
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
機械の設計屋です。
クルマの車体設計では、犠牲電極を新たに設定し、電気を流して鋼板のサビを守るより亜鉛メッキ鋼板の方が防食性が高いと考えられています。
その点から考えますと亜鉛メッキが完全なら防食性能はかなり高いので、アルミを直付けしてもアルミが犠牲電極とはならない様な気がしますし、また、塗装だけでも電位差腐食の絶縁には効果がありますが、しかし現実にはネジ部や座面部、或いは部品同士の接触部は塗膜やメッキが剥がれ易く、アルミと鉄(鋼?)が導通してしまうケースが多いです。
そぅしますと問題は、その鋼とアルミが混在している装置を置く環境と耐用年数、それに使用期間内でどの程度なら腐食しても良いか?にかかってきます。
1.完全にドライな環境でしたら、導通があってもほとんど問題とはならないはずです。
ただ経験的には、湿度や温度差がある環境では、どれほど直接水分がかからない様に気をつけていても、大気中の水分か或いは結露によるものか、電位差によると見られる腐食が発生する様です。
2.例えば自動車の様な、比較的劣悪な環境に置かれている機械では、鋼とアルミ板を接触させてしまうと、早ければ1年程度でも無視出来ない腐食が見られる事もあります。
3.電位差の有る/無しにかかわらず、地球上では機械構造用金属はほぼ何らかの腐食を起こすと考えて差し支えないでしょう。(アルミは勿論、SUS=ステンレスも非常に危険な腐食を起こします。チタンは・・・・ワタシが携わっているジャンルの機械では『腐食しない』と見なしていますが)
或る機械を設計する時、実際に考えなければならないのは『腐食するかしないか?』ばかりでは無く『どの程度までの腐食なら許容可能か?』です。
御質問のケースでは、導通させてしまうとアルミ側が犠牲電極となり一方的に腐食する事になりますが、例えば想定されている耐用年数内で機械強度の80%を確保すれば良い、などの目標値を満足させるのが、現実的な設計と言えます。
・・・・とゆぅワケで、貴殿が御計画の装置がどの様なモノなのか判らないので、とりあえず一般論的なモノを拾って打ちました。
しかしこれでは結論が出ないので、結論代わりに(?)自分ならどぅするか?と申しますと・・・・
鋼とアルミの組合せなら、環境がどぅでもとりあえず絶縁を基本とします(御質問のケースなら、ボルト~アルミ板間、アルミ板~鋼製部品間の、2箇所の絶縁です)。
これは後々発生が予想されるリスクを、その時に回避可能かどぅか?と考えた結果です(後に腐食が始まり「しまったぁ~」となった時に対策可能かどぅか、と考えますと・・・・また分解して絶縁材を入れて・・・・などはやりたくない、とゆぅのがホンネです)。
耐用年数の見積りは重要です。それによって絶縁方法を変えますが、結局のところアルミが腐食するかどぅかは絶縁性能の耐久性にかかっているので、耐用年数≒絶縁材の耐久性能として選択されればよいでしょう。
>対策としてどのような方法がございますでしょうか?
絶縁方法は色々考えられます。耐環境性をあまり考慮しなくてよいなら、セロテープやビニールテープを貼るだけでも十分ですし、エンジニアリング・プラスチックやネオプレン・ゴムのカラーや板を作り、ボルト穴や鋼製部品との接触部に入れると半永久的に絶縁性能を確保出来ます。
また、頻繁な脱着をしない、組立てた後は応力がかからない、などの条件であれば、エポキシなどの合成樹脂系接着剤や、場合によっては2液硬化塗料の厚塗りだけでも要求性能は満足します。
>また、何か資料がございましたらご紹介願います。
これは・・・・どぅでしょう?一応ワタシが知る限りでは、『計算では予測不能』となっているので、学術的な解説書があるかどぅか・・・・ワタシの場合は、あらかじめ試験片を作り、塩水噴霧などの加速耐久実験によるデータを集めておきますが・・・・恐らく、機械の防錆性能はどの業種、どの企業でも重要なノウハウとなっているはずなので、具体的なデータ集なども公表されていないのではないか?と思います。
とりあえず金属材料系の本(教科書)で腐食を扱ったモノは色々出回っているので、大きな書店や図書館でその辺りの本を調べてみる、ぐらいしか思い付きませんが・・・・。
さて、長くなりましたが最後に一言。
アルミ板とアルミメッキ鋼板では、全く意味が違います。アルミ板は御質問通り電位差腐食を考慮しなければなりませんが、アルミメッキ鋼板のアルミ層はメッキをかぶせた鋼板の犠牲電極となっているので、鉄製部品への取り付けを絶縁してもメッキを被せた鋼板を腐食させない様に腐食します。
早速のご回答、どうもありがとうございます。
詳細な情報、とても助かりました。
(アルミメッキ鋼板はなぜ電食起こらないのかなどの疑問が拭えました。)
なお、対象としている部品は、”自動車の様な、
比較的劣悪な環境に置かれている機械”に当てはまります。
アルミを使う場合、めっきおよび塗装が剥げる剥げないの信頼性のない限り、loftybridge様の仰る通り、カラー付きゴムなどを介し、ソフトマウント形式
で締結するのが良いみたいですね。
また、資料の件ですが、やはり具体的な数値について載ったものは無いようですね。(私も塩水噴霧試験に対し、OK、NGのレポートしか、見たことがありません。)
どうもありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
異種金属接触腐食(電食)については、学会でも研究中であり、
計算ではわからないというのは、loftybridge様のご指摘通りです。
自動車と同じ位の悪い環境とのことですが、温度条件も同じでしょうか?
