つい先日も同じような質問をさせていただきました。
結果、とても親切にご回答いただき幾分気持ちは晴れたのですが、しつこいようですが再度質問をさせていただきます。TPP鬱は抜け切っていないようです。。
質問は最後に5つにまとめています。少し長いのですが、読んでいただけると幸いです。
ある質問サイトのやりとりで、質問者様が
「要するに、ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定なのである」
と危惧したのに対し、1人の回答者様が
「ウソです。
ISDとは平たく言うと自国民とはかけ離れた不利益な取り扱いをすることを禁止する条項です。治外法権などと言っているのは無知な人ですね。ISD条項の何たるかが一切分かってない…」
と答えました。これにもう一人の回答者様が中野剛志の説明を引用し異議を唱えます。
「それこそ嘘です。ISDとは外国の投資家が投資をやる、企業が参入しようとして、国家の政策として損害を受けたと思ったら、その国の裁判所じゃなくて、世界銀行の傘下にある国際投資紛争解決センターという仲裁機関に訴えることができる、という規定なんです。
この国際仲裁所は投資家への被害がどれだけだったかということのみを審理します。
つまり、その国の規制が環境のため、安全のため、医療のため、国民の健康のためであろうが関係なく、その規制が有るせいで、投資家が損害を被ったかどうかだけの、経済的な理由だけの審査を行う場所なんです。
しかも非公開で判例に拘束されないということなので、どんな結果が出るのか全く分かりません。
わずか3名の仲裁人のうち2名を抱き込めば、先例を無視したどんな判決を導くことも可能なのである。仕組みとして、あまりにお粗末ではないだろうか?
それから、裁判の結果は不服があっても上訴できない、1回きり。
しかも、その審査が明らかな法解釈の誤りをしていたとしても、その国の司法機関はこれを直すことができない、
という圧倒的に投資家に有利で国家主権を制限してグローバル化を進めるための協定です。
例を挙げると、労働力の自由化がされると日本語が分からない外国人が沢山日本に来ます。
外国人には日本語は不自由で自由貿易に支障をきたすので非関税障壁だ!英語を公用語にしろ!と訴え、それが認められれば
言語障壁の撤廃のために、私たちは英語を話さなければならなくなります。(実際にフィリピンがこうされました。)
他にも、投資の例でいうと、外国人には投資の制限がありますが、不平等だと訴えたらこれも制限が撤廃され、外国に企業を奪われて日本人労働者を解雇して外国人の労働者を雇う可能性もあります。
これのどこが自国民とはかけ離れた不利益なryなのでしょうか。
輸出のことばかり考えていてはデフレ脱却はできないし、デフレ解消を第一に考えて動いてそれから参加すればいいと
つまり、政府がやろうとしていることは順番が違う、そんな状態では戦うことすらできないし失敗に終わる… 」
というものでした。またあるサイトでは
「TPPの何が危険なのか、というと、日本のように、世界一の社会保障制度が全国民に行き渡り、特許、音楽、映画、アニメなど、膨大なコンテンツを持ち、預貯金も多い国が、TPP参加国の多国籍企業から、「非関税障壁の撤廃」を理由に、ISD条項を使って政府が訴えられた場合、国内法を改正しなければならなくなるということ。
その国の良い商習慣まで破壊され、果ては文化、言語まで破壊されてしまう可能性があるからです。
行き着く先は、感情のほとんどない、まるでロボットのようになってしまった国民が形成する市場と、強大な多国籍企業の過酷な支配を許す世界です。日本がTPPに参加すれば、真っ先にアメリカ(というより多国籍企業と、その犬になったワシントン)が破壊しにやってくるのは、まず、国民皆保険であり、きびしい食品基準の撤廃(遺伝子組み換え食品に、とって代わられる)であり、共済など保障制度です。これを、彼らは自由競争と言っているのです。つまり、弱肉強食の新自由主義。」
と主張されていました。
せっかく先日回答していただいたのにまた同じことで悩んでいるのかも知れません。。
まだ頭が整理できていないのか。。
お答えいただきたいのは以下の5つです。これで最後にしようと思うので、少し数多いですがすみません。。
部分的な回答であっても構いません。
1.上で記載している中野剛志の主張を論破できるのか
2.日本が成熟した社会であるが故に、とんでもない混乱を招く可能性が高いのか
3.ISD条項を結ぶ相手がアメリカであるが故の問題はあるのでは。裁判所にアメリカの息がかかっているというのはデマで良いのか(具体的に証明していただければ。。)。
