
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
どのくらい過冷却するかは、現実には物質固有の性質ではなく、実験条件で決まっています。
過冷却している状態というのは平たくいうと、本来は固体が安定なのに、「準安定」な状態として液体でいる状態です。例えば、床にあるボールを丼に入れて持ち上げたとします。このとき、ボールの位置エネルギーは床にいるときが一番小さく安定ですが、丼の底もそれなりに安定です。しかし、丼がゆすられるとボールはより安定な床に向けて落ちていきます。過冷却状態の液体は、この丼の底のボールのような状態にあります。この際の位置エネルギーに相当するエネルギーは「自由エネルギー」と呼ばれています。
過冷却状態から固化するには、丼のふちまでのエネルギーの壁を何らかの擾乱(例えば温度の揺らぎ)で超えないといけませんが、鉛はスズに比べて融点が高いので、炉に供給される電力が少し変化しても、温度揺らぎが大きくなるのが主な原因だと思います。(エネルギーの壁の高さは物質固有の側面も持っているので、これだけだと思われるとちょっといけませんが。)
ちなみに、過冷却状態からの固化は容器と接している部分から始まります。スペースシャトルで浮遊した状態で同じ実験をしたらすごく過冷却するはずです。
相転移に関しては以前回答したことがありますので(参照URL)ご参考になれば幸いです。でも一次相転移、二次相転移を理解するには「自由エネルギー」の概念がないといけません。まずは熱力学の本を参照するのが良いと思います。
参考URL:http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=207621
この回答へのお礼
お礼日時:2002/06/02 12:06
本当にありがとうございました。
かなりわかりました。
過冷却の事を知るには、ホントいろいろな知識がいるのですね…。
でもホント助かりました!!!!!
Thank you!!!
No.5
- 回答日時:
スズは過冷却を観察する学生実験の試料としてよく使われているようです.
多分,過冷却を観察しやすい条件がそろっているのではないかと思いますが,
ここらへんは普通の物理屋(私は物理屋です)よりは金属材料の専門家の方の
出番ですね.
過冷却の物理については vortexcore さんの No.4 の回答や
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=154054
の私の回答をご覧ください.
過冷却がどの程度起こるかは vortexcore さんの言われるように,
実験条件に強く依存します.
温度ゆらぎも過冷却を破壊しますし,振動が破壊することもあります.
不純物が原因になる場合もありますし,容器との相互作用が原因になる場合もあります.
物質によっての違いは,固体状態と液体状態の自由エネルギーの峠
(vortexcore さんの表現では丼の縁)の高さにあります.
峠が高いほど,過冷却状態を保ちやすい.
この峠の高さは温度の関数で,凝固点より温度が下がるに従って峠の高さは
低くなっていきます.
ついに峠がなくなる(液体状態から固体状態まで自由エネルギーが一方的下り坂)点
が過冷却の下限を決めます.
おそらく,鉛とスズでは自由エネルギーの峠の高さや過冷却下限が違い,
そのためにスズの方が過冷却を観察しやすいのではないかと思うのですが,
個々の金属の細かいデータは今ちょっと手に余ります.
金属便覧の類に何かヒントがあるかも知れません.
水ですと,-12℃程度が過冷却の限界のようです.
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=165906
No.3
- 回答日時:
> 鉛は2次相転移ですか??
「過冷却現象について勉強していたのですが」
というところを見ると,鉛の融解,凝固でしょうか?
鉛に限らず,融解,凝固は1次相転移です.
また,過冷却も1次相転移に特有の現象です.
1次転移,2次転移については oshiete_goo さんの書かれているとおりです.
この回答への補足
スズと鉛の凝固の実験をしたのですが、鉛だけ過冷却現象が見られなかったので、調べていました。
このことについては分かりませんか??
No.2
- 回答日時:
申し訳ありませんが,物性は専門ではなく鉛についてはわかりません. もう少し待っていればきっと諸賢が教えてくれるでしょう.
さて蛇足ですが, 「Kittel 熱物理学」の相転移のランダウ理論のあたりは参考になるでしょう. 2次相転移の例としては他に超伝導もありますね. また, 少々変わった例としては, 初期宇宙論におけるインフレーション宇宙モデルの最初のバージョンとして考えられた ”old inflation model (オールドインフレーションモデル)”は真空の過冷却に伴う1次相転移を考えたものです.(但し,宇宙論の現実的モデルとしては問題があって,現在では使えないことがわかっていますが.)
やぶ蛇になるといけないので,この辺でやめておきますが,余裕と興味があれば一般向けの啓蒙書(一例としては「数理科学」のバックナンバーなど)を見ても良いかも知れません.
No.1
- 回答日時:
状態変化に際し,潜熱といった熱の出入りを伴うのが1次相転移,逆に強磁性体から常磁性体などのように熱の出入りがないのが2次相転移です.
一般論という点ではしかるべき参考書を見ていただくことを薦めますが,たとえば具体例として下の例は理解の助けになるでしょうか.
参考URL:http://www.exp.t.u-tokyo.ac.jp/seap/experiment/C …
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