百姓が一人、おそらく大君のお通りを知らなかったらしく、行列の先頭のほんの数歩手前で道を横断しようとしたそうである。怒った下士官が、彼を斬り捨てるよう、部下の一人に命じた。ところが、部下は命令に従うのをためらい、激怒した下士官は部下の脳天を割り、次に百姓を殺した。まさにそのとき、さらに高位の上級仕官が現れたが、彼は事の次第を確かめるや、先の下士官を気が狂っているときめつけ、銃剣で一突きするよう命じた。この命令はすぐさま実行に移された。
(ハインリッヒ・シュリーマン『シュリーマン旅行記 清国・日本』石井和子訳 講談社学術文庫 98,99ページ)
*** *** *** *** ***
上記はトロイア発掘で有名なシュリーマンが1865年に幕末日本に来たときの記述です。
「上級仕官」「下士官」「部下」「百姓」、この四人の登場人物の行動はどれも問題はなかつたのですか。すくなくとも「百姓」については「知らなかった」といふことなので、どうしようもなかつたと思ひます。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
事の善悪の判断が、階層構造にて歪んでしまい、片方から見れば、トカゲのしっぽ切りに見え、他方から見れば、責任回避にも見えてしまう構図を現しているようにも思えます。
多くの似たような問題、複数の階層構造か介在しているであろう様々な構図に重ねることができるのでしょう。
たとえば、元請けと下請けと杭打ちの構図に重ねてしまうこともできるのでしょう。
そもそもスタート地点にて止めることができなかったのか?
始まってしまった場合、事が知れたとき、切り捨ての連鎖をどこで止めるのか?
事が知れたとき、一気に大君の責任問題へとすり替えるべきなのか?
日本固有の問題というわけではなく、そこそこの知恵を有している人類固有の問題なのかもしれません。
フォルクスワーゲンでの問題等にも、そのような構図の一端が垣間見えるようにも思えています。
御回答ありがたうございます。
>事の善悪の判断が、階層構造にて歪んでしまい
これがまさに私の感じたことです。見方によつて善悪が変つてきます。
「部下」は緊急事態であれば切捨てる必要がありますし、さうでなければ容赦したくなります。また、甘い判断が不幸な結末を招くかもしれません。
「下士官」は毅然とした態度を示すことも大切ですし、寛容な姿勢も必要です。
「上級仕官」も同様です。
おつしやるとほり「トカゲのしっぽ切り」とも「責任回避」ともとれます。
これらが噛合はなければ殺害の連鎖になります。
私としては「下士官」の行動に疑問を感じます。強気にへつらひ、弱気をくじく、職場においてはかういふ態度が大きな問題を生みます。「上級仕官」による処罰はその戒めに見えます。あくまでも個人的な印象にすぎませんけれど。
>一気に大君の責任問題へとすり替えるべきなのか?
