A 回答 (6件)
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No.6
- 回答日時:
日本の場合、起訴権は検察にすべて委ねられているので、陪審員制度といっても、小陪審の「事実認定をする権限の付与」。
つまり、「有罪無罪の判断は陪審員のみが決定権を有し、量刑などの法律適用は職業裁判官が最終的な決定権を有する」制度が該当します。また、参審制というのは、国民が職業裁判官と同等の立場で合議体を構成する制度のことです。一方、日本の裁判員制度の特徴は、「有罪・無罪の決定」および「量刑」に参加はするものの、法解釈の合議に参加できず。さらに、確定的な決定権を付与されていないことです。ANo.5で指摘されるように、二重のフィルターが掛けられています。少なくとも、検察の控訴権を排除しなければ、「国民の意見を反映させる」とは言い難いでしょう。
この日本独自の制度が導入された理由ですが、現在の裁判所は、最高裁事務総局の司法官僚に支配されており、裁判官の独立性が担保されていません。特に刑事裁判は、「自白編重主義」「人質司法」「調書裁判」などと呼ばれ、国連人権理事会から勧告され続けています。この批判の矛先を躱すのが第一義的、目的だと考えられます。
かりに、陪審員制度を導入した場合、有罪判決をより多く獲得することが検察官に高い評価を与える基準となっているため、検察の猛反発を受けることは避けられないでしょう。ですから、制度導入の影響力を極力抑えて目的の効果を最大限に挙げる究極の国策としてこの中途半端な制度が採択されたのです。
より深い興味がおありでしたら、次のブログを参考にしてください。
http://newsblogspecial.seesaa.net/
参考URL:http://newsblogspecial.seesaa.net/
No.5
- 回答日時:
>昔の陪審員制度は全然うまくいかなかったみたいだから、そう判断したのかもしれませんね。
でも、それではなぜ「中止」ではなく「停止」になったのでしょうか。・陪審法(大正12年4月18日法律第50号)は、その法令番号を見ても分かるとおり、大正デモクラシー運動の高揚を背景に制定され、5年間の準備期間を確保して、昭和3年(1928年)10月1日から施行されました。
対象事件や陪審員の資格、陪審の手続などは、諸外国と異なりかなり制限的なものでした。それをもって「当時の陪審制は不十分」という意見が多いことは事実ですが、それは現代からみた感覚であり、当時としては、選挙制度などとも整合性を取り、とりあえず現実的な内容からスタートしたわけで、それはそれで当時の水準としては画期的なものだったのです。
そういった制度の中身とは直接関係なく、昭和16年(1941年)には太平洋戦争に突入するという時代背景がありました。
陪審制の維持には、政府にも国民にも多くの時間的・金銭的・精神的なコストが必要なわけですが、戦争の遂行に支障を来たすおそれがあったため、「陪審法ノ停止ニ関スル法律」(陪審法停止法)を制定。昭和18年(1943年)4月1日に公布・施行され、陪審制が一時的に停止されることになったわけです。
諸外国を見習って司法への国民参加を促進させようという「理想」を当時の政府は抱いていたものの、国の存亡を賭けた戦争中なので一時中断しようという、現実的な対応をしたわけです。
ですので、同法(陪審法停止法)には、附則第3項において「陪審法ハ今次ノ戦争終了後再施行スルモノトシ(後略)」と規定し、戦後制定された現行の裁判所法第3条第3項にも「この法律の規定は、刑事について、別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない。」と規定しているわけです。
陪審法(停止中)
http://www.ron.gr.jp/law/law/baishin.htm
陪審法ノ停止ニ関スル法律(現行)
http://www.ron.gr.jp/law/law/baisi_te.htm
裁判所法(現行)
http://www.houko.com/00/01/S22/059.HTM
ただ、今般の司法制度改革においては、陪審制の復活ではなく裁判員制度の新設が選択され、同制度が平成21年(2009年)5月21日から施行されることになっています。
どうせだったら、先人たちの努力に敬意を表す意味でも、60年以上停止されている陪審法を見直す形で国民の司法参加を促す制度を作ればよかったと思うのですが、裁判員制度を作った人たちにとっては、停止中の現行陪審制度(あえて「現行」といいます)は、とっくに過去の遺物に映ったようです。先人たちに失礼だと思います。
