
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
クルマの設計屋です。
この問題は・・・報道している者がハブフランジ破壊のメカニズムを理解出来ていない為報道内容が悪く、実際にタイヤ脱落の原因を理解出来ているヒトは、おそらく殆どいないでしょう。((1)機械設計の正規の教育を受けていない者(2)時間強度の考慮が必要な、振動を伴う機械を実際に設計した事が無い者、がミツビシさんの説明だけで全容を理解するのは、ちょっと難しいと思います。)
原因はハブフランジの磨耗です。これは間違いありません。
結果的には金属疲労でフランジ部がハブから分割したワケですが、それほど急速に金属疲労が進行したウラに、フランジ~ホイール接触面の磨耗があります。また、ハブ本体はスピンドルから脱落していないので、ベアリングの破壊も起こっていません。
それでは、このハブフランジ破壊が何故起こったか?を、順を追って説明しましょう。
1.まず、ホイールがフランジに取り付けられているメカニズムから。
ホイールはハブフランジと、摩擦によって(!)合体しています。この摩擦力を出しているのがホイールスタッド(とホイールナット)で、決してホイールスタッドの曲げ剛性で回転力を伝達しているワケではありません。
これは異常な設計ではなく、ボルト~ナットによる締結構造の標準的な設計方法です。(ボルトとは軸方向の『引張り力』を出す部品であり、ボルトの曲げ剛性に頼る設計は、全く無いワケではありませんが少数派の使い方です。)
2.この状態でホイールとハブフランジが滑ったら、ホイールとフランジの接触面が磨耗します。
勿論、設計通りのトルクでホイールナットが締められていたらホイール~フランジ間の摩擦力も十分で、これらが相対滑りを発生させることはありませんが、締付トルクが十分でなければ、滑りが発生する事は十分考えられます。
ミツビシさんは当初この点を重視し、『タイヤ脱落は整備不良』と主張していたワケです。確かに、もしホイールナットの締付トルクが完璧に管理されていたら、これほど多くのタイヤ脱落事例が発生する事は無かったでしょう。
尚、この滑り量は目に見えないほど小さいモノで、また路面からの入力等で、滑った分はすぐに戻ってしまう様な類いのモノです。ロコツに滑った痕跡が無い以上、車検等の目視検査ではトラブルが抽出出来なかったというのが悲劇を生んだ要因の一つと言えますが、そんな微小な滑りでも、時間をかければ(=走行距離を積めば)確実に磨耗を進行させます。
3.ホイール~フランジ間が磨耗すると、スキマが出来ます。勿論、これは目に見えないほどのスキマですが、髪の毛1本以下のスキマでも、ホイールナットの締付トルクチェック時に、ホンのちょっとだけ増し締め出来る余地となります。
この状態から、またホイール~フランジが滑り、磨耗が発生し、微小なスキマが生まれ、ホイールナットを増し締めし・・・と続き、ホイール~フランジ間の磨耗が進行します。
4.すると本来スキマがあくはずのホイール~フランジ間が、ホイールナットの締め込みによりムリヤリ接触させられる状態が続きます。
ホイール側のディスク部の面剛性は結構低く、ホイールピンの軸力に追従してある程度変形しますが、ホイールがホイールピンに引張られてフランジ側に変形している時、フランジ側もホイール側に引張られます。
フランジは変形し難い硬い材質で出来ており、微小な変移でもフランジの根元(ハブと一体になっている部分)にモーレツな応力集中を生み出します。
・・・・ここまで読み進めれば、もぅお判りですね?フランジの根元は応力集中により急激に疲労し、やがて応力集中線に沿ってクラックが入り、本来一体となっているはずのハブ部から『麦わら帽子のツバだけを切り取る様に』フランジ部が取れてしまいます。そしてホイールピン&ホイールナットでホイール(タイヤ)と締結されているフランジ部は、タイヤと一緒にクルマから離れていってしまうワケです。
これで最近新聞等で報道された『市場でのタイヤ脱落が発生した時点で整備の度にフランジの厚みを測定する事にしたが、その測定値すら誤魔化していたケースがあった』という話の意味も御理解頂けると思います。
この問題は、ミツビシさんに限らず、他の大型3社のどのトラックでも、勿論乗用車でも起こり得る話です。しかしミツビシさんの例のハブ(他メーカのハブより、かなり軽量設計となっています)以外は、フランジ部に十分な剛性を持たせてあり(と申しますかハブフランジの設計ではそれが普通なんですが)、車両の寿命分ぐらいは楽勝で持つ設計となっています。
とゆぅワケで最後にコメントなど。
この事件は・・・例えば、市販車のちょっとした改造パーツを作ってレースに出た程度の知識では、量産車の何たるかがマルで判ってない、という事を示した例となったと言えるでしょう。