トップの責任はうやむやにされがちです。また反対にトップのせいにして、個個の責任を省みることのない姿勢もしばしば見られます。むづかしいものです。
>日本固有の問題というわけではなく、そこそこの知恵を有している人類固有の問題なのかもしれません。
「フォルクスワーゲンでの問題」は存じ上げませんが、組織社会において避けては通れない問題に思へます。
No.13
- 回答日時:
再考です。
(引かないで、plapotiさん)調べてみました。(即席知識はウィキ・その他です)
どうやら切り捨て御免(当時は手打ち、打ち捨てと云ったらしい)はそう単純なものでは無かったようですね。
実行されてもとどめは刺さなかったようです。
そして実行すると、役所に速やかに届け出る、人ひとり切ったのだからと20日以上の自宅謹慎しなければならない、切った際の刀とか証拠品を押収される、正統性(正当防衛と云う捉え方だったようです)を立証する為に証人も必要になる、など結構厳しかったようです。
これらが行われないとその武士は何らかの形で処分されたらしい。
でもこれが主従関係の間での出来事になると、懲罰と云う事になるので上記の規定は適用されず、だからとどめを刺すこともある、と記事にはありました。
こうして見ると、上級士官の行為は懲罰に当たると解釈できます。(合法性)
また百姓に問題がなかったとした場合、即座に切り捨ててしまえ、という命令に対しての部下のためらいは理解できます。(でも、即座に取り押さえると云った行動がとれなかったのか、という疑問はあります)
矢張り問題は下士官にありそうです。
下士官ともなれば当然、それ相当のわきまえを以て行使しなければならない「手打ち」を安易に実行させようとしたその"意"はどんなことだったのでしょうね。
ここまでは百姓に不審な行動は無い、と云う事で考えてみましたが、下士官は激怒したとあるので、それからの連想はもしかしたら百姓と部下とのもみ合いぐらいはあったのかも知れないと思えてきます。でもそうして見ると、部下の"ためらい"はどこから出てくるんでしょう。
やっぱり問題なのは下士官なのでしょうか・・・
追加回答をありがたうございます。
>引かないで
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8922682
lupan344さんが締切り近くの絶妙のタイミングで投稿してくださいましたので、助かりました。回答者のみなさんには大名行列が否定されるのは大きな問題ですが、質問者にとつては切捨御免が否定されたらベストアンサーを決めることができなくなります。ちやうど公開方法を考へてゐたところでした。
>実行されてもとどめは刺さなかったようです。
微妙ですね。苦しむよりは、さつさとやつてしまつたほうがいいやうな気もします。
>実行すると、役所に速やかに届け出る......
かなり制限があつたのですね。人里はなれた道ならうやむやにできたかもしれませんけれど。
>即座に切り捨ててしまえ、という命令に対しての部下のためらいは理解できます
人間の心の問題としてのためらひと同時に制度的な面もあつたのですね。
>矢張り問題は下士官にありそうです。
さう思へます。職場でもいはゆるイエスマンが多いと、いぢめの連鎖が生じます。上から痛めつけられた憂さ晴らしを下の者にする、そんなことがあります。偏見かもしれませんが、そんな人間に見えてしまひます。
No.12
- 回答日時:
うっかりしていました。
大名では無く大君、将軍家茂、ですから。百姓、下士官、士官、上級士官のそれぞれの心理は前の回答とは
全く違ってきます。
百姓:知らないとかうっかりは許されない立場なので、何らかの
意図的な行動か、痴呆者。
下士官:切り捨て御免は当然であるが、晴れの行列を穢す様で
ためらいが有った。
士官:あくまでも下士官に命令し処断させるべきであったのに、
状況を考えず、百姓と下士官の双方を手に掛けた。
上級士官:百姓の切り捨ては当然と心得て居ても、不必要な
血を流し、行列を穢したとして下士官を処断した。
3人の死体は見せしめとして放置された。死体を片付けることも
はばかれた。
大君の行列は、先備えから始まる大掛かりなものですが、先備えから
8番隊は5月5日より追々出立し、この16日は9番隊が先頭に立って
います。
9番隊の構成は:持小筒組*3小隊、大炮11門、歩兵1大隊・・です。
(他の回答で推測した様な実戦対応の構成に成っています。)
*持小筒組(後の撒兵隊・さっぺい たい)は 無役の御家人である
小普請と、各番方所属の与力・同心を統合し、洋式装備を施した
歩兵部隊。
大名行列ではお馴染みの、下~に下~にが無かった為に百姓が
