうでしょう?
ただ、生体中の分子は、かなり揺らいでいます(これはNMRのお得意分野ですね^^)。
本や参考書等で見られる立体構造は、あくまで時間平均の構造であり、瞬間的にはかなり無理と思われる構造も取りうる可能性もあります。
また、そう考えないと静的構造からでは活性機構が説明できないこともあります。
No.20
- 回答日時:
MiJunです。
ryumuさん、初めまして。rei00さん同様以前からご意見を伺いたい(ご教示願いたい)と思ってました。それにしても、早朝からの回答(徹夜明けでしょうか?)ありがとうございます。
こちらは、起きたばかりで頭が回ってませんが(目がさ醒めても同様ですが・・・、笑!)、少しご教示の程お願いします。
「Serine conformation」に関しては、original paperを読んで「synthetic peptide」の記載が分かってからは、ryumuさんの見解通りと思います。
⇒sonorinさんの初期の回答は出たのではないでしょうか・・・?
当方の関心は論文の論点とは外れてしまうのですが、
1.ヒトτの該当epitope部分のPro前後のconformation
⇒βターン構造をとっているのか?さらに、それはI型かII型か?
2.ヒトτのリン酸化により、その影響がPro前後の「シスートランス変換?」を起こすのか・・・?
3.リン酸化前後でのシャペロンの関与はないのか・・・?
(シャペロンの関与はτタンパクが合成される場合でしょうが・・・?)
それと、成書をいくつか図書館から借りてきたのですが、
「二次構造」等に詳しいものをご紹介ください。
特に、αへリックス・βシートは詳しいのですが、「βターン」に関してはあまり記載がないようですので・・・?
ryumuさん、ご教示ください。
No.19
- 回答日時:
どうも、rei00さんからお誘いを受けてやってまいりました構造生物屋のryumuです。
構造屋としては専門家の部類に入ると思いますが、τ蛋白については全くの素人です。
私が研究してるのはイオンポンプなので、適切な回答になるかどうかちょっと自信がありません・・・責任逃れ?^^;。
で、私もとりあえずこの論文をさっとですけど読んでみました。
sonorinさんへの回答としては・・・・
まずSer conformationという言葉ですが、一般的なものではないはずです(論文中では、すべて不定冠詞”a”がついてますし・・・たぶん^^;(汗))。
この論文の中でのSerine conformationとは、ウシτに含まれるSer101、および合成したSer ペプチド(=AGIGDT”S”NLEDQAA)のSer、の両方がとっているコンフォメーションのことを示す言葉して用いられていますね。したがって、具体的な高次構造について述べているわけではないようです。
SerがProに変わっているヒトτは、ノーマルな状態ではTau2とほとんど結合しないのに、変性後はTau2との親和性が上がる、という実験事実から、変性後のヒトτでのPro周囲は変性前に比べ著しいコンフォメーション変化を起こし、結果的にSerの場合と同じような立体構造の環境(=Ser conformation)になっているだろう・・・ということでしょう。
私に言えるのはこんなところです・・・期待はずれですみません->rei00さん、MiJunさん^^;
ただ、この論文ではSerine conformationがどういう構造かをいうことはまず不可能です。
で、私なりに考えた考察ですが、このWatanabeらの結論以外に以下のようなことも考えられるような気がします・・・
蛋白質は、常温でかなり揺らぎを持っています。
このような揺らぎのなかで、分子認識を行うには、ある程度運動性の制御が必要に思われます(この辺の議論はまだ明確な見解は得られていません)。
ところで、蛋白質の繊維化現象は、αヘリックス構造の一部が崩れ、他分子とのβシート構造形成により沈殿を形成する現象ですから、繊維化により二次構造変化に加え分子の運動性をも低下させることになります。
一方、ProとSerは構造が違うので、それらの構造自体を直接比較するわけにはいけません。
したがって、Proのコンフォメーション変化によってSerと類似した立体構造をしてると考えるのは無理があるように思います。
ここで構造屋としてProで思いつくのは、Pro残基N原子の水素結合能の消失、およびその消失による運動性上昇です。
Tau2のτの認識に、本当はSer自体が必要なのではなく、その水素結合による分子の揺らぎの低下が必要であると考えるとどうでしょう?
