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 ヨーロッパで発展した法体系は大まかにみて英米法系と大陸法系の二つに分かれるそうです。これらの背景にある思想や理屈の違いはさておいて、現代の社会で具体的な事件を裁いたとき、二つの法系のあいだで判決に無視できない違いが出てくるものでしょうか。それとも結局は同じ判決に帰するのでしょうか。もし違うのであれば、その違いが一番はっきりするような事件例を想定して、二つの法系が出す判決の違いを教えてください。(私は理科系の人間で法律や行政については一般的な知識しかありません。分かりやすい事例で説明いただければ幸いです。)

A 回答 (4件)

 一口に英米法といっても、英国と米国とでは違いますし(もっと言えば、英国でもイングランド法とかスコットランド法とかありますし、米国は州によって違ってくる。

)、大陸法と言っても、ドイトとフランスでは違います。ですので、以下の回答は、各国の現行の法制度に合致しているとは限りませんので、抽象的、一般論として受け止めて下さい。
 
事例 「Aはその所有する時計をBに売却し、Bから売買代金を受領した。ところが、Aは時計をBに引き渡さなかった。そこで、BはAを相手取って、時計の引渡を求める訴えを提起した。」

大陸法系「Aに対して時計をBに引き渡すように命じる判決をすることができる。物の引渡債務なので、その強制履行が認められているからである。日本で言えば、その判決を債務名義として、執行官に動産引渡の強制執行の申立をすることができる。」

英米法系「原則として、Aに対して時計をBに引き渡すように命じる判決をすることはできない。コモンロー上の救済手段は、損害賠償だからである。例外的に、損害賠償による救済が、債権者の利益保護として不十分と認められるような場合は、エクイティ上の共済手段として、特定履行(強制履行)の請求が認められる。」
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。具体例で分かりやすく説明いただきました(抽象的な一般論ということは了解)。「コモンロー上の救済手段は損害賠償」 ということはつまり 「最初の物品が何であれ、問題が生じたあとは原則として損害賠償という考え方になるので、それを金銭で収拾する」 ということで良いですか? あと、エクイティとはコモンローの不備を補う補助的な法律のことでしょうか?

お礼日時:2013/08/20 11:49

 英米の契約書で例えば、「remedies available at law or in equity」という文章があったら、「コモン・ロー上又はエクイティ上のあらゆる救済」と訳します。

(at lawを法律上と訳してしまうと、意味が分からなくなってしまいます。)
 何でこんなことを一々、契約書に書いてあるのかと言うと、例えば、コモン・ロー上又はエクイティ上のあらゆる救済ができる旨を書いておけば、損害賠償のみならず、特定履行も確実に求めることができるからです。もし、書いておかないと、エクイティ上の救済を認めるかどうかは裁判所の判断次第ということになってしまいます。
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この回答へのお礼

補足説明をいただき、ありがとうございました。なお本質的なことではありませんが、コモン・ローの前置詞が at でエクイティの前置詞が in というのは、コモン・ローよりエクイティの方が法律としては少し拡がりがあるもの、というイメージがあるのかもしれません。
...

お礼日時:2013/08/21 10:22

 コモンローという言葉は多義的に使用されていますが、ここで言う、コモンローというのは、大雑把に言えば、イングランドの伝統、慣習などに基づいて裁判をしていた王立裁判所の判例の蓄積によって形成された法体系のことです。


 コモンローでは、救済手段は損害賠償であるというルールですから、それでは十分に救済されないケースもあるわけです。例えば、土地売買の場合、買主の立場からすれば、土地という現物が欲しいのですから、賠償金をもらっても仕方がありません。しかし、コモンローを扱う王立裁判所に訴えても、救済手段は損害賠償であるというルールで裁判をするだけです。
 それではどうするかといえば、何とかして下さいと王様に請願をするわけです。そういった請願が増えていくと、王様は処理しきれなくなりますから、やがて王様の代わりに大法官が請願を処理するようになり、大法官裁判所が設置されました。
 大法官裁判所では、正義と衡平の観点から、コモンロー上では認められない救済手段(特定履行や差止)を認める裁判をするようになりました。そういった裁判(判例)の積み重ねが、コモンローとは別のエクイティ(衡平法)という法体系を形成しました。
 その後、紆余曲折があって、コモンローの裁判所とエクイティの裁判所が統合されたり、コモンローとエクイティが矛盾する場合は、エクイティが優先するといったルールが形成されるようになったわけです。
  
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この回答へのお礼

英国法系の成立過程がよく分かりました。コモンロー裁判所とエクイティ裁判所の力関係が拮抗対立していた時代があったものと思いますが、そういうときに両方から違う判決をもらった人はたいへんだったでしょうね。詳しく説明いただきありがとうございました。

お礼日時:2013/08/21 09:52

刑訴法が解りやすいと思いますので、それで


説明します。

戦前の日本は、大陸法系の刑訴法で裁いていました。
大陸法では、裁判の中心は裁判官であり、検察や
弁護士はその補助という考えになります。

戦後は米国の影響で、英米法系の刑訴法になりました。
英米法系では、検察と弁護士(被告)が中心となって
裁判を進めます。

たとえば、大陸法では裁判官が中心となって
証拠調べなどをやりますが、英米法ではこれは
禁止されます。
判断者が証拠調べをしたのでは、予断が入るからです。
裁判官は公平な第三者として聞くだけにしろ、という
わけです。

刑訴法の原則で、伝聞法則というのがあります。
伝聞証拠は原則として証拠能力が否定されます。
では伝聞証拠とはなにか。
これは大陸法では又聞きを意味しますが、英米法では
反対尋問の機会を与えたか否かになります。

たとえば、甲が乙を刺し殺した。
それを丙が目撃した。
丙の目撃談を丁が聞いて裁判所で証言し、裁判官が
尋問した場合を想定します。

これは大陸法では伝聞証拠にならず、証拠能力を
有するとされます。
裁判官が証人に直接問いただしているからです。

しかし、英米法では、被告に反対尋問の機会が
与えられたかどうかで、証拠能力の有無が判断
されます。

このように、採用される証拠に差異がある場合が
出てきますので、判決にも影響を与える場合が
考えらます。

戦後、冤罪事件がいくつか発生しましたが、その
一部は、大陸法から英米法に変わったのが原因である
と言われています。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。「英米法系では証拠として採用されるためには証人が被告(弁護士)による反対尋問を受けることが必要」ということは初めて知りました。こらについて次のことを教えてください。

(1)被告(弁護士)による反対尋問が成功する(被告に対して不利な証言が崩される)ということはよくあるのでしょうか? テレビドラマには劇的な場面がよく出てきますが、そんなことは実際にはほとんどなさそう、という気がします。

(2)反対尋問が成功しなかったときは、その証言は反対尋問の前より信頼性が増した、つまり失敗した反対尋問のために被告が前より不利になった、ということになるのでしょうか? 

お礼日時:2013/08/20 11:34

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