うっかりしたと云う可能性は残りますが。
幕府の場合、1小隊は30人程度、1大隊は500人程度です。
幕府歩兵の錦絵には着剣で行進しているものもあります。
http://image.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8& …
しかし、銃と脇差と云うのが一般的だったようです。
http://image.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8& …
<死体はひどく切り刻まれていて・・>から銃剣による突き殺しでは
なく、斬殺であると思われます。
シュリーマンの日本滞在は1ヶ月でした。3か月は上海からアメリカ
まででした。すみません。
95ページの行列構成を見ると、シュリーマンの記述が必ずしも
正確ではない事と、翻訳に苦労した跡が見られて面白いです。
私の場合はうつかりではなく、いつものことです。最近は回答をブロックされることも少なくなりました。plapotiのIDを見ただけで誤回答であることが判別できるので、ブロックする必要もないのでせう。記憶による固定観念で質問を立てましたので、誘導する形になつてしまひました。
>切り捨て御免は当然であるが、晴れの行列を穢す様でためらいが有った。
穢れといふ観点は今回初登場です。行列にとつても自分にとつても晴れ舞台ですから、そのやうな気持ちはあつて当然です。
>状況を考えず、百姓と下士官の双方を手に掛けた。
私もさうなのですが、回答者のかたがたの多くもさういふ見方です。この人はどうにも不可解です。
>不必要な血を流し、行列を穢したとして下士官を処断した。
ここでも穢れの意識が働くのですね。これは日本的な様式なのでせうか。ヘレニズムやヘブライズムでれば、人の死を神への犠牲として肯定的にとらへる場合もあります。
>95ページの行列構成を見ると......
あれやこれや目には入つてゐたのですが、回答番号10を読むまで気づきませんでした。お手数をかけました。御回答ありがたうございました。
No.11
- 回答日時:
誰が危険な人かというと、自分は普通という人だって危険かもしれない。
まったく個性は変態じゃない私ですが、
知らなかったじゃ済ませられない(解決しない)ってことがありますね。
まずそれが良い方策、徳のあることなら苦し紛れの言い訳しなくていいだけで、
間違いないものことこそ語られなかったり。
実話か創作か知れずとも
日本人の死生観は昔から変態だったみたいですね(笑)
常識も時代と、東洋と静養で「賢いと小賢しい」の解釈に違いがあるのかな。
感じる(価値観)も、思う(信じる)も、
考える(夢)も昨日も明日も、
被害者も加害者でいても、
体面も本質も免罪され越える死へ望郷みたいなものがある。
体は何れ自然に帰ってしまうから確固たる自分が自分だけのものであり続けない。
単純でなくそれは深い思想からのダブルスタンダードの対義語があるなら何ていうのかな?
武士道の死生観では名誉を重んじて、お金や命まで軽くする訓練がいるという。
地上の星々(庶民)を照らす天下をとるのは大変だ。
名を残すような変態の実践をせざるを得ない。
まとまらない駄文でもぷらぽさんなら苛められないだろうと、
安全な道について一日考えて書けたのが「変態について」になってしまった。
回答された皆さんの見解も参考にさせてもらいつつ。
御回答ありがたうございます。
>誰が危険な人かというと、自分は普通という人だって危険かもしれない。
まつたくそのとほりだと思ひます。温かい家族の話をしてあげたところ、その人には家族がゐなくて寂しい思ひをさせた、なんてこともあります。何が危険かなんて判りません。だれもが加害者です。
>知らなかったじゃ済ませられない(解決しない)ってことがありますね。
この百姓は斬られてしまひました。知る、知らない、は故意か過失かで刑罰が変ることもありますが、この場合は通用しませんでした。
>日本人の死生観は昔から変態だったみたいですね(笑)
私は変態ではありません。アルケーさんは、仮面ライダーさんが変態だと主張してゐました。すべては筋肉だ。
>武士道の死生観では名誉を重んじて、お金や命まで軽くする訓練がいるという。
cyototuさんが軍人についてお書きになつてゐますが、共通するものがあるのでせう。風見鶏になりにくいのは確かです。
No.10
- 回答日時:
シュリーマンが目撃したのは、徳川家茂が第2次長州征伐の為に上洛する行列です。
(大君とは将軍の事)一般的な大名行列とは違いますし、征伐軍なわけですから、西洋軍備の武士も同行していたでしょう。
銃剣を装備した武士も同行していたのでは無いでしょうか?