日本がほぼアメリカの属国である現状からして、他国とは違う問題がありそうに思えてしまうのです。また裁判になると日本は弱そうだ。
4.混合医療が認められるということは、加盟国全てがそうなるということで間違いないですか。ただその場合、やはり途上国とは違い大きな混乱になりそうです。。
盲腸で○百万はあまりに辛い。。
5.安倍首相はISDに関して漠然としたことしか言わないことが余計に不安にさせるのです。ISDに関して問題がないのであれば、何故それを言わないのでしょうか。。政治的なかけひきがあるのですか?クローズドな環境で勝手に交渉が進んでいる。国民の為になるはずがないと思ってしまいます。
といった感じです。
相変わらず振り回されているのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
連投となり恐縮ですが、ISDS批判でよく引き合いに出される3件の仲裁事例について、事実を説明しておきます。
1) Ethyl事件:カナダ
ガソリン添加剤MMTの健康被害を懸念したカナダ議会議員はMMTを禁止したいと考えた。しかしカナダ国内法の環境保護法が求める条件を満たしておらず(健康被害を立証する充分なデータがなかった)、健康被害を理由に禁止できなかったため、別の方法、すなわち輸入と流通を禁止した。MMTを生産していたのはEthyl社のみだったので、外国企業一社のみを狙い撃ちする措置になった。自身の国内法の要求すら満たしておらず根拠がないのに規制を実施し、特定企業狙い撃ちで損害を与えた事例。
尚、本件はカナダ州政府と連邦政府間で締結された協定に違反するとしてカナダ国内で州政府に提訴され、国内法の下で連邦政府が敗訴し規制は撤回された。そのため連邦政府はISDSに訴えていたEthyl社に和解金を支払い、和解が成立。したがって、ISDS手続によってNAFTA違反と判断されたのではない。
2) S.D.Myers事件:カナダ
S.D.Myers社はカナダ顧客からPCB廃棄物を引き取り、それを本国アメリカオハイオ州で再処理していた。しかしカナダ政府によりPCBの国外持ち出しが禁止され、カナダ国内に再処理施設を持たないS.D.Myers社は同国内での営業が不可能となり、同業の国内業者に顧客を奪われた。差別的な規制で外国企業を排除し、国内業者の保護になった事例。
3) Metalclad事件:メキシコ
1992年:メキシコ環境省が20,000トンもの不法投棄されている有害廃棄物を発見。米Metalclad社に処理の許可を出した。州政府にも申請していたが音沙汰なし。
1993年:米Metalclad社が埋立地を買収。地元から環境汚染につながっている旨反発を受ける。
1994年:環境調査の結果、処理は適切であることが確認され、作業継続が認められた。
1995年:Metalclad社は正式認可を受ける。ところが、州政府が許可を出すことを拒絶したため、事業中止に追い込まれた。
メキシコ中央政府の許可を受け、環境調査もクリアしてちゃんと正式認可を得ている。ところが州政府は、以前から受けていた申請を無視し続けたあげく、後になって不許可を言いだした。行政プロセスの不透明さに企業が振り回された事例。
、、、前回の投稿で挙げた「何10ページもの分厚いレポート」はさすがに読んでいられないので、もっと要約された別の記事を参照しましたが。
(MetalClad事件)
http://en.wikipedia.org/wiki/Metalclad
(S.D.Myers事件)
http://www.prnewswire.com/news-releases/nafta-tr …
(Ethyl事件)
http://www.twnside.org.sg/title/eth-cn.htm
、、、また、投資協定については次のリンク先も参考にしてみてください。
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004532/ …
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/pd …
No.2
- 回答日時:
AAA) 1.上で記載している中野剛志の主張を論破できるのか
正]ISDSは投資家が損害を被ると訴えることができるなどという単純なものではありません。外国企業を差別したり、不透明な行政、恣意的な規制など、政府の理不尽によって受けた損害でなければ対象になりません。基本的には内国民待遇(=外国企業を差別せず国内企業と同等に扱う)を遵守していれば問題になることはないでしょう。