自動車でもエンジン廻りは相当過酷な条件ですが、このような条件下
での絶縁は難しくなり塗装とかコーティングでの対応は不可です。
金属同士の接触を無くさないといけません。
ボルト&ナットは、絶縁ボルト&ナットという商品が出されています。
ボルト&ナットに絶縁材を被覆した品物と絶縁スリーブと絶縁座に分割
できる品物の2種類があり、配管の部品として市販されています。
また、異種金属接触腐食に関しては、ステンレス協会から出されている
資料の中に詳しいものがあると思いますので、試しに問い合わせをして下さい。
腐食の試験データは、埋設試験や塩水噴霧曝露試験のデータが豊富です。
参考URL:http://www.jssa.gr.jp/
どうもありがとうございます。
transrapid様のお考えのとおり、熱環境の厳しい条件下での
使用となります。
(熱条件については考えていませんでした。)
教えてくださった塩水噴霧曝露試験のデータを
有効に活用させて頂きます。
No.4
- 回答日時:
他の回答者の方から御質問を頂いてしまったので補足です。
ホントは回答者同士の会話は禁止されているはずですが・・・・(A^-^;)本来の御質問に対し間接的ではありますが非常に重要な内容ですので、抹消されない事を祈りつつ、回答です。Jnt様、御意に御座います。
前回の回答では『締結体の締付けと緩みに関する考え方』まで踏み込むと更に回答が長くなってしまうので、そこまでカキコしませんでしたが・・・・電位差がある材質の混成による構造体をネジやリベットで組み立てる場合、絶縁材の圧縮耐力が限界締結強度を決めます。前回の回答でも多少触れましたが、装置の設計時にこの点を明確にさせる為には、装置全体の耐久限界をどこに置くか?が非常に重要になってきます。
スチールのフレームにアルミ板を張った構造物の場合、劣悪な環境下で耐久性が必要であればあるほど入念な絶縁対策が必要になり、それは例えばストレスド・スキン構造(応力外皮構造)採用の断念を意味します。つまり、装置全体にかかる応力を十分アルミ板に分散させる事が出来るほど、締結強度を上げられなくなるとゆぅ事です。(逆に耐久性能を無視出来るなら、リジッドな結合による軽量で高強度な構造体を作る事が可能になるワケです)。
アルミと鋼、としますと比較的身近な構造体はクルマですが、‘60年代前半には既にアルミモノコックが常識だったレーシングカーに対して、既にアルミの加工方法が確立し、アルミ自体の値段も非常識なほどは高価でないところに来ていたにもかかわらず、何故市販車はつい最近までアルミモノコック化に踏み切れなかったのか?・・・・この、耐久性能に対する考え方がレーシングカーとまるで違う、とゆぅ点も理由の一つとなっていました。
さて、このままでは電位差がある材料が混在した構造体の強度に関して言及しただけですので、もぅ一点、今度は『ネジ』に関して、です。
ネジは軸力(=締付けによって引き伸ばされたネジが戻ろうとする力)によってユルミに逆らう摩擦力を発生しているとゆぅ考え方が基本ですが、世の中のネジの全てがこのメカニズムに沿って成り立っているとすると、例えばプラスチックにネジを打てなくなってしまいます。
ネジの耐ユルミ力としましては、ネジ自体の軸力がゼロでも全く別のメカニズムで摩擦が発生しており、これが耐ユルミ力となっているケースがあります(木ネジが意外なほど緩まないのはこのリクツです)。
絶縁材など、機械強度がアテにならない材料が締付部に介在する今回のケースでは、ネジにこの様な工夫が必要になってきます。
これをキチッと設計するなら、装置にかかる振動や温度変化等を考慮して緩み防止対策を決定する必要がありますが・・・・実際には、ナットは全てナイロンナットかスプリングナットとする、メス側がタテコミの場合は緩み止め剤を使う、などの一律的・盲目的対策でも驚くほど効果的な場合が結構ありますので、メンテナンスが可能な装置であれば、とりあえず一律対策をやってみて、ダメな箇所は個別に検討し対策、とゆぅ手順でも良いのではないかと思います。
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