シュリーマンは、その行列を保土ヶ谷宿で見物し、翌日切り捨ての事実を知ります。
3人の遺体は、見ていますが、死体はひどく切り刻まれていて、着ている物を見ても、どの階級の人間かわからないほどだったと記述しています。(無礼打ちの段階でそうなったのか、その後にそのような状況になったのかは不明)
当時は、生麦事件の後でもあり、外国人の行列見物は禁止されていましたが、英国領事からの頼みにより、幕府は特別に許可を出しています。
つまり、行列は周知の事実であり、宿場町周辺の住民が知らないと言う事もありえないでしょう。
横浜市の資料によると、第2次長州征伐の行列は、保土ヶ谷宿に宿泊し、この為に宿場の障子張替などの費用はかなりの高額になり、周辺の村からは、上納金が納められました。
シュリーマンが死体をみたのが、東海道のどの辺りだったかはわかりませんが、宿場町周辺の農民が行列を知らないはずはありません。
これは憶測ですが、切り捨てられた農民(農民とは限りませんが)は意図的な抗議行動を行ったのでは無いでしょうか?(そうだとすれば、無礼打ちも覚悟の抗議行動だったのかもしれません)
幕府がたんなる無知による無礼打ちとしてすましたのも、幕府の威権を守る為だったのかもしれません。
御指摘をありがたうございます。おつしやるとほりです。私が読んだのは数年前で、殺害の連鎖が印象に残つてゐて、大名行列だつたやうな記憶でそのまま該当箇所を引用して、読み直しをせずに質問を立てました。ほんの数ページしかないのですけれど。今回きちんと読んでゐれば、くだらないことをいろいろ考へて、もつとひどい質問内容になつてゐたはずです。この程度で済んでゐるのは、私の横着のおかげです。
>横浜市の資料によると、第2次長州征伐の行列は、保土ヶ谷宿に宿泊し、この為に宿場の障子張替などの費用はかなりの高額になり、周辺の村からは、上納金が納められました。
そのやうな情報があるのですね。それでしたら、周知のことといへます。ひとりくらゐ「知らなかった」といふのはあるかもしれませんけれど。
>切り捨てられた農民(農民とは限りませんが)は意図的な抗議行動を行ったのでは無いでしょうか?
さきほどの上納金のこともありますし、説得力のある見解です。回答番号3の方もそのやうな御意見でした。
>幕府がたんなる無知による無礼打ちとしてすましたのも、幕府の威権を守る為だったのかもしれません。
シュリーマンは殺害の現場を目撃したわけではなく、「聞いたところによると」ですから、そのやうに処理されたのかもしれません。
No.9
- 回答日時:
色々問題があり過ぎて、何を言えば良いのやら。
。当然現代から見ているのだから、色々問題に出来るのだと思いますが、どうなんでしょう、当時の人間の立場に立つことが私には出来ないので、出来るだけ近づいたとしたら、百姓(あほ)
部下(普通の人)
下士官(ロボットA)
上級士官(ロボットB)
百姓は、見れば分かるものなのに、行列に気が付かなかった。ぼうっとしていたのか、疲れていたのだと思います。
部下は当然ながら人など斬りたくありませんから、良い人とまでは言えない、普通の人です。ちょっと演技して百姓を蹴飛ばし、目配せでもして逃がしてやっておれば、その場はしのげたかもしれない。
下士官、これが諸悪の根源で、融通の利かない旧型ロボットです。ロボットですから人の血は通っていません。命令を遂行するだけが彼の生きる意味なのかもしれませんね。
上級士官、此方はロボットを管理するロボットです。冷静に後腐れなく処したようですが、目には目を、的な信条でもあったのでしょうか。部下である下士官が残念な奴だったとしても、有無を言わさず処断したのはいかにも武家らしいのかもしれないが、その武家らしいということがそもそも奇異に映ります。切腹で有名なサムライですが、命をかけるに足る何かを守っていたのであろう事は想像できます。それゆえ帯刀を許されていたのでしょう。しかしその守っている何かがよく分からないのです。