つまり、ノーマルなヒトτでは、Proの存在によりTau2認識領域の揺らぎが大きいためTau2の結合がしにくいが、繊維化により揺らぎの低下がおこると、認識しうる・・・
ここで、当然ですが、運動性の低下によってTau2が認識するのための特定の構造(Ser conformation?)をτが保持する必要があります。
ん~~・・・まったく見当はずれかもしれませんけど・・・^^;
・・・Pro、Ser以外の残基でつくられたτ、あるいはペプチドはないのでしょうかね??
以上、思いついたことを書いてしまいました。
お役に立てたかどうか・・・・あやしい・・・
No.18
- 回答日時:
MiJunです。
>MiJun さん,すみません。お気を悪くされたら謝ります(ご免なさい,ペコリ)。
rei00さんとはお付き合いも長い(?)ですから、全然気を悪くしてません(笑)!!
(ですから、前回(笑)と入れたのです。)
否、こちらが適当に(こちらはない頭で少しは考えているのですが・・・、爆笑!)話題提供したり、初歩的な質問をしているので、自戒の面も含めて反省してました。
いずれにしても、今後もこのようなフリーなディスカス(単に教えて頂いているだけですが?)が出来る、”単なるレポートの回答でない質問”を望みたいですね!!
sonorinさんも、だらだら長くなっていらだっておられるのではないでしょうか・・・(早く締め切りたいと!)?
rei00さん、お勧めのryumuさんのご見解も伺いたいものです!
ところで、やっとPaperを手に入れました!前述のように国会図書館では、該当号が欠号でNACSISで探して「筑波大」から今日入手出来ました!
まだ、さっと1回しか読んでませんが、sonorinさんの補足が理解できるようになりました。
Referencesにあるいくつか見てみたい論文も出てきましたが、またまたOriginalにあたるのは大変そうです(泣き)。
読み直して、頭を整理してまた投稿したいと思います。
>MiJun さん,次はシャペロンですか。ドンドン発展しそうですね。「蛋白の構造」関係の参考書でも買おうかな? はまってみたい魅力を持った深みですね。
成書はいくつか探して、図書館から借りてきて読み始めました(理解できるかどうかは不明ですが・・・?)。
素人発想では、「シャペロン」が絡んでいれば面白いのですが、多分今回は関係ないでしょうね・・・?
でも、久しぶりに少し「マジ」になって「ハマッテ」ます
(大爆笑!)!
excitingな毎日を過ごさせて頂いて、sonorinさん、rio00さんに感謝です!!
No.17
- 回答日時:
rei00 です。
MiJun さんがお示しになった文献を読みきれずに(理解しきれずに)苦しんでいるのですが,簡単に私が把握できた事を回答しておきます。
その前に,「rei00さん、(?)の意味は・・・? →検討外れの検索(笑!)???」について:
MiJun さん,すみません。お気を悪くされたら謝ります(ご免なさい,ペコリ)。いつも MiJun さんの検索には脱帽してお示しになったペ-ジ等で勉強させていただいています。「(?)」の意味ですが,言いたかったのは,単なる検索能力だけじゃなく,知識欲や発想なども含めて「付いていけません」と言う事です。
どうも,私の回答には,丁寧に書こうとすると余計な事が多くなって,簡潔に書こうとすると言葉足らずになる事があるみたいです。以後気を付けます(反省)。
さて,先に MiJun さんがお示しになった最初の文献ですが,
この文献中にも type II β-turn や type-III (I) β-turn と言った言葉が出てきます。したがって,MiJun さんのお考えがあっているような気がします。
で,Discussion 中に次の一文を見付けました。
Since the NFTs are organized in β-pleated sheets, the selective recognition and staining pattern of mAb Tau 2 is in perfect accordance with the CD studies of the synthetic peptides and indicates that mAb Tau 2 indeed recognizes a tangles-related conformational epitope. Furthermore, our CD studies substantiated the existence of a "Ser conformation" and its difference from a "Pro conformation" of these peptides proposed by Watanabe et al.
つまり,NFTs は β-pleated sheet 構造をとっているが,Tau 2 抗体は「tangles-related conformational epitope」を認識すると言っています。
また,この論文の結果は Watanabe らの "Ser conformation" の存在と "Pro conformation" との差を実証したとも言っています。
ここで,私はまたわからなくなりました。この著者らが言っているのは,今までの回答に出てきた "serine conformation" なんでしょうか?それとも,"serine-like peptide conformation" なんでしょうか?この論文の Introduction との関係から考えると,「"serine-like peptide conformation" はどんな conformation かに興味をもって検討した結果,それは "serine conformation" だった」と思えるんですが・・・・(自信ありません)。
いづれにしても,専門家の意見が聞きたいところですね。
>「Tau protein」と「シャペロン」に関して何か Paper ご存知でしょうか?