正]投資紛争解決の場であるICSIDは1968年発足の古い機関で、署名国は150以上、投資協定は2,700件以上締結されてきました。もはや事実上のワールドスタンダード。なぜ今さら騒いでいるのか不思議。
正]紛争時の仲裁裁判では、準拠法は受入国の国内法と国際法。裁判員も当事国双方から各1名と双方同意の1名の3名を選出。制度的に公正中立は確保されています。
正]海外投資から得る所得収支が産品の輸出入から得る貿易収支を上回っている現在の日本にとって、投資協定により日本企業の対外活動、対外投資を保護することはきわめて重要です。
以下、各論。
>その国の裁判所じゃなくて、世界銀行の傘下にある国際投資紛争解決センターという仲裁機関に訴えることができる、という規定。
正]仲裁裁判では、準拠法は受入国の国内法と国際法。裁判員も当事国双方から各1名と双方同意の1名の3名を選出。制度的に公正中立は確保されています。
正]たとえば米韓FTAでは、次のようになっています。
・米国企業は、韓国の裁判所を一度選択したあとで、国際仲裁を選択することはできない。
・韓国企業は、米国裁判所を選択した後でも、国際仲裁に提訴することが可能。
>ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定
正]例えば日本企業が米国政府から損害を受けたとして、それを米国の裁判所で審理すれば米国有利と感じませんか。米国裁判所なんてそれこそUSA!な人たちでいっぱいです。それに比べ公正中立な国際仲裁機関は良い制度です。公正中立を確保する工夫に対して治外法権などという指摘は、まったくの的外れ。
正]準拠法は受入国の国内法と国際法。自分たちの国の基準=国内法は尊重されます。
>その国の規制が環境のため、安全のため、医療のため、国民の健康のためであろうが関係なく、
正]公共の福祉目的で無差別(=外国企業を差別しない)の規制措置なら違反にはなりません。
>投資家が損害を被ったかどうかだけの、経済的な理由だけの審査を行う場所
正]ISDSは投資家が損害を被ると訴えることができるなどという単純なものではありません。外国企業を差別したり、不透明な行政、恣意的な規制など、政府の理不尽によって受けた損害でなければ対象になりません。
正]ISDでのポイントは協定で取り決められた内国民待遇やFET義務などの、無差別性、公平性、(行政プロセスの)透明性です。
>非公開で
正]何10ページもの分厚いレポートが公開されています。ISDS反対根拠によく挙げられる事件の資料へのリンクを貼っておきます。
・S.D.Myers事件
http://italaw.com/documents/SDMeyers-1stPartialA …
http://italaw.com/documents/SecondPartialAward_M …
http://italaw.com/documents/SDMyersFinalAward.pdf
・Metalclad事件
http://italaw.com/documents/MetacladAward-Englis …
>判例に拘束されない
正]過去の判例をもとに、不備があればその都度修正されてきました。例えば先ほど述べた、公共の福祉目的で無差別の規制措置なら違反としないことは、反対派がよく挙げるNAFTA事例の一つMetalclad事件をきっかけに強化修正されたものです。
正]Metalclad事件の経緯を歪曲してISDS批判の根拠とし、なおかつ、そのMetalclad事件由来の重要な修正の事実を隠して、ISDSでは公共の福祉目的かどうか考慮しないなどと世間に大ウソをふりまく中野某。そうだ、公共の福祉を公共の利益と、こざかしく言い換えているんだった。福祉と書いたら100%ウソになるから。間違いなく確信犯ですこの男( http://diamond.jp/articles/-/14540 )。
>わずか3名の仲裁人のうち2名を抱き込めば、先例を無視したどんな判決を導くことも可能
正]仲裁裁判の裁判員は当事国双方から各1名と双方同意の1名の3名を選出。制度的に公正中立は確保されています。
正]そんなに米国有利と思いたいなら、2名を抱き込んで歪められたことがあるというのを証明してください。「ないこと」の証明は不可能なので(=悪魔の証明)、証明義務があるのは「あること」を主張している側です。
>圧倒的に投資家に有利で国家主権を制限して
正]ISDSでの審理ポイントは協定で取り決められた内国民待遇やFET義務などの、無差別性、公平性、(行政プロセスの)透明性です。外国企業を差別したり、不透明な行政、恣意的な規制など、政府の理不尽によって受けた損害でなければ対象になりません。国家主権を制限なんてしません。
>英語を公用語にしろ!