未来から見れば現代の私達の生き方が奇異に見える事もあるでしょう。そういう意味では、今回の質問は時代を超えた視点を与えるものであり有意義でした。
いつも人間的観点での回答を楽しく拝見してをります。
>当時の人間の立場に立つことが私には出来ない
現代の価値観で判断するのは気の毒ですね。さうかといつて、当時の様子がすべてわかるわけではありませんし、むづかしいものです。
>百姓は、見れば分かるものなのに、行列に気が付かなかった。ぼうっとしていたのか、疲れていたのだと思います。
回答番号2のコメントでいろいろ考へたのですが、これなら納得がいきます。
>ちょっと演技して百姓を蹴飛ばし、目配せでもして逃がしてやっておれば、その場はしのげたかもしれない。
これは名案です。何事もなく済みます。このあたりは経験がものをいひさうです。
>下士官、これが諸悪の根源で、融通の利かない旧型ロボットです。
現代の感覚なのかもしれませんが、私もこの人がいちばんの問題だと思へます。
>上級士官、此方はロボットを管理するロボットです。
そのやうな見方もできますね。下士官と立場が入れ替つてゐたら、同じ行動をとつた可能性もあります。
なほ、シュリーマンの本を私が読み違ひをしてゐました。次の回答番号10の方の御指摘どほりです。
No.8
- 回答日時:
いくつかのキーワードを基に考えてみましょう。
シュリーマンの日本紀行と関連するキーワードは、まず1)3つの遺体を目撃、
2)事件の状況は現地での伝聞、
3)切り捨て御免、
4)大名行列、
5)幕末、
の5つでしょうか。
まず大事なポイントは5)であるかと思います。
シュリーマンは1865年6月に日本に来て、約3カ月色々な事を
見聞しています。この事件との関連で大切な歴史的事件は
「生麦事件」です。1862年9月14日に起きて居ます。
外国人では無く、百姓であるにしても4)との関連でこれが何らかの
影を落していたと思われます。
4)生麦事件は当時の侍の倫理に従えば当然の事でした。
切られた英国人は乗馬のまま行列を見降ろしていた訳ですから、
極めて無礼な行動として処断されても仕方の無い事でした。
複数の侍が騎乗の英人に駆け寄り下から切り上げています。
シュリーマンが遭遇した事件では、百姓は当時のしきたりを
知っていなければならないのにそれを不注意にも犯した。
それで、何らかの形での咎を受けなければ成らなかった。それで
切られたと理解できます。
3)「切り捨て御免」は世間で言われるほど頻繁に起った訳では無く、
極めて無礼な態度や激しい侮辱で無ければ認められて
いませんでした。理由の無い切り捨ては家禄の召し上げ、つまり
侍の家の断絶に繋がりました。
この事件では、百姓の無礼が「どの程度で、採られた対応が
適切であったか」に議論の余地が有ったのではないかと思われます。
穏便に済ませられるものなら・・・が4)との関連で当時でも
最善であったのではとも推測されます。
2)シュリーマンの伝聞<部下は命令に従うのをためらい・・・>は
上の点を暗示しています。
<下士官は部下の脳天を割り>は、上意下達の当時の社会でも
妥当だったのでしょうか? 部下に代わって百姓を切り、部下の
処分は沙汰を待つと云うのが当時でも常識だったのではと思います。
1)彼は実見したことをかなり克明に記載しています。しかし、
ある程度の誇張や誤解釈も有ったと思います。
銃剣は当時すでにあり、洋式歩兵の標準装備でした。しかし、武力
誇示を目的としない普通の大名行列で着剣状態(銃に銃剣を装着した
状態)だったとは考え難い事です。銃歩兵以外の下級の侍が太刀か
脇差で切ったと考えるのが妥当でしょう。彼には短い剣の表現を