MiJun さん,次はシャペロンですか。ドンドン発展しそうですね。「蛋白の構造」関係の参考書でも買おうかな? はまってみたい魅力を持った深みですね。
すみません。別の質問への回答でrei00さんと鉢合わせ(?)したようで、その中でrei00さんには専門家(?)へ、このテーマについての検討を促して頂いたようで。
これほど深く追求していただいて、嬉しい限りです!!
No.16
- 回答日時:
MiJunです。
>私の方は MiJun さんの検索力(?)に付いていけません。
rei00さん、(?)の意味は・・・?
→検討外れの検索(笑!)???
少し本論とは外れますが、この問題はタンパク質のconformationについていろいろと勉強になりますね!!
PubMedでの検索だけですが、興味のあるPaperがありますね?Abst.見ているだけでも勉強になります。さらに、モット勉強しなければと毎日思っております。
⇒成書を見つけて読んでみることにしました。
----------------------------------
もう少し、頭を整理してから投稿しますが、その前に基本的な事でひとつ疑問があります。
・「serine conformation」との関連で、化学大辞典(東京化学同人)で「β-ターン」の項で
============================
代表的なβ-ターンにはI型とII型がある。
============================
との記載があります。
ここからはお得意の素人推測ですが、
リン酸化によって問題の「serine」の前後(どちらかは分かりませんが?)で、例えばI型→II型の変化が起こり、そのことを指しているのでは・・・・???
sonorinさん、これも的外れな質問でかつPubMedでも未だ検索してないのですが、「Tau protein」と「シャペロン」に関して何かPaperご存知でしょうか?
sonorinさん、rei00さん、ご意見を!
この回答への補足
どんどん深みにハマッていきますね。しかも私の最も苦手とする分野へズルズルと…(笑)。
でも、ちらっと疑問に思っていたことを提示させていただいたことで、 reiOO さんやMiJunさんのおかげで、タンパクの構造等について見識を深められたことにとても感謝しています。
さて、tauについてもう少し追加情報ですが、 tuburin以外にtauは様々な分子と結合します。tuburin結合部位(tau C末端側)付近には、ubiquitinやヘパラン硫酸プロテオグリカン、protein phosphatase 、その他apolipoprotein E等が結合します。また、C末端側はプロテアーゼ抵抗性で、変性しても最後まで分解されずも残存しています。
ですが、tauN末端側に結合するリガンドは、私の知る限りではありません(これも勉強不足かもしれませんので、断定は避けます)。しかし、異常リン酸化は、このC末端側に比して、N末端側に非常に多く起こります。
補足になったかどうかは分かりませんが、最終的なご意見が投稿されることを祈って、お待ちしております。
(※ただいま職場が大工事中で資料を探すことも出来ず、さらにPCも使えないため、お返事が遅くなってしまいました。すみません。今は他人のPCを借りてお返事しているのですが、何とも満足な補足が出来なくて恐縮です!)
No.15
- 回答日時:
rei00 です。
> rei00さんのスピードにはついて行けません!
何をおっしゃいますか。私の方は MiJun さんの検索力(?)に付いていけません。ご指摘になった文献もその日のうちにコピ-をとったのですが,なかなか読めないのと理解力の不足で,回答するのが遅くなりました。
> やはり異常リン酸化により生じた蛋白の二次構造変化により問題の部分にも変化が生じ、tau-2は他の抗体に比べ、conformation-dependent epitopeにより親和性を示す性質を持つmonoclonal抗体と言えるのでしょうか?
sonorin さん,私もそう思います。この文献をようやく読み終えて回答を書こうとしたところ,sonorin さんに先を越されて,回答に困っていました。
ところで,その conformation 変化ですが,この論文の著者らは先の論文の「serine conformation」を「serine peptide-like conformation」と断定して,しかし具体的にどんな conformation か不明だという事から研究を開始していますね。
No.14
- 回答日時:
MiJunです。
rei00さんのスピードにはついて行けません!
まだ、Completeに整理が出来ていないのですが・・・・。
またまた、いくつか質問を・・・。
1.sonorinさんの補足で
>かんぜんなアミノ末端ではありません
これは「tau protein」には6のisoformがあることと関連するのでしょうか?