正]署名国150以上がすべて英語を公用語にしたとでも?ばかばかしい。
BBB) 2.日本が成熟した社会であるが故に、とんでもない混乱を招く可能性が高いのか
正]国際的に見て日本の行政サービスは質が高く、透明性も優れていますので、恐れることは何もありません。世の中にはもっと理不尽な国が、いくらでもあるのですよ。
CCC) 3.ISD条項を結ぶ相手がアメリカであるが故の問題はあるのでは。裁判所にアメリカの息がかかっているというのはデマで良いのか(具体的に証明していただければ。。)。
正]紛争時の仲裁裁判では、準拠法は受入国の国内法と国際法。裁判員も当事国双方から各1名と双方同意の1名の3名を選出。公正中立は確保されます。
正]それでもISDS、ICSID仲裁が米国有利だと言うのなら、
・組織がアメリカ国人脈で満ちている
・アメリカ人脈には仲裁を本国有利に捻じ曲げる悪意がある
・悪意によって結果を捻じ曲げられた仲裁が実際に存在する
・現在もその体質は改善されていない
を反対派は事実を挙げて証明してください。「ないこと」の証明は不可能なので、証明義務があるのは「あること」を主張している側。曲げられた仲裁は複数あるほうが尚良し。1~2件程度だと、恣意的な仲裁をした反省をもとに改革がなされ、それ以後は中立性が回復された可能性を排除できません。
ですが、署名国150以上、投資協定2,700件以上。これらが全て米国有利というのはいかにも苦しい主張ではありませんか。
DDD) 4.混合医療が認められるということは、
正]TPP交渉で議論されておらず対象外です。
正]医療制度は各国の国情や歴史的経緯などによりまさに様々なので、他の全ての参加国が米国の主張を受け入れるとは到底考えられません。
正]米国が明確に否定コメントを出しており、米国大使館ウェブサイトに掲載されています。それでもなお混合診療を挙げて批判されるのはなぜなのか、まったくの謎。
・「TPPは日本、またはその他のいかなる国についても、医療保険制度を民営化するよう強要するものではありません。」
・「 TPPはいわゆる「混合」診療を含め、公的医療保険制度外の診療を認めるよう求めるものではありません。」
http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-2012 …
EEE) 5.安倍首相はISDに関して漠然としたことしか言わない
真意は首相に訊いてみないと分かりませんが、貿易専門家ではないのですから、そんな細かいことをいちいち分析したりしないでしょう。
No.1
- 回答日時:
> 行き着く先は、感情のほとんどない、まるでロボットのようになってしまった国民が形成する市場と、強大な多国籍企業の過酷な支配を許す世界
なんだか、資本主義社会のいくつく先、とか言いながら、昔の社会主義者辺りがマルクスの資本論辺りを片手にアジっているセリフを連想しますね。
実際に人間がロボットのようになった国は、共産主義国家だったりするのは皮肉ですが。
> 1.上で記載している中野剛志の主張を論破できるのか
事実として、TPPでのISD条項は「まだ決まっていない」。したがって、まだ決まっていないものについての推論を論破するのは不可能に近い。例えばISD条項が盛り込まれた多国間条約はNAFTAがあるが、NAFTAのそれを引き合いに出して「そのようなことはない」と主張しても、TPPのものとは違うと逃げることができるためです。
これに関連して。
> 5.安倍首相はISDに関して漠然としたことしか言わないことが余計に不安にさせるのです。ISDに関して問題がないのであれば、何故それを言わないのでしょうか。。政治的なかけひきがあるのですか?クローズドな環境で勝手に交渉が進んでいる。国民の為になるはずがないと思ってしまいます。
というよりも、まだ決まっていないことまで言及することが、安倍首相の立場からいって正しいとは思えません。交渉内容についても、まだ交渉に参加していないのです。
とはいえ、情報収集は行っていますし、外務省のHPにまとめたものを見ることもできます(問い合わせればもっと詳しいことも教えてもらえるかもしれません)。
この点に注意するとして、NAFTAの事例から考えるとしましょう。
まず最初に言っておくべきこととして。
> 「要するに、ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定なのである」