即「銃剣」と理解した可能性があります。
長々と書きましたが、以下の様な推移だったと推測します。
1)百姓が、まだ距離は十分と考え行列の前を横切った。
2)下士官がそれを見咎め、部下に切る様に命じた。
(彼には薩摩藩の「武勇」が頭に有ったかも知れない。)
3)部下は「無礼の程度の解釈」に付いて躊躇いが有った。
(彼には薩英戦争(1863年8月15~17日)が頭に有ったかも
知れない。)
4)下士官は部下と百姓を切り殺した。
5)上級士官は部下と百姓の斬殺の両方に行き過ぎがあるとして、
波及を避けるために下士官を処断した。
6)1下士官の「愚行」である事を示威するために、3人の遺体を
放置した。
(藩を護る為の行為。多分、遺体の埋葬費位を村人に残して。)
7)シュリーマンは放置された遺体を見て、伝聞を記録した。
8)上級士官の処置は功を奏し、ある出来事として忘れ去られ
シュリーマン以外の記録には無い。
シュリーマン旅行記は最近読んだばかりで、
とても興味あるものでした。
御回答ありがたうございます。『シュリーマン旅行記』をお読みになつたのですね。正座とか混浴とか、おもしろい話が満載です。
>生麦事件は当時の侍の倫理に従えば当然の事でした。
この事件の影響が大きいのでせう。場所も近くですし、今回の百姓も事件のことは知つてゐたと考へられます。シュリーマンが記述したのは、生米生卵事件といへるかもしれません。
>「切り捨て御免」は世間で言われるほど頻繁に起った訳では無く
時代劇ではしよつちゆうですが、そんなに簡単に起きてゐたら、秩序が乱れます。
>部下に代わって百姓を切り、部下の処分は沙汰を待つと云うのが当時でも常識だったのではと思います。
私もこの御意見が妥当なところに思へます。下士官の行為は不可解です。だからこそ上級仕官に処罰されたのでせう。
>彼には短い剣の表現を即「銃剣」と理解した可能性があります。
大名行列と銃剣との関連は微妙で、何とも言へません。歴史カテゴリで質問中です。回答番号2の方が興味深い見解を出してくださいました。訳本は「銃剣」ですが、フランス語の原文がどうなつてゐるのか調査できてゐません。
>以下の様な推移だったと推測します。
納得のゆく説明をありがたうございました。
No.7
- 回答日時:
私の回答へのお礼文で、殺害の連鎖がこれで止まったと云っていますが、私は行きつくところまで行ってしまった、と受け止めます。
№5の回答が質問の意図する処で、求めていたものでもあるようですが、哲学カテなのだから解決策を考えてこそ、質問に価値が生まれると思います。
私の提案は「地方分権」スタイル。
危惧する連鎖に歯止めとなる制度かと思いますが。
・・・と、此処まで考えたら、大名行列する時代は中央集権的だったんだろうか、と疑問が起きました。
また"分権"の中身が重要、になりますね。
追加回答をありがたうございます。
>殺害の連鎖がこれで止まったと云っていますが、私は行きつくところまで行ってしまった、と受け止めます。
「上級仕官」の判断が最終結論といふことですね。私もそんなふうに感じます。「下士官」のふるまひを許してゐたら、その後もつぎつぎと同様の事態が生じます。私の偏見かもしれませんけれど。
>哲学カテなのだから解決策を考えてこそ、質問に価値が生まれると思います。
豚の質問者は考へません。
>私の提案は「地方分権」スタイル。
中央集権は腐敗に対応できません。権力の分散は必要なことです。憲法上の三権分立は、実質的には行政優位であり、そのための機能をはたしてゐません。宮崎や大阪でのできごとは大きな意味があると思ひます。
>大名行列する時代は中央集権的だったんだろうか、と疑問が起きました。
まつたく勉強していないのですが、表面的には中央集権に見えても、各藩、また江戸庶民は、かなり自由に活動できてゐたのではないかと思ひます。