ワタシは設計段階(図面段階)でのトラブル予想(FMEAという解析手法を使い、故障要因とその重大性を分類します)を『負の可能性の追求』と呼んでいますが、自分を含め多くの自動車エンジニアが機械工学の基本に立ち帰り、今こそ『負の可能性』を改めてジックリ見直す機会だと思います。
長くなりましたがついでに、ホイールピンの折損に関して。
これはハブフランジの強度・剛性不良とはゼンゼン原因が違います。
長くなったのでメカニズムまでは述べませんが、1点。
このトラブルこそ、不適切な整備(ホイールナットの締め過ぎ)や不適切な使用方法(日常的な過積)などが主たる原因と思われます。
数回読み直しさせていただき、理解ができましたので頭の中がすっきりしました
構造の詳細をご存知の方にとっては理解できる現象なのでしょうが、せめて車両の設計寿命期間ぐらいは、微妙なメンテナンスのせいにしなくても良いものを供給してほしいですね
どうもありがとございました
No.6
- 回答日時:
No.3の者です。
http://www.oaspa.or.jp/MailExpress/mebn2002_7.html
ここの7/30の記事にNo.4さんの言っている磨耗が原因と三菱が主張している記事がありました。
先日のTVニュースの画像でNo.4さんの表現で麦わら帽子のツバの根元部分にヒビが入っている画像があったので強度不足による金属疲労だと思い込んでいました。
訂正させていただきます。
No.5
- 回答日時:
#4専門家の方の解説を勝手に素人が要約してみました。
間違っていたら御指摘下さい。ホイールとハブはボルト締めされているのだけれど、ボルトの役割はハブにホイールをしっかりと押し付けて滑らないようにすることなので、ホンの僅かなボルト締めの不均一があると僅かに磨り減る。
磨り減りが蓄積するとボルトの締め増し時に(押し付けによって)変形してハブ根元に余計な力がかかって疲労破壊する。
三菱以外は余裕を持って設計していたので、余計な力にも耐えて破壊しなかった。あるいは三菱か実験を省いたのハブは磨耗に起因する異常応力を見落としていて壊れた。
見落としがあったとしたらプロじゃないですね
実際は知っいて、過信と手抜きをごまかしているのかと思えてきました
ありがとうございました
No.3
- 回答日時:
今回のハブ破損事故は、強度不足による金属疲労が原因だと思っていたのですが。
。。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040311-00000 …
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040311-00000 …
>整備でハブの磨耗が防げるという論理が納得できない
納得出来なくてOKだと思います。というかハブの磨耗でタイヤが脱落した訳では無いので。
ちゃんと整備していればハブの金属疲労を発見出来たかもしれませんが、
三菱側がリコールしたので、整備不良ではなく、構造的欠陥が有ったワケで。
No.2
- 回答日時:
ハブの軸はベアリングを介して装着されています。
このベアリングがグリス切れ、汚れ、傷、錆等の要因で回りにくくなった場合
ベアリング自体から熱を発しベアリングのアウターカラーが共回りします。
本来回ってはいけないところなのですが、回ってしまうため金属同士の摩擦でハブの方の磨耗が始まります。限界値まで来るとハブごとタイヤが吹っ飛びます。ハブボルトも問題になっていましたが、
これは別の要因でボルト自体の引っ張り強度の問題、
素材の問題で金属疲労が起こることから
タイヤが吹っ飛んだと思われます。
No.1
- 回答日時:
俺なりの解釈で申し訳ないんですが、おそらくはブレーキパッドの台座(シュー)との摩擦が問題なのではないかと。
参考URLの一番下の絵を見てもらえば分かる通り、ハブはブレーキシューのすぐそばにあります。
そしてブレーキシューは「アクスルケース」に接続されており、ハブは「アスクルシャフト」に接続されているわけです。
つまり、ハブはブレーキシューのすぐ近く(おそらくミリ単位)で、タイヤと一緒に高速回転しているわけですね。
このとき、構造的におかしいハブは、高速回転するうちにブレーキシューの内側に接触してしまい、結果的に磨耗するというわけです。
俺はこういうふうに考えているんですが、プロの整備士に聞いたわけじゃないんで、たしかなことは分かりません(^_^;
参考URL:http://www.presskogyo.co.jp/factory/axle.html
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