A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
>情報化社会の中でインターネットを使い情報を集めるという教育を受けている
変わった授業ですね。インターネットで情報を集めるというのは、法律の学習法としてはかなり無理があると思います。先に書いたことも、団籐、大塚、平野、前田、中山、大谷、etc...といった体系書を下地にしているので、結局本を読んだのとあまり変わらないのではないでしょうか。しかも、間違いが混在している可能性もあります。
一通り体系を習得した後に、ドイツ刑法やフランス刑法などをインターネットで比較するというのなら別ですが(相当な語学力が必要です)。
ところで、判例は昔から(大審院時代から)所持説(占有説)をとっているはずですが。本権説は昔、強権的な取締りを警戒した小野・滝川時代に人気があった説ですが、現在支持者は見かけません。こうした学説の推移も、戦前の国家による強権発動を制限しようとする考えから、戦後になって人権保護の思想が確立され、むしろ立証の簡明さなどを重視する方向に変わってきた、という時代背景と重要な関連性があります。つまり、刑法理論を本当に理解するには、各学説が登場したときの取締りの状況等の時代背景や思想にも目を向けなければなりません。それに外国からの影響や誤解・誤訳などを考えると、きりがありませんが。
現在学説上は、平穏占有説と所持説が拮抗ように見えます。実務は、知り合いの検事によれば所持説以外考慮に値しないと言っています。
なお、説の比較上バランスが良いので、先の説明では平穏所持説をベースに書きましたが、私自身は所持説です。通常の社会生活では判例・実務を基本とするのが間違いないので(正直なところ、どうでもよいのですが)。
ところで、#2 さんの挙げた例。所持説では当然に窃盗罪成立ですが、占有の平穏性を害している以上、平穏占有説からも窃盗罪が成立することに特別な疑問は生じません。贓物取戻しの形態で平穏占有説から窃盗罪が不成立となるのは、先に書いたように、盗んだばかりなどのように明らかに違法な占有と認められる場合に限られるでしょう。
この回答への補足
補足です。。
もちろん、配られたプリントやテキストなどを使う場合もありますよ。
本もですけど、インターネットって今莫大な量の情報がありますよね。
それをいかに自分の中で整理をしていくか・自分に必要な情報は何かを選べるようにってことです。他大の友達もインターネットを利用してレポートとかあるみたいですよ。(←話はそれましたが…;;)
goldensunさんは占有説の立場を取られるということで、占有説側の意見ありがとうございます。
No.2
- 回答日時:
いまどきめずらしい本権説の立場です。
答案では判例にのりますが。平穏占有説の立場をとられるのであれば、以下の例ではどうでしょう?
AさんのパソコンをBさんが盗み、一度家に持ち帰ったうえで、友人のCに売った。Cがそのパソコンを大学で使用しているときに、たまたま自分のパソコンであることに気がついたAが、Cが席を離れたときに持って帰った。
Aに窃盗罪は成立するか。
No.1
- 回答日時:
本権説や占有説のどこが「頭で理解できない」のでしょうか? ネットで調べれても良いですが、代表的な教科書を3冊ほど読めば、たいてい解ると思いますが。
「本権」という言葉が解らないのなら、民法から勉強しなければ。
しかし、まぁ一通り整理してみますか。
前提・・・刑法上の財産とは何か?
α 法律財産説・・・法律上保護される利益(民事上の財産権)
β 経済財産説・・・経済的価値それ自体
γ 法律・経済財産説・・・一応適法な経済的利益(多数説、自説)
[γによる論証]
刑法の目的=法益保護 ⇒ 社会秩序維持
とすれば、法秩序によって承認される利益=民事法上保護される利益のみを保護するべきである。しかし、民事上の権利の所在は、社会生活の複雑化、動態化とともに必ずしも明白だとはいえない。よって、一応適法な経済的利益が存在すると認められる限り、その利益を保護する必要が生ずる。
また、αによると犯人が経済的利益を現に取得し被害者がそれを失っていても、民事法上の権利・義務と無関係であれば財産は侵害されていないという不合理な結果を招く。一方、βは明らかに違法な利益であっても刑法上保護するという点において、社会秩序の維持という刑法の基本的な機能に矛盾する。
「窃盗罪の保護法益」は、この「刑法における財産概念」が理解されていることを前提として論じられます。それから次にいよいよ法益論。
まず、なぜ法益が問題になるのか?