No.6
- 回答日時:
№5迄回答を見ています。
質問文では登場人物四人の行動に付いて"問題はなかったか"となっていますが、№1のお例文では更に関係者の心理がどのようなものであったか、と云う質問にも思えるので主にこの点について考えます。
当時の社会の常識は知りませんし、又役職の役目がどんなものかもわからないけど、或る程度それぞれの心理は想像できそうです。
また「銃剣」に付いては無視しました。
№3の百姓は怪しいかも、という点に付いては先頭を行く部下は当然そのことを常に意識して居なければならず、それが役目でもあるのだから挙動不審な処を認めれば、それに即した行動を取る筈ですが、ためらったと云うのだから、百姓に挙動不審なところはなく、だから大君のお通りに気づいて居ないと判断したのでしょう。
だから、ここでは百姓は気づいていなかった、或いは気づくのが遅かったとしておきます。
部下のためらい、からは当時の切り捨て御免は何が何でも、有無を言わさず、即座に、例外なく実行、なんて事ではなく、状況次第ではしばしばお目こぼし(この表現が適当かどうかわかりませんが使ってみました)と云うことがあったのかも、と推測します。
しかし、下士官は役職に忠実な人だったのでしょう。そしてまた上級士官の恐ろしさを身に染みて知って居た故の行動かも知れません。自身は役目を果たしたんだと思い、誇らしさを背中に、安堵感を胸の内に感じた可能性が有ります。
上級士官の心情はもっと複雑な筈で、私には想像に必要な知識が無いのでむずかしいです。
直下の者を銃剣で一突きにして殺せと命令する位だから、恐い人ではあったはずです。
百姓はともかく自分の大事な部下を簡単に殺してしまった下士官に腹を立てたんでしょうか。
それとも、大君に自身の忠誠心を見せたいと思ったんでしょうか。
他にも考えられる理由があるのかも知れません。
御回答ありがたうございます。
>ここでは百姓は気づいていなかった、或いは気づくのが遅かったとしておきます。
怪しいのかもしれませんが、「知らなかった」と記述されてゐますから、さういふことにしておきます。
>部下のためらい......
時代劇では簡単に斬つてゐます。百姓が直訴をした場合は、葵の紋の印籠が登場します。おつしゃるとほり、簡単には斬れないやうな気がします。
>下士官は役職に忠実な人だったのでしょう。
いはゆる組織人間ですね。「誇らしさを背中に、安堵感を胸の内に感じた」との御指摘は私も同感です。誤解かもしれませんけれど。組織のため、それとも自己保身、判断がわかれるところです。
>上級士官の心情はもっと複雑な筈で
立場上「下士官」と同じだとみなせないこともありません。たちまちは殺害の連鎖がこれで止りました。
No.4
- 回答日時:
当時、銃剣なんてありませんから、この話も伝聞による、てきとーでしょう
御回答ありがたうございます。回答番号2の方も指摘してくださつてゐます。私も読んだとき気になつて少し調べたのですが、幕末には銃剣が導入されてゐたかもしれないといふ程度の情報しかありませんでした。ネット情報で文献資料の根拠もなく、はつきりしたことはわかりません。歴史カテゴリで質問してみます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%83%E5%89%A3
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質問文の内容に関しは回答番号10の方の御指摘が正解です。大名行列ではありません。切捨御免につきましては、ベストアンサーの選択にかかはりますので、突込みは御遠慮ください。
今回の質問のベストアンサーは、一昨日の補足を目にしていただいた方にはお判りのことと存じます。4番は切捨御免なさい、回答番号5を切上ベストアンサーといたします。