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QNo2517342(906/11/04)の「KOHとNaOHでアルカリ性はどちらが強い」という質問に対して3人の方が答えられています。KOHの方が強いという内容で一致していました。#3の方が理由を書いておられます。Na+の方がイオン半径が小さいので結合が強く解離しにくいからNaOHの方が弱いということです。私もそのように考えたのですが理科年表で溶解度の数値を見ていて分からなくなりました。

質問はどちらの物質がよりアルカリ性の強い溶液を作ることが出来るかを訊いていることになると考えました。イオン結合性物質が水中で解離するのと水に溶解するのとは同じ事だと思います。だからmolを用いて表した溶解度を比べるとアルカリ性を比べることが出来ることになります。溶解度の大きい方がアルカリ性が強い事になります。飽和水溶液100g中に含まれる溶質の量の値が理科年表に載っています。20℃ではKOH52.8g、NaOH52.2gです。80℃ではKOH61.7g、NaOH75.8gです。式量はKOH 56,NaOH 40です。この数値で判断すると式量の大きいKOHの方が飽和溶液のmol濃度は小さいと言っていいと思います。KOHの方がアルカリ性が弱いことになります。強いというのはどういう根拠によるものなのでしょうか。

KClとNaClの場合は0℃、20℃でやはりNaClの方が溶解度が大きいです。80℃ではKClの溶解度の方が大きいです。

A 回答 (6件)

昨日の投稿の追記です。

KOHのpHの値が見つかりました。
ついでに昨日のNaOHのpHの値が間違っていました。

25℃の純水中における pHの値は以下の通りです。

1. KOH (元データ: Anal. Chem. 1985, 47, 514)
0.001 mol/kg of H2O: pH = 10.00
0.01 mol/kg of H2O: pH = 10.99
0.1 mol/kg of H2O: pH = 12.90
1.0 mol/kg of H2O (5.3 [w/w]%): pH = 13.89
3.0 mol/kg of H2O (14.4 [w/w]%): pH = 14.56
6.0 mol/kg of H2O (25.2 [w/w]%): pH = 15.28
9.0 mol/kg of H2O (33.6 [w/w]%): pH = 15.94
12.0 mol/kg of H2O (40.2 [w/w]%): pH = 16.55
15.0 mol/kg of H2O (45.7 [w/w]%): pH = 17.14
17.5 mol/kg of H2O (49.5 [w/w]%): pH = 17.62

2. NaOH (元データ: JACS 1945, 67, 1689)
2.0 mol/kg of H2O (2.0 [w/w]%): pH = 14.18
3.0 mol/kg of H2O (10.7 [w/w]%): pH = 14.43
6.0 mol/kg of H2O (19.4 [w/w]%): pH = 15.03
9.0 mol/kg of H2O (26.5 [w/w]%): pH = 15.63
12.0 mol/kg of H2O (32.4 [w/w]%): pH = 16.23
15.0 mol/kg of H2O (37.5 [w/w]%): pH = 16.77
20.0 mol/kg of H2O (44.4 [w/w]%): pH = 17.46
25.0 mol/kg of H2O (50.0 [w/w]%): pH = 17.92
29.0 mol/kg of H2O (53.7 [w/w]%): pH = 18.21

29.0 mol/kg of H2OのNaOH水溶液のデータは、ほぼ飽和状態に対応していますが、
KOHの方のデータは飽和状態まで少し足りません。
25 ℃ではKOHは54.2 [w/w]% (21.1 mol/kg of H2O)分溶けることになっておりますが、
上のデータを用いて無理やり線形近似で補間して求めてみますと、
pH = 約18.31と計算されました。この値だとKOHの方が少しだけpHが高いことになりますが、正直誤差範囲です。

なお論文から引いてきた上のpHの値は、実験的に求まったアルカリイオンの活量係数と
水の活量から求まる計算値であり、電極で測定されるpHの実測値は相当ばらつくようです。
例えば17.5 mol/kg of H2OのKOH水溶液の電位差から求まるpHの実測値は16.7で、
様々な理由で測定誤差が生じるようです。
同一人物によって比較されたデータを見ない限り、どっちの液のpHが高いかの結論は出せないと思います。

つまり、KOHとNaOHの飽和水溶液の塩基性をpHの大小だけで決定するには、
測定誤差が大きくて妥当な結論が出せないということです。
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この回答へのお礼

お礼が遅くなって申し訳ありません。詳しいデータを調べて頂いて恐縮しています。

元々の質問で「ふつうの条件では違いはない」という解答だけであれば私も疑問を持たなかったと思うのですが。3人の方が同じようにKOHの方が強いという解答でした。「どういう意味だろう」、「何故だろう」と疑問に思った次第です。
でもいただいた解答を読ませて頂いて「私のレベルを超えている」という印象です。読んでもよく分からないのです。お礼を書くのに何処から手をつけていいものか分からず困りました。