→ 個別的な犯罪類型において、犯罪成立の範囲を確定する基準となるから。
窃盗罪の法益は何か?
→ 行為態様=他人の占有奪取。とすると、保護法益は「占有」なのか?
これが問題になるのは、次の事例(1)~(3)で窃盗罪が成立することになるかどうかに結びつくから。(ここがポイントです)
例(1) 第三者が窃盗犯人から贓物を奪うのも財産罪となるか?
例(2) 被害者が贓物を取り返すのも財産罪となるか?
例(3) 禁制品や不法原因給付物の領得も財産罪となるか?
ここで、結論の妥当性から次のように説が分かれます。
a. 本権説・・・占有の基礎となっている本権が法益
b. 占有説・・・占有(所持)状態そのものが法益(判例)
c. 平穏占有説・・・平穏(一応適法)な占有が法益(多数説、自説)
[cによる論証]
前提=刑法242条は保護される他人の占有が法律上正当な権原に基づくものであることを要するか否かについては答えていないから、実質的に解するよりない。
とすると、(刑法における財産概念について)γ ⇒ 究極においては本権であるが、社会生活上特定の人の占有・所有に属するものであるとみられる客観的状況の下での現実の所有・占有も含むと解するべきである。
[例(1)~(3)の検討]
例(1)
本権説を徹底すると財産罪否定(滝川)。
ただし、本権説でも、被害者の本権をさらに侵害したものとして成立を認めることができる。
b c → 財産財の成立肯定。
(結局、極端な本権説以外はどの説からも成立を認めることができます)
例(2) 実質的財産侵害の要否(これが各説の分水嶺ですかね)
a → 財産罪否定
b → 肯定(自救行為の問題となる。「社会通念上占有者の受忍を求める限度を超えているかどうかで判断する」最判平1・7・7)
c → 占有の開始が明らかに違法な手段に基づく場合など、民事訴訟の最終的な判断を待つことなく違法性が確定しうる占有の場合には、その占有者は本権者に対抗できない。したがって、「一般的には」窃盗罪を構成しない(大谷)。
例(3) は通常「財産罪の客体」で論じられます。
禁制品=法令上、私人による所有・占有する権利が認められていないのであるから、財産財の客体となり得ないのではないかが問題となる。
奪取罪の保護法益=所持とする説(判例)からは当然に肯定される。しかし、他の説でも、「禁制品(法禁物)も、その没収には一定の手続きを必要とするから、法律上の没収手続きによらなければ没収されないという限度で、その占有(所持)は保護されると解するべきである」(大塚)など、肯定する者が多い。
(結局、この問題については犯罪成立可能とする者がほとんどです)
窃盗罪の保護法益については大体、以上の点を押さえておけば十分でしょう。
回答ありがとうございます。
お気づきかと思いますが、私は今学生をしています。
本を使わなかった理由は 情報化社会の中でインターネットを使い情報を集めるという教育を受けている最中だからです。
なので、今回の疑問に関してこの手法を使わせていただきました。(個人的には本を読むのは好きですよ)
占有説についてはさまざまな情報が載っているのに、従来、判例として使われてきた本権説については少なく不思議に思い、その疑問を解決したく投稿させていただきました。
私の考えでは、所有と占有が異なる今日で本権説はあまり通用しないのではないかと思い、また占有説の真の所有者が犯人から取り返した場合でも自救行為として違法性が阻却されるにすぎないので、間をとり平穏占有説で足りると思っています。
話はそれましたが・・・教えていただきありがとうございます。
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