
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
可能か不可能でいえば可能だと思います。
添付画像のようなケースでは、近似に近似を重ねているのでかなり厄介ですけど、大筋を理解することはできると思います。発熱による温度上昇が直線で近似できるケースであれば、ニュートンの冷却則を使うと補正が可能になります。ニュートンの冷却則とは、ある物体から熱が外界に逃げる速さはその物体の温度と外界の温度の差に比例する、という法則です。この法則は、物体と外界の温度差が大きくなるほど近似が悪くなる、近似法則です。温度差が10℃を超えるとちょっと厳しいかな、とは思いますけど、近似的にニュートンの冷却則が成り立つ、と仮定して補正を行います。
数式を使った具体的な補正の仕方は、式が長くなるので、後回しにします(※)。結果は
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/7002471.html
にあるように、発熱前の温度が外界温度(今の場合では室温)と同じであれば、発熱による温度上昇が直線になるケースでは、補正量は高校化学で教えられている仕方で求めた補正量の半分になります。
発熱による温度上昇が直線になる典型的なケースとしては、液体にヒータを入れてジュール熱で加熱するケースが挙げられます。それに対して、溶解や反応による温度上昇は、多くの場合、溶解や反応が進むにつれて、温度上昇がだんだんと緩やかになります。質問者さんの添付された図をみると、そのような温度変化になっていることが確認できると思います。
温度上昇がだんだんと緩やかになるケースでは、高校化学で教えられている仕方で求めた補正量は、正しい補正量よりも大きくなります。一方、溶解(または反応)が終わったと思われる最高点(温度)までの温度変化が、直線で近似できると仮定したときの補正量は、正しい補正量よりも小さくなります。このことは、溶解(または反応)が始まったときの最低点(温度)から、溶解(または反応)が終わったと思われる最高点(温度)まで直線を引くと、実際の温度が直線よりも上にくること(実際の温度変化が上に凸の形をしていること)から分かります。
だんだんと緩やかになるケースでの正しい補正量が、高校化学の仕方で求めた補正量と直線近似で求めた補正量のどちらに近いかは、一般には分かりません。分かるのはそれらの補正量の間にある、ということだけです。補正量の正確さ、という点では、高校化学の仕方も、直線近似によるものも、大差ありません。正確さとしてはどっちもどっちなのですから、高校化学では、より手間の掛からない、溶解(または反応)が始まった時刻まで外挿する、という方法を採用しているのだと思います。
※発熱による温度上昇が直線で近似できるときの補正の仕方は以下の通り。
最高点の時刻と温度をtf,θf, 最低点の時刻と温度をti,θi, 発熱量をQ, tiからtfの間に逃げた熱量をq, 熱容量をCとしたときの、補正なしの温度差θf-θiと熱量の関係:
C (θf-θi) = Q - q ……(1)
発熱中の時刻tにおける温度θ:
θ = (θf-θi) (t-ti) / (tf-ti) + θi ……(2)
比例係数k, 外界の温度をθexとしたときのニュートンの冷却則:
dq/dt = k (θ-θex) ……(3)
式(3)に式(2)を代入して積分する:
q = k (tf-ti) (θf+θi-2θex) / 2 ……(4)
発熱終了直後の温度変化率:
dθ/dt = -(1/C) dq/dt = -(k/C) (θf-θex) ……(5)
発熱開始直前の温度変化率:
dθ/dt = -(1/C) dq/dt = -(k/C) (θi-θex) ……(6)
式(5)と式(6)を時刻(tf-ti)/2に外挿して、補正された最高温θHと補正された最低温θLを求める:
θH = -(k/C) (θf-θex) ((tf-ti)/2-tf) + θf ……(7)
θL = -(k/C) (θi-θex) ((tf-ti)/2-ti) + θi ……(8)
補正された温度差θH-θLを計算しkを消去すると目的の式を得る:
C(θH-θL) = Q ……(9)
凄まじいまでに詳しい説明をありがとうございました。
添付URLにある過去質はとても参考になりました。その質問者さんの考えは、私が悩んでいることなどとは月とスッポンですが、その質問者さんはきっと優秀な方なのでしょう。
いただいた解析のための式は……ごめんなさい、吟味は後に回させて下さい。
しかし「近似の半分である」ということはよく覚えておきます。
高校化学的な補正についてです。当方恥ずかしながら独学でして、どうでも良いですが友人から貰った教科書と新研究という参考書を使ってます。で、そのどちらも調べると、最高点以後の緩やかに下降する直線を温度軸まで延長して、延長線と温度軸との交点を真の値としていますね。いみじくも、いただいた過去質の質問者さんが書いてあるとおり、この補正方法の根拠は曖昧な気がします。言い換えれば、「溶解が終わるまでに与えられた熱量は、(溶解が瞬間的に起こったと仮定したとき)最高点から延長した直線と温度軸との交点の値に等しい」くらいの説明にしか思えないからです。正直「なんで??」という印象になってしまいます。最高点以後の下降が私が添付した図みたく曲線的になれば、直線はどのように引くべきか、その説明がありません。(曲線的なことが微積をイメージさせたのですが)
取り敢えず、直線で近似しろ、というのが高校化学での方針であることは踏まえておこうと思います。
長ったらしいお礼になりすいませんでした。活用させていただきます。
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