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- 回答日時:
まず、かける磁場は交流磁場でないと発熱しません。
発熱するメカニズムは、磁性粒子の大きさや粒子の存在する環境(粉体のままか、溶液の中かなど)によっても多少異なってきますが、主に次の3つが原因と考えられます。
1.磁気ヒステリシス損
磁気材料の勉強をしていると、「磁気ヒステリシス曲線」という用語を目にしたことが有るのではないかと思いますが。これは、横軸を材料にかける磁場、縦軸をかけられた磁場によって材料に発生した磁化にしたグラフで、プラスの大きな磁場(飽和磁場)からマイナスの大きな磁場に変化させた後再びプラスの大きな磁場に戻した時に、行きと帰りの磁場で磁化の値が異なる現象(ヒテリシス)を示した曲線のことです。固体物理の教科書などでは、簡単に「この曲線に囲まれた面積をヒステリシス損と呼び、磁化曲線におけるエネルギー損失を表す」と書かれています。このエネルギー損失が磁気材料を発熱させます。
直感的なイメージで言えば、磁場変化に対しスムーズに変化しない磁化には、磁場方向へ向けようとする力がかかります。力をかけられた磁化が、磁場方向へ向く過程で磁気的な摩擦で失うエネルギーですね。
マグネタイトのような電気伝導性の悪い材料で、ミクロン以上の大きさの粒子やマクロなサイズの磁性体では、発熱はほぼこのメカニズムで生じます。
2.磁気緩和エネルギー
最近の研究では、磁性微粒子からなる溶液などでは、上記のヒステリシス損よりも磁気緩和の寄与の方が大きいと言われています。磁気緩和とは、磁性材料に磁場をかけた時に、瞬時に磁場方向へ磁化が向くことが出来ずに、遅れて徐々に磁化が揃っていく現象です。これも、揃っていく過程で磁化に力が加わりますので、磁気的な摩擦or溶液中で磁性粒子が回転する際に溶液との摩擦を起こして熱を発生します。
3.渦電流損失
これは、磁性材料に固有のものでは無いのですが、電気伝導性の有る材料に交流磁場をかけると、発電機の原理で磁場変化が材料中に電流を誘起します。この誘起電流は、当然材料の電気抵抗によって直ぐに消滅しますので、その過程で熱を発生します。マグネタイトナノ粒子では、このメカニズムの寄与は小さいと思われます。
この回答へのお礼
お礼日時:2009/07/07 21:30
良くわかりました。
生物化学系なのでまったく調べても意味がわからなくて。
幅広く物理の知識も身につけないといけませんね。
ありがとうございました。
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