No.2ベストアンサー
- 回答日時:
私も若い頃、ドストエフスキー等の作品に感激したことを覚えています。
いろいろ小説類を読んでいるうちに、モンテーニュの『随想録(エセー)』に辿り着き、ノンフィクションの古典の世界のもの凄さを知りました。モンテーニュのおかげでプルタルコスの『英雄伝』』やトゥキディデスの『戦史』、あるいは、40代以前には是非読んでおかなくては成らないヘロドトスの『歴史』等々を知るようになりました。これらギリシャ・ローマの古典的歴史書は、西洋では一人前の人間になるための必読の書と言われております。そう言う意味で、モンテーニュはギリシャ・ローマの古典の大変良い入門編として大変優れております。また、私は物理学を生業として来ましたが、モンテーニュは、あらゆる学問に必要な健全な懐疑的な物の見方を徹底的に教えてくれる点でも優れた本です。実は、彼の懐疑論はデカルトの出現を準備したことで、哲学界でもこの本は大変に重要な本なのです。人生の経験だけでなく、私が研究生活で繰り返し経験して来たことは、自然界も人間界も人間が自分の頭で前もってそのシナリオを想像できるほど単純には出来てはいないと言うことを知ったことでした。人生では、前もって想像もできなかった偶然の出来事や遭遇が、そして研究生活でも、前もって予測した方向よりも、その試行錯誤の過程で出て来た副産物の方が、私の人生や研究成果を決定的に変えてしまうと言うことを知ったのです。小説類のフィクションは、所詮人間の頭が想像出来ることが書かれておりますが、ノンフィクションの古典では、人間の想像能力を越えた経験が書かれておりますので、どんなに優れた小