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質問させていただきます。
日本霊異記の「雷を捉へし縁」という説話です。
雄略天皇が侍者の栖軽に雷神を連れて来いと言う場面です。

1、天皇、栖軽に勅してのたまはく、「汝、鳴神を請け奉らむや」とのたまふ。
2、(栖軽は)答へてまうさく、「請けまつらむ」とまうす。
3、天皇のたまはく、「爾らば汝請け奉れ」とのたまふ。

上記の3つの『まつる』『奉る』は鳴神を呼ぶ栖軽→天皇への敬語(自尊敬語を含む)だとわかります。
問題は栖軽が街に出ていって雷神に呼びかける言葉の敬語です。

(栖軽まうさく、)「天の鳴神、天皇請け呼び奉る云々」とまうす。
(天の鳴神よ、天皇がお呼びであるぞ)

ここにおいて雷神を「呼ぶ」主語は天皇であり、従って『奉る』は天皇→雷神への敬語になっているのでしょうか。
訳文を見る限り前の3つの『奉る』と同じく天皇への敬語のように訳してあるのですが。

古文法は高校生以来触れていないので、基礎的な質問かもしれませんが御容赦下さい。

A 回答 (2件)

ご質問の部分に続くところの原文を引用しました。

《( )の中は読み仮名です》

「天の鳴電神(なるかみ)、天皇請け呼び奉(まつ)る」とまうす。然して此ここより馬を還して走りて言(まう)さく「雷神(なるかみ)と雖(いへど)も、何の故にか天皇の請けを聞かざらむ」とまうす。走り還る時に、豊浦寺と飯岡との間に、鳴神落ちて在り。栖軽(すがる)見て神司(かみつかさ)を呼び、輿籠に入れて大宮に持ち向ひ、天皇に奏して言(まう)さく、「雷神(なるかみ)を請け奏れり」とまうす。時に電(いかづち)、光を放ち明り炫(かかや)けり。天皇見て恐り、偉(たたは)しく幣帛(みてぐら)を進(たてまつ)り、落ちし処に返さしめたまひきと者(いへ)へり。今に電(いかづち)の岡と呼ぶ。
 
 これを見る限りでは「鳴神=かみなり」に対しては敬語を使ったところは見られません。ということは敬語は全て天皇に対するものとみられます。しかし、天皇に対しても「天皇見て恐り」の部分には敬語が無くて、「進(たてまつ)り」や「返さしめたまひき」には敬語が出てきます。平安時代のきちんとした敬語とは少し違うようにも思います。
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この回答へのお礼

わざわざ出典まで見ていただきご回答ありがとうございます。
少なくとも「鳴神」に対して敬語が使われていないということで非常に納得しました。
あの後自分でももう一度考えてみましたが、
「天の鳴電神、天皇請け(私、栖軽が)呼び奉る」
というように途中で主語が変わっているのかも? と思いました。

ご回答大変ためになりました。ありがとうございました。

お礼日時:2015/03/21 10:45

追加回答です。

「日本霊異記」は古事記等と同じく、和式漢文で書かれたものです。わたしが引用した「原文」なるものは、その書き下し文に過ぎません。したがって日本語の敬語は漢文の中に組み込むにはあまりにも複雑であり、不十分になることは避けられません。添付画像は本来の原文です。(該当箇所ではありませんし、また写本の一つに過ぎません。)
「敬語の解釈(古文)」の回答画像2
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