A 回答 (6件)
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No.5
- 回答日時:
「愛」について語るなら、「世界大百科事典」の「愛」の項目を是非一読してほしい。
長文の引用をするわけにもいかないので、「日本語における〈愛〉」のみ引用します。以下引用………………………………………………………………………………
『日本語における〈愛〉』
「〈愛〉は外来語」
歴史的に〈愛〉は日本語本来のことばではなく,中国から輸入された,いわゆる漢語である。この事実は,日本語が,もともと,〈愛〉とか〈愛す〉という語を,ことばとして所有していなかったことを物語っている。〈愛〉あるいは〈愛す〉という気持ちを表現する必要があれば,古くは,和語に依存して,名詞〈おもひ〉,動詞〈おもふ〉を用いたこと,たとえば〈にくむ〉の反対語として動詞〈おもふ〉をあげた《枕草子》第71段の記事によってもうかがうことができよう。《枕草子》と並んで,《源氏物語》にも,〈愛〉〈愛す〉の語は1例も使用されていない。
このように平安女流文学においては,〈愛〉〈愛す〉が使用されていないのに対して,平安末期の仏教説話集《今昔物語集》では,これらの語が頻用されている。しかし,この現象は,必ずしも時代の新古のみによるものとは考えられない。院政時代の古訓集成とも称すべき《類聚名義抄》に,〈寵〉〈恩〉〈恵〉〈寛〉等々の漢字をアイスという語で読むことが示されている以上,漢文訓読の世界では,相当はやくより〈愛す〉という語が普及していたことを推測させる。
「仏教思想と〈愛〉」
さかのぼって,《万葉集》巻五,山上憶良〈思子等歌一首〉の前に置かれている〈釈迦如来,金口正説,等思衆生,如羅睺羅。又説,愛無過子,至極大聖,尚有愛子之心,況乎世間蒼生,誰不愛子乎〉という漢文の序も,〈愛は子に過ぎたりといふこと無し。至極の大聖すらに,なほし子を愛する心有り。況んや世間の蒼生,誰か子を愛せざらめや〉というふうに,当初から,〈愛〉を字音語のまま読んでいた可能性が強い。
憶良の〈思子等歌〉は子に対する愛を切切と訴えた名歌として知られている。〈瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ いづくより 来りしものそ まなかひに もとなかかりて 安眠しなさぬ〉。しかし,憶良は,このような絶ちがたい子への愛が,釈迦の戒めた煩悩にほかならないことを十分に知っていた。仏教の知識を踏まえて述作された漢文の序は,その線に沿って,〈愛執は子に勝るものはなく〉〈無上の聖人でさえ,子に愛着する心はある。まして,凡人たるもの,子に愛着せずにいられようか〉という意であったと解される。
儒教における〈愛〉は〈ネンゴロニシタシム心〉(《和漢新撰下学集》)であったが,仏教において,〈愛〉は〈十二因縁〉の一つであり,因果応報の理をまぬかれない。〈愛〉にもとづく後世の悪報は,《今昔物語集》の説話の随所に力説されている。あるいは,わが子を溺愛した罪のために馬身と生まれた親。あるいは,庭前の橘を愛した罪によって小蛇の身を受けた男など。《今昔物語集》がとりあげた〈愛〉は,以上のごとき仏教的見地から見た悪念としての〈愛〉であるが,この考え方は,仏教色の濃厚な中世文学の全般を覆っている。たとえば,〈法華を行ふ人は皆 忍辱鎧を身に着つつ 露の命を愛せずて の上にのぼるべし〉(《梁塵秘抄》)。
仏教思想による〈愛〉は,男女間においては愛欲,そのもっともいまわしい形態は性愛であると考える。動詞の〈愛す〉も,したがって,中世以降,しばしば性愛の行為をさして使用される場合があった。〈愛〉は,単なる心理ではなく,肉体の生理と直結していたのである。このような用法が普及するに及んでは,〈愛〉という語に神聖な意味・感情を与えることは,きわめて困難となる。室町末期,キリシタンの宣教師が,キリスト教の〈愛〉を説こうとして,本邦の〈愛〉という語を採用しなかった理由はこの点に求められる。彼らは,伝道の便宜上,仏教的な漢語を意識的に多量に導入したが,〈愛〉の語だけは忌避した。彼らは,日本にあって好ましからざる意味を持つ〈愛〉の語を避け〈大切〉〈御大切〉という語を代りに使用した。キリスト教における〈愛〉の概念が,漢語〈愛〉によって示されるようになったのは,明治初年以後のことである。
《近代日本に於ける“愛”の虚偽》
しかし,日本人の精神構造のなかには,元来,キリスト教におけるような,神と人との間の,また,人と人との間の対等の〈愛〉を理解しうる地盤がない。近代の日本人は,なまじ,キリスト教を通じてヨーロッパ系の〈愛〉を輸入したために,われわれの内部に定着しうべくもない〈愛〉の実在を錯覚してしまった。《近代日本に於ける“愛”の虚偽》と題する論文を書いた伊藤整が,〈心的習慣としての他者への愛の働きかけのない日本で,それが愛という言葉で表現されるとき,そこには,殆んど間違いなしに虚偽が生まれる〉〈男女の結びつきを翻訳語の〈愛〉で考える習慣が日本の知識階級の間に出来てから,いかに多くの女性が,そのために絶望を感じなければならなかったろう〉と慨嘆したのは,まさにその意味においてであった。
No.4
- 回答日時:
仏教の教えです。
釈尊は愛は執着であり、悟りへの障碍物と教えました。
従って釈尊は、妻をすて、子をすて、家をすてて出家の道に身を投じました。
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あい 【愛】
①親兄弟のいつくしみ合う心。広く、人間や生物への思いやり。続日本紀(8)「周孔の風、尤も仁―を先にし」
②(男女間の)相手を慕う情。恋。
③かわいがること。大切にすること。御伽草子、七草草紙「己より幼きをばいとほしみ、―をなし」
④このむこと。めでること。醒睡笑「慈照院殿、―に思し召さるる壺あり」
⑤愛敬あいきょう。愛想あいそ。好色二代男「まねけばうなづく、笑へば―をなし」
⑥〔仏〕渇愛。対象に対する強い欲望。十二因縁では第8支に位置づけられ、迷いの根源として否定的にみられる。今昔物語集(2)「その形、端正なるを見て、忽ちに―の心をおこして妻めとせんと思ひて」
⑦キリスト教で、神が人間をあまねく限りなくいつくしみ、人間の救いのために自らを与えること。また、この神の愛を恵まれた人間が互いにいつくしみ合うこと。 →アガペー①。
⑧愛蘭アイルランドの