さらに一次シークエンスに関して、以前の補足で
>(Bovine) AGIGDTSNLEDQAAGHVTQARMVSK …tau-2免疫抗原
(Human) AGIGDTPSLEDEAAGHVTQARMVSK
とのことですが、これはN末からのものでしょうか?
以下の参考URLサイトの図2と比較してご教示ください。
2.tau-1、tau-2、AT8もAlz50と同aa1-10を認識するとされているのでしょうか?
3.最近の研究で上記の図3よりも多くのリン酸化サイト(アミノ酸部位)が分かっているのでしょうか?
4.>targetのペプチド中のヒトでは"Pro"の部分が、変性により蛋白構造に物理的な力が加わることによって構造に歪みが生じ・・・・
これは当然N末の部分のProですよね?
さらに「物理的な力」の表現が気になりますが、これはリン酸化によるリン酸基(?)のSteric Hindrance(立体障害)を意味されているのでしょうか・・?
---------------------------------------------
以下にPubMedからDLしたAbst,で関連しそうな論文の抜粋です。
1.Biochem Biophys Res Commun 1992 Oct 15;188(1):162-9
A serine-->proline change in the Alzheimer's disease-associated epitope Tau 2 results in altered secondary structure, but phosphorylation overcomes the conformational gap.
Lang E, Otvos L Jr.
Wistar Institute of Anatomy and Biology, Philadelphia, PA 19104.
・We synthesized tetradeka peptides corresponding to the original bovine sequence, its serine-->proline substituted analog, the genuine human sequence of this region, and the bovine epitope phosphorylated on the crucial serine.
・The secondary structure of the peptides was determined by circular dichroism. It was found that only the original bovine epitope showed a tendency to form the beta-pleated sheets characteristic of the neurofibrillary tangles.
・The spectra of the human peptide, its analog, and the phosphorylated bovine sequence were very similar, featuring a weak, helical beta-turn character.
・Eventual phosphorylation of epitopes of this otherwise heavily phosphorylated protein may overcome inter-species conformational gaps.
2.Biochem Biophys Res Commun 1992 Sep 16;187(2):783-90
Immunological and conformation characterization of a phosphorylated immunodominant epitope on the paired helical filaments found in Alzheimer's disease.
Lang E, Szendrei GI, Lee VM, Otvos L Jr.
Wistar Institute of Anatomy and Biology, Philadelphia, PA 19104.
・Circular dichroism spectroscopy shows that the phosphorylated peptide exhibits a limited propensity to form intramolecular beta-pleated sheets, and alteration is found in the reverse-turn structure that dominates the middle section of the molecule.
--------------------------------------------
2報ともWister研究所のです。
ここから素人推測ですが、
・tau2はN末側のepitope部分(?)を認識している。
・このepitope部分にはbovineとhumanでリン酸化されたタウタンパクと同じ(?)conformationをとる。
・そのconformationはserineでβターンしており、その前後はβシート構造を取っている。
sornorinさん、rei00さんのご意見を!
参考URL:http://www.tyojyu.or.jp/tyojyu/mirai/p6.htm
この回答への補足
BBRCの文献を取り寄せて見ました。自分でもこれは少し拾い損ねていたなと反省しています。
まず、MiJunさんからのご質問で、以前提示したアミノ酸配列は左側がN末端側で、最初のalanineはtauの最長isoformのN末から106番目です。tau-2はtau aa106-120辺りの配列を認識しているとされています。
またtau-1は同じく最長tau aa189-207の非リン酸化状態に反応します。またこのtau-1部位には重要なリン酸化部分がSer199、Ser202そしてThr205が存在し、このうちSer202とThr205が共にリン酸化されている状態の類似の配列に反応するのがAT8です。N最末端の配列を認識するのがAlz50と言われています。
tauの異常リン酸化部位は次々と報告され、非常に多くの部位が存在しています。その大半はプロリン指向性キナーゼによるSer/Thrのリン酸化です。tau-2部分にもプロリン指向性キナーゼが作用可能なThrが存在しますが、この部位がリン酸化されている報告は(私の知る限りでは)ありません。
BBRCの文献の中で一番最初に挙げられたものを見ると、bovine tauのtau-2部位のSer(問題の)をリン酸化したものと、human tauが液クロで非常に類似した性質をもつとされているとありました。tau-2はリン酸化されていないbovine tauを用いて作られているのですが、こういった結果を見ると、やはり異常リン酸化により生じた蛋白の二次構造変化により問題の部分にも変化が生じ、tau-2は他の抗体に比べ、conformation-dependent epitopeにより親和性を示す性質を持つmonoclonal抗体と言えるのでしょうか?
rei00さんのご意見もできたらお伺いしたいです。
No.13
- 回答日時:
rei00 です。
補足拝見して一言。> この著者の意味するところの・・・・・・ことなのでしょうか?