> と危惧したのに対し、1人の回答者様が
> 「ウソです。
> ISDとは平たく言うと自国民とはかけ離れた不利益な取り扱いをすることを禁止する条項です。
この2つの意見では、後者が正しい。
ISD条項は、内容としては、公正待遇(投資家や企業を国籍などで差別しないよ、ということ)と、仲裁機関を予め定めるという二つの側面があります。前者については、例えば日印EPAなどで24の投資協定・EPAで既に盛り込まれていたりします。
> その国の規制が環境のため、安全のため、医療のため、国民の健康のためであろうが関係なく、その規制が有るせいで、投資家が損害を被ったかどうかだけの、経済的な理由だけの審査を行う場所なんです。
経済的な理由は判断されますが、それ以上に「その原因が公正待遇に反した政府の規制などで起こされたか」という点が大きな問題となります。
> わずか3名の仲裁人のうち2名を抱き込めば、先例を無視したどんな判決を導くことも可能なのである。
> 3.ISD条項を結ぶ相手がアメリカであるが故の問題はあるのでは。裁判所にアメリカの息がかかっているというのはデマで良いのか(具体的に証明していただければ。。)。
裁判官(とは呼ばないけれども)を抱き込めば云々というのは、人数を増やそうが減らそうが同じことが言えます。例えば15人にしたところで8人抱き込めば同じことです。
裁判がアメリカの言いなりになる様な事を言っていますが、勝訴又は敗訴が確定した(和解・取下・未了を除く)NAFTAの投資仲裁事例では、アメリカ・アメリカ企業が14勝11敗と、勝率は6割に届きません。また、国対投資家ということで言えば、どの国も勝ち越しです(つまり投資家敗訴が多い)。
因みに、この機構を利用して日系企業(在オランダ法人)がヨーロッパで起きた事例で勝訴しています。今のところ日本・日系企業が絡んだ唯一の事例なので勝率100%(1勝0敗)だったりします。
> 外国人には日本語は不自由で自由貿易に支障をきたすので非関税障壁だ!英語を公用語にしろ!と訴え、それが認められれば
言語障壁の撤廃のために、私たちは英語を話さなければならなくなります。(実際にフィリピンがこうされました。)
フィリピンの公用語は独立当時からフィリピン語(≒タガログ語)及び英語です。
フィリピンは米西戦争(日清・日露戦争と同時期)以来約40年に渡りアメリカの植民地です。そのため、フィリピン独立当時から英語を話す人が多くいますが、ピジン英語で相当訛りがあります。
逆に、例えばメキシコの公用語はスペイン語で、英語は含まれていません。韓国も韓国語です。カナダもケベック州ではフランス語が普通です。このように、既にISD条項のある条約をアメリカと結んでいる国々で英語を公用語としていない国を多数上げることができますし、これらの国が英語を公用語にするよう圧力をかけられているとは聞いたこともありません。
他にも、
> ISD条項を使って政府が訴えられた場合、国内法を改正しなければならなくなるということ。
と述べている部分がありますが、政府側が敗訴した場合でも損害賠償か原状回復しかなく、法改正を伴ったものはありません。
> 4.混合医療が認められるということは、加盟国全てがそうなるということで間違いないですか。ただその場合、やはり途上国とは違い大きな混乱になりそうです。
混合医療自体は、これから交渉される項目に含まれるか含まれないか微妙なところ、というのが現状です。
TPP交渉参加国は、日本のように国民皆保険制度がある国、国民の2/3以上が加入する健康保険がある国がほとんどで、ほとんどなかったのはアメリカ位です。そのアメリカも現在オバマ政権下で導入中です。また、TPP交渉では「健康保険は扱わない」という声明がアメリカからも出されています。
ですので、まず公的健康保険がなくなる、というのは、TPPでは今のところありません(財政難でということならあり得なくはないけれども、また別の話)ので、盲腸で○百万というのは皆保険制度がなくなった場合なので、皆保険制度がその心配は今のところありません。
勿論、医療の高度化や訴訟対策によって医療費が高騰することも考えられますが、それはTPPがなくても同じことでしょう。
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