でもとにかく1mol付近からpHに差が出てくるということは分かりました。カチオンの違いで生じるpHの差が何を意味しているのかなという疑問を持ちます。メータで電位差を測ればふつうカチオンとアニオンをセットにしたものを測ってしまいますからアルカリ性という言葉の意味が既に変化してしまっている様な気もします。

たくさんの方に解答して頂きました。有難うございました。

お礼日時:2006/11/10 21:15

結局は、溶液中でもナトリウムイオンとヒドロキシドイオンのクーロン引力がカリウムイオンに比べて強く働きやすい、というのが効いていると思いますよ。


水だと区別つかないようですが、THFなどの中で計測することができれば、違いが見えると思います。
確かに、有機合成の塩基の選択において、NaOHよりもKOH, Na2CO3よりもK2CO3、さらにはCs2CO3の方が強塩基として使われているケースが多いと感じます。陽イオンと陰イオンの相互作用の度合いによるものだと思います。
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この回答へのお礼

まとめて頂いて有難うございます。
溶液の中でのOH-の動きをK+,Na+がいくらか制限している、その程度が活動度として現れているということになりますね。イオン半径の小さいNa+の方がその働きが強いからアルカリ性が弱くなるという理解です。これで納得します。
でも1mol/Lでもう差が出てくるのですね。新しいことを知りました。

お礼日時:2006/11/15 19:07

KOHやNaOHの「飽和」水溶液とは、KOHやNaOHの結晶が吸湿して潮解した状態です。

具体的には、
飽和KOH水溶液: KOH・2(H2O)という二水和物に水が約0.5分子入った状態 (KOH当たり約2.5当量のH2O)
飽和NaOH水溶液: NaOH・(H2O)という水和物に水が1分子入った状態 (NaOH当たり約2当量のH2O)

よって、高校で習うpHの定義に従えば、飽和NaOHの方が、塩基性が高くなります。

ならばpHの実測値はどうでしょうか?

実は、高校で習うpHの定義は完璧なものではありません。

pH = - log [a_H+]

なる式は、低い濃度 (大体1 < pH < 13)でしか成立しません。
本当の定義では、[a_H+]はH3O^+の「活量」
です。
つまり電位差として測定されるpHから計算される値と、実際の濃度(水素イオンの濃度)にずれが生じるので、
「活量」という言葉でごまかしている、という感じになります。
活量と濃度の比を「活量係数」と呼びますが、これに関して
ピッツァーという人が色々理論的考察を行っています。

さて、飽和溶液の実測値ですが・・・自分の手元の資料が限られているので、はっきり結論が出せません。
ただ入手できたNaOHとKOHのpHの実測値(AIChE J. 2004, 50, 445)によると

0.1 M (通常はM = mol/Lだが、ここではmol/kg water)では、NaOH: pH = 12.89, KOH: pH = 12.91
1.0 Mでは、NaOH: pH = 13.46, KOH: pH = 13.84
1.9 Mでは、NaOH: pH = 13.58, KOH: pH = 14.19
つまり同じ濃度であれば、KOHの方が塩基性が高くなります。
もう少し濃くなると、(JACS 1924, 47, 648; JACS 1945, 67, 1689)
3.0 Mでは、NaOH: pH = 14.47, KOH: pH = 14.61

これ以上濃いデータは、NaOHのものしか見つかりませんでした。
5 Mでは、pH = +14.9
10 Mでは、pH = +16.1
20 Mでは、pH = +18.3
29 Mでは、pH = + 19.4 (飽和NaOH水溶液)

濃くなる程、pHは高校で習う定義から遠いものになります。
Trans. Faraday Soc. 1949, 45, 612にNaOHとKOHの詳しい値がレビューされているようですが、
私は読める環境にありません。ただ、NaOH, KOHの活量係数の変化を補間して推測するに、
飽和NaOH水溶液の方がpHが高くなると予想されます。

もっとも極限状態のpH測定は、金属水銀を試料に接触させるなど特殊な技術が必要であり、
こんな問題が試験に出るはずはありません。
むしろ、「同じ濃度であればNa+よりもK+の方が塩基性が高い」と覚えておいた方が、後々応用が効きます。

あと、ほかの人が酸素原子や窒素原子を含んだ有機溶媒中での
水素イオン濃度について触れていますが、具体的には
[H+←:O(CH2CH3)2]のような形をした、H+が配位したものの濃度を測定しています。
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DexMachinaさんのご回答を拝見し、なるほどと思いました。


THFやエーテル、DMFなどの極性有機溶媒中での値かな、と思います。
水もですが、これらの溶媒もカリウムイオンまたはナトリウムイオンに配位する効果がありますから、私がNo.1で書いた仮説だけでは効果を取り入れきっていないですね。
仮説を拡張します(笑。

最初に溶解度がどうなるのか?という問題がありますね。
もしも、溶けやすさ自体に差があれば、それで説明がつくでしょう。
私が前の質問で回答したように、塩の格子エネルギーの差でOKだと思います。プラスして、カリウムイオンへの溶媒和の効果が高いことがさらに加速するかな?

