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国が公的資金を注入すると、多額の不良債権を抱える企業はどうなるのでしょうか。
公的資金を注入しない場合と、する場合でどう違うのか
誰か教えてください。

A 回答 (3件)

公的資金が投入される企業は一般的に破産する可能性があると見られている銀行です。



預金者全員の預金額を一億円と仮定して、預金者から見れば銀行に一億円の資本を銀行は保有していると考えます。しかし、実際銀行にはそんなにお金はなく、直接預金者に払い戻せる金額はわずかに残してあるだけで、あとは企業への融資に使ってしまっているのです。だから、銀行は預金者に対して「預金を下ろすに来ればいつでも払い戻しますよ。」と言っておきながら、実際に預金者全員が預金を下ろしに来れば、銀行は払いきれないのです。もともとそんなお金は常時銀行に置いていないわけですから・・。預金者全員が預金を下ろそうとした歴史的な例は世界恐慌後の「取り付け騒ぎ」でしょう。

しかし、それでも預金者は「あの銀行なら潰れないだろう」という一定の信用のもとで預金しています。つまり、銀行の経営は「信用」によって保たれているのと同じなのです。

この「信用」がなくなってしまった銀行はどんな末路をたどるのか。それは預金者の立場から考えればハッキリします。つまり、自分がもしその銀行の預金者であるとすると、その銀行は潰れるかもしれない。なら、早く預金を下ろさないと自分の預金がパーになってしまう。みんなそう考えるでしょう。ですからみんなその銀行に預金を下ろしに来る。そうすると「取り付け騒ぎ」になって、なおさら銀行の経営は悪化する、そうすると信用がなくなる。というように破綻への道まっしぐらになってしまうのです。だから銀行にとって「信用」は命と言っても過言ではありません。


そこで、経営が危ういとされている銀行数社に公的資金を投入されると、その資金を不良債権処理につかうなどしてその銀行の経営は少しは改善された、と思わせるのが狙いだろうと思います。つまり「信用」を保たせるためのパフォーマンス的な部分もあるのです。だから公的資金を注入された銀行のほうがされていない銀行よりは「信用」があるのです。

結論的に言えば、公的資金投入は「この銀行は潰れないですよ~という合図」で、こうすることによって最悪の事態(取り付け騒ぎ)を防ごうというわけです。
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公的資金注入に至るロジックは以下のようなものだと理解しています。



収益構造の悪化 ⇒ 自己資本比率の悪化 ⇒ 信用力低下 ⇒ 資金調達コスト上昇 ⇒ 更なる収益構造の悪化 ⇒ デス・スパイラル

上記の事態を回避するため、自己資本比率を高める目的で、公的資金で資本注入。

注入資本は優先株(議決権が無い優先配当株)として自己資本に組み入れる。

・→経営改善が進めば、株式の買い取り償却を経て、公的資金を返却する

経営体質の改善が進まないと優先権を喪失するため、普通株(議決権のある株式)に転換。

政府の経営介入。

不良債権を処理するとは、引当金で手当をして、損失を帳簿上精算することですが、精算するためには引き当てるべき原資がなければできません。そのための資金を手当し、企業には不良債権の整理をさせる、というのが公的資金の注入です。

公的資金を注入せずにデス・スパイラルを放置すると、いずれは信用破綻に至り、倒産します。我が国の法人のうち資本金1億円未満の法人は98.5%(平成9年度:国税庁法人統計調査)です。大企業だからといって安泰ではなく、中小企業であっても健全経営である場合も当然ありますが、一般的には大企業の方が資本効率・影響力から言って資金調達力は高いため、金融機関破綻の影響を最も受けるのは中小企業であるといえます。
金融機関とは経済の循環器=ポンプのような役割をしていますから、金融機関が破綻すると資本循環が停滞し、真っ先に中小企業の運転資金が回らなくなります。我が国産業の構造から言って大企業は中小企業の支えの上に成り立っていますので、中小企業の破綻は大企業にとっても深刻な影響をもたらす場合が少なくありません。

従業員規模でいうと500人以下の事業所で働く人が68%以上を占めます(平成13年度:総務省統計調査)ので、極論を言うと金融機関の破綻によって70%もの人が倒産・失業や所得の減少などの影響を受けることになりかねません。これほどの規模で一般生活者が影響を蒙れば、当然、消費購買力は大幅に低下し、更に不況が進行していくことになります。

このような「衰退のシナリオ」を回避するために、金融機関という循環ポンプを健全に維持しなければならないのです。
企業のモラルハザードは、金融に限ったことではないことは、雪印・日ハム・東京電力の事件などを見れば明らかですが、それについては社外監査役制度、経営責任の追及といった、別の観点で論じることが適切かと思います。
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ある時払いの催促無しで国が金を貸すということは、ここは絶対潰さないぞ、と宣言したのと同じですから、絶対潰れないのだから、と企業の信用度が上がり、市場での資金調達も容易になるだろうと思います


逆に言えば、潰れないと高を括った企業のモラルハザードが進む心配もあるでしょう
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