> こういったことを簡潔に論文のタイトルに書く際には、・・・・・・
私はそういう意味にとったのですが,すみませんタイトルにも「Ser Conformation」とありましたね。これは見落としていました。
タイトルに使うとすると,この著者達は「polyserine 等の serine conformation」を意識しているのかも知れませんね。ただ,この論文を読む限りでは,それはどこにも書かれていませんし,それを示唆する様なデ-タも見当たらないと思います。
とりあえず,MiJun さんのご意見をお待ちしてみましょうか。
No.12
- 回答日時:
rei00 です。
今晩読んでみますといいながら,遅くなりました。
> なんだか、本当に皆さんにこんなマニアックなテーマにお付き合いいただいてしまって・・・。
いやこういうマニアック(?)なテ-マの方が勉強になりますし,考えていても楽しいですから,気にせずにまた何かあれば質問して下さい。
それに,私自身は元々抗アルツハイマ-病薬に興味もありましたから気になさらずに。
さて,問題の論文を読んでの私の意見ですが,次の様になりました。
まづ,この論文中の「serine conformation」との表現ですが,これは Abstract 中に『・・・ the τ in pared helical filaments takes a Ser conformation, rather than a Pro conformation, ・・・』と出てくる以外には,p.964, left,↑8-7 に『Tau has a much higher affinity for a Ser conformation,』と出てくるだけです。
他の類似の表現としては,p.965, left,↑2-1 に『The τ in PHF should take a Ser peptide-like conformation, 』とあり,p.965, right,↓12-14 に『Tau 2 can sensitively detect the PHF-incorporated τ which comes to take a Ser peptide-like conformation, possibly a rather extended conformation, 』とあります。また,p.965, right,↑7-1 に『In summary, we conclude that Tau 2 is a specific and sensitive probe for a Ser peptide-like conformation in the amino one-quater portion of τ, and that the τ comprising PHF takes a Ser peptide-like conformation rather than a Pro peptide-like conformation, suggesting that the region around Pro112 undergoes a significant conformational change.』とあります。
これから考えますと,先の「Ser conformation」は「Ser peptide-like conformation」の間違いだと思います。つまり,この文献で言いたかった事は「PHF 中のτは,変性によって Ser peptide-like conformation をとっていて,そのために Tau 2 抗体で検出される」という事だと思います。
ここで言っている Ser peptide は,AGIGDTSNLEDQAA であり,Pro peptide は AGIGDTPNLEDQAA です。したがって,これらが実際にどんなコンフォメ-ションをとっているかはわかりません。勿論,poly serine がとっている様な「serine conformation」をとっているかどうかも,この論文では不明です。というよりも,この論文の著者らは気にしていないように思います。
私の意見はこのようなものですが,いかがでしょうか。私も生化学や生物物理化学はもう1つでしたので,鵜呑みになさらないで下さい。
この回答への補足
rei00さん、早速の回答、どうもありがとうございます。
改めてこの論文のrei00さんにご指摘いただいた部分に目を通しましたが、この著者の意味するところの「Ser conformation」というものは、生化学で厳密に定義されているような「(poly-Serで見られる)Ser conformation」とは異なり、かなりアバウトな意味で、「targetのペプチド中のヒトでは"Pro"の部分が、変性により蛋白構造に物理的な力が加わることによって構造に歪みが生じ、tau-2がより親和性を示しやすくなった状態で、決してProがSerに変化したわけでも、厳密なSer conformationが起こったわけでもないということなのでしょうか?
こういったことを簡潔に論文のタイトルに書く際には、かなり表現に困ってしまうでしょうし、そういう関係で、こんな紛らわしい表現を用いたのでしょうか?(著者に聞くのが一番なのでしょうけど)
この質問一つで、随分と蛋白の生化学や物理化学について勉強させていただいたような気がします。
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