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「雁」において、末造と玉を仲介した婆あさんは、
玉を囲う家に住んでいた婆あさん(=質屋の本店に引き取られた婆あさん)ということで良いのでしょうか。

この婆あさんが末造と玉の間を取り持つのを頑張り、
松源での最初の顔合わせの場にまで出てくる理由が不可解なのですが、
文脈上、貸家の婆あさんではないですし、どうも腑に落ちません。
読み違えや読み落としをご指摘頂けると嬉しいです。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/45224 …

A 回答 (1件)

仲介の婆さんは、それらの婆さんとは別個の婆さんではないですか、やはり。



婆さんが取り持に努めたのは、当然報酬のためで、末造が「紙に包んだ物を握らせ」たとの記述が「漆(七)」にあります。

松源での初顔合わせの場に出てくるのは次のように理解しています。
当時の愛人契約の過程では(遊女ではなく素人を妾にするときでも)、結婚同様に、この婆さんのような仲介者を立てる習慣があったのだろうと。

この婆さんについて説明が乏しいのは、仲介者以上の役割はないという設定もあるのでしょうが、事をまとめるにあたって、このような口利きは周知の存在だったからではないかと思います。


ちなみにライシャワーの『ザ・ジャパニーズ・トゥデイ』(P.173)にこうあります。

日本人は・・・・大幅に仲介者を活用します。微妙な取引においては、中立的な人間が双方の言い分を聞いて障害を避ける道を見出すか、さもなければ公然たる対立やいずれか一方の面子の失墜といった危険をおかすことなく交渉を終了させます。仲介者は、とくに結婚をととのえるに当って用いられます。こうして彼らは、他国における結婚までの過程で起こりがちな誇りや感情への打撃を未然に防ぐのです。

後にお玉の親爺は、末造に妻子のあることを知り、「目を大きくし」て「やっぱり媒人口だなあ」と末造ではなく仲介者の婆さんに対する不満をもらしています。
この小説では、親爺はひとり慨嘆しただけで苦情をどこに持ち込むわけではありませんが、こういった齟齬から苦情が持ち出された場合など、それらを吸収し、当事者同士の直接の対立を回避する役割――むろん意識されない習慣化された役割として――も仲介者は果たしていたと思います。

この回答への補足

早急な回答ありがとうございます。

すると、仲介の役割を果たしたのは貸家、質屋とは別の第3の婆あさんなのですね。

肆章の終わりに「人を以(もっ)て掛け合う」とあり、
ひょっとしてこの人こそ仲介者の婆あさんなのか、とも思っていたのですが、
如何せん、物語への登場が唐突で困惑しておりました。

仲介者に関する解説、大変参考になりました!
日本人がいったいに仲介者に頼るモノだとは、盲点でした。

補足日時:2009/07/21 21:11
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