まず、KOHの方がNaOHよりもイオン間のコンタクトは弱いため、K+とOH-の距離は離れやすい、というのは間違いないでしょう。
これらの溶媒中なら、裸のOH-ライクなものが発生しうるので、イオンのコンタクトが離れるほどOH-の塩基性が高まる効果はより分かりやすいものになると思います。

また、カチオンへ溶媒が配位する効果ですが、カリウムとナトリウムでそこまで差がなく、あまり塩基性に影響しないのなら、上述の理由で充分だと思います。
差があるとすれば、カリウムの方が大きいので、配位数は拡大しうることになりますが、このあとが自信が無くなってくる。
配位数が上がる=溶媒がたかってきても、まだOH-とコンタクトしうる
とするなら、溶媒の配位効果はKOHの塩基性を下げる方向に働きます。
しかし、
配位数が上がる=溶媒がたくさんたかってきて、配位空間を潰してくれる
とするなら、裸のOH-を発生させる方向ですから、KOHの塩基性を上げてくれるでしょう。
どのみち、溶媒の配位はlabileで速い平衡にありますから、M+とOH-のコンタクトの寄与の大きさが全体的には効いているとは思います。
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水中で殆ど電離する物質の酸・塩基としての強弱を「水溶液のpH」で比較してしまえば、


(解離定数=1で計算する以上は当然の帰結ですが)「どちらも同じ」になってしまいます。

そういった強酸・強塩基同士の場合は、別の適当な(より解離しにくい)溶媒に溶解させて
比較する必要がある、ということでしょう。

参考として、硫酸よりも強い「超酸」について触れられているサイトを挙げておきます;
(後者のサイトの「(1)-2 溶媒のフルオロ硫酸(HSO3F)について-超強酸のこと」の
 項に、強度の指標pKの具体的な求め方が紹介されています;
 私が読んだ限りでは、溶媒そのものが指示薬を兼ねているものと理解しました)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E9%85%B8
http://www.water.sannet.ne.jp/masasuma/alchemst/ …


・・・肝心の、pKbの具体的な値は、残念ながらこちらでは見つけられませんでしたが、
ht1914さんはお手元に理科年表をお持ちのようなので、そちらでご覧下さい。
(なお、強弱の結論については、「KOHが上」で間違いなかったと記憶しています)
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お書きになっているNO.3のものです。



溶解度から判断すると、ht1914さんの指摘の通りですね。

そもそも、KOHの方がアルカリ性が高いというのは確定事項なのかな?という懸念があります。
私も回答で書いたのですけど、水溶液にしたらどっちも完全電離しますから、実験的に比較できるのかなぁ?と気になったのもありますし。
何のデータを持ってアルカリ性を比較しているのでしょうか?

突っ込みはおいておいて、ここでは、これが実験事実だとして仮説を述べてみます。

飽和濃度溶かした場合だと、確かにNaOHの方が濃くなってしまいますから、同濃度溶かしたとします。
水溶液中で塩はいくつかの状態を取ります。
MX(分子)<> M+X-(接触イオン対)<> M+ 水分子クラスターX-(溶媒分離イオン対)<> M+ X- (ずっと離れた状態)

カチオンとアニオンの相互作用が強いと、極端には分子になりますが、そこまでいかずとも接触イオン対の状態でもイオンはやや分子的な性質を持ちます。
今の場合だと、ヒドロキシドの酸素原子(アニオン中心)にM+がたかってくることで、ヒドロキシドの塩基性が低下することが考えられます。

溶媒で分離され、離れていけば上記の効果はどんどん薄れてフリーのカチオン、アニオンとして記述できるでしょう。
もっとも、水中ですから真のフリーイオンは存在しませんが・・・

さて、最初に記した平衡が、接触イオン対側によっていれば、トータルで塩基性は低下すると考えられます。
Na+とK+では、Na+の方がヒドロキシドとのクーロン引力は強いはずですから、Na+の方で接触イオン対の寄与が増しているとすれば、系全体としての塩基性は低下するのではないでしょうか。

しかしこれは平衡状態なので、酸を加えて反応させたとすれば瞬時に平衡は生成系によりますから、実験的には分かりませんね。
どうやったのかな・・・?
pHメーターで電気化学的にはかったのでしょうか。
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