おかげで中途半端な制度になってしまいました。国民の司法参加についての「理想」は様々だと思いますが、少なくとも現在の多くの国民は司法参加を求めておらず、むしろ審理の迅速化を求めていると思います。実際、2008年1月~2月に最高裁が実施した意識調査では、8割以上が裁判員制度への参加に消極的な回答を寄せています。
http://www.saibanin.courts.go.jp/topics/pdf/08_0 …
目的からしておかしいんですよね。裁判員制度の主な目的は「一般の市民の感覚を裁判に反映させること」なのですが、「一般市民の感覚」というからには、その事柄が一般市民にとって身近で誰でも知っていることであれば、その感覚を裁判に反映することは可能でしょう。
しかし、裁判員制度に付される事件は凶悪犯罪に限られます。凶悪犯罪は刑事裁判でもまれです。プロの裁判官でもめったに扱わないものですので、素人の裁判員であればなおのこと全員が未体験のはず(被害者にも加害者にもなったことはないはず)です。ここに「一般市民の感覚」が介入する余地はないでしょう。
それに、重要な基礎知識としては、裁判員制度による裁判は1審だけで、2審以降は従来どおりプロの裁判官のみによる審理なのです。凶悪犯罪の否認事件の場合、1審で決着することはまずありませんので、実質的に3審制が2審制に変わるようなものです。
膨大な負担を掛けるものの、控訴してしまえば全く裁判員制度は無意味になるわけです。普通は、裁判の基本的な「流れ」は1審で決まるので、2審はその「流れ」に乗って行くのですが、それは現行のプロ裁判官による裁判の場合です。1週間前後の簡単な審理で「流れ」を作られてはたまりませんので、検察側、弁護側も「本番は2審から」と考えるはずです。
裁判員制度の唯一のメリットをあえて挙げると、それは「判決確定までの迅速化」でしょうね。事実上1審がなくなるわけですから。例えば、麻原裁判では1審だけで7年10か月を要しました。もし控訴がなく1審で確定したとすれば、それはそれで数か月間で済むわけです。
まあ、皮肉なもんです。制度を作った人たちの想定とは裏腹に、結果的に、裁判の迅速化のために国民の税金が費やされ、なおかつ国民自身が犠牲になる構図のような気がします。
(もっとも、2審は今までのように1審で作られた「流れ」の延長ではなく、完全に仕切り直しをする可能性が高いため、「流れ」を作るのが事実上2審になり、2審が長期化するかもしれません。その場合は必ずしも「迅速化する」とはいえないかもしれませんね。)
No.4
- 回答日時:
アメリカ国籍の人間として陪審員には何度も喚ばれ、一度だけですが務めました。
その体験記を中心としたHPをアップしてあります。ご質問への答えも直接にではありませんが、かなりしっかり答えられていると思います。一度、http://homepage3.nifty.com/saiban-in~baishin-in/ をお読みください。または、ウェブ検索で「裁判員と陪審員」を探されると、すぐにこのHPが出てきます。kanba_taku
参考URL:http://homepage3.nifty.com/saiban-in~baishin^in/
No.3
- 回答日時:
まず、日本の裁判員制度は、参審制の一種とされている(変形型)ので、参審員制度でもなく・・・というのは誤りかと思います。
なお、陪審制は、ヨーロッパ諸国でも陪審制から参審制に移行しているように、欠点があります。それは、陪審制では、事実関係については陪審員たる市民だけで判断し、有罪かどうかを決め、それに対してどういう刑罰をあてるかについてのみ裁判官が判断するため、事実関係についての膨大な証拠資料を市民だけで読んで判断しなければならないので、市民の側にもある程度の法的知識が必要とされる、時間がかかるなど市民にとっての負担が大きくなるからです(アメリカでは訴訟社会で市民も法にいやでも普段から日常的に付き合っているから問題ないのでしょうが)。そのため、日本では事実関係についても裁判官が参加する参審制の一種である裁判員制度を採用することとなったのです。
もっとも参審制の方にも、裁判官側の意見が通りやすくなるという欠点が指摘されています(日弁連が陪審制を主張したのはそのため)。
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