No.1ベストアンサー
- 回答日時:
ご質問の内容は、表面エネルギーではなく、表面自由エネルギーに関してではないでしょうか。
表面エネルギーは(表面自由エネルギー+表面エントロピー×温度)で、表面張力に相当するのは、表面エネルギーではなく正しくは表面自由エネルギーです。
そして、表面張力は分散力成分と極性成分などに成分分けされることがあります。
そもそも、表面張力(=表面自由エネルギー)は、液体などが丸まろうという力(エネルギーで表現すれば、表面自由エネルギー)で、液体表面にある分子(例えば水の分子)が内部には他の水分子から分子間力によって引っ張られるに、空気側からは殆ど引っ張られないことによって、(分子間力により引っ張られる力の差によって)液体内部に引っ張られる事が原因となっています。
それ故、分子間力が強くなるほど表面張力は強くなります。
液体-空気界面では表面張力といいますが、液体同士や液体と固体界面では界面張力という表現になります。内容は同じです。
もし、同じ物質内に仮想界面を考えると、上にも下にも同じ力で引っ張られるので、力の差は0となり、界面張力は0になります。
このように表面張力(表面自由エネルギー)の源は分子間力です。
水の場合を考えると、水同士の分子間力は、分散力や水素結合などが寄与しています。
勿論、水分子に存在する全ての種類の分子間力が水分子を引っ張るので、水の表面張力には、それら全ての種類の分子間力の寄与が含まれています。
ところで、表面張力はぬれ、接触角などの界面現象にとって、重要な指標ですが、物質の組み合わせによっては同じような表面張力の値の組み合わせなのに、濡れ現象の挙動が異なってしまう場合があります。
このような例外を説明するために、表面張力を分子間力の種類によって成分分けすることが考案されました。
2種類の分子間に働く分子間力は、分散力成分は分散力成分と極性成分は極性成分としか作用を及ぼさないと仮定しているのです。
この考えると全体としては分散力成分と極性成分の両方を持った分子であっても、分散力成分しか持たない分子との間では、極性成分は働かずに分散力成分のみが働き、極性成分も持った分子に対しては、分散力成分とは別に極性成分同士が作用することになり、種々の現象が従来よりも上手く説明できるようになりました。
よって、物質の表面張力は、各分子間力成分の表面張力の総和になります。
この回答へのお礼
お礼日時:2003/01/31 14:27
大変わかりやすい回答ありがとうございました。
2種類の分子間に働く分子間力は、相手分子の持つ分散成分と分極成分の大きさに左右されることは理解できました。しかし、分散と分極の区別がうまくできません。分散力とは、一種の分極ではないのでしょうか?基礎的な質問ですが、回答をよろしくお願いします。
No.2
- 回答日時:
表面張力は、その物質の分子間に働く全ての種類の分子間力の総和によって決定されるので、表面張力の値を各分子間力の種類ごとに成分分けしようとしたと言うことは、No1のところで説明したとおりです。
ところで、分子間力の種類とは、どのようなものがあるかというと
1.水素結合
2.ファンデルワールス力
を考えればよいと思います。(人によっては電荷移動力なども入れる人もいますが、ここでは上記2つだけを考えれば十分でしょう。)
ファンデルワールス力には、ご存じの通り
1)分散力
2)誘起力
3)永久双極子力
が含まれますが、永久双極子力、誘起力は結果として、永久分極(プラス電荷とマイナス電荷の重心がずれている。)によって引き起こされます。
それに比べ分散力は、基本的にプラス電荷とマイナス電荷の重心が一致していても働きます。
両者の重心が完全に一致しているヘリウム原子(単原子分子)でさえも、絶対0℃に近づければ液体になってしまう(分子間力が働いている)ことからも分かります。
分散力はプラス電荷とマイナス電荷の重心が一致していても、瞬間的にずれることによって働くと説明されています。確かに文章ではその通りなのですが、実際には量子力学的に考えなければならないと思います。
上記、文章的な説明では、瞬間的な分極なのでmushinさんの疑問のとおり
>分散力とは、一種の分極ではないのでしょうか?
と言えるかもしれませんが、mushinさんが読んだ論文の中での分極は永久分極、つまり永久双極子力や誘起力、水素結合などを指しているのだと思います。
私はNo1の回答で極性という表現を使わせていただきました。
この分野では、脂肪族系飽和炭化水素は、分散力成分だけと考えられています。そのようなものを非極性、低極性、無極性などと表現しています。
例えば、水と脂肪族系飽和炭化水素との界面張力を測定すると、界面張力を低下させるために働く結合力(異種分子間の分子間力)には、仮定により分散力成分だけしか働いていません。
その界面張力値から異種分子間の分子間力を計算し、水の表面張力(水の表面張力は、分散力成分と分極(極性)成分との和)から差し引くと、極性成分による表面張力の値が計算できます。
異種分子間に働く力(エネルギー)は、同種の分子間に働く力の調和平均になるという考え方と幾何平均になるという考え方があります。
現在、幾何平均という考え方の方が主流になっていると思います。
幾何平均という考え方を採用すると、各々の表面張力から界面張力を推定するフォークス式、拡張フォークス式が誘導できます。
拡張フォークス式がまさに表面張力を成分分けしたものなのです。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/macchann/hiro …
表面張力の成分分けを、分散力成分と分極成分、水素結合成分と3つに分けることも行われます。
mushinさんの読まれた論文では2つに分けているのですから、分散力成分とそれ以外の成分という風に考え、それを(永久分極に起因しているので)分極成分と表現していると表現していると考えればよいと思います。
参考URL:http://web.kyoto-inet.or.jp/people/macchann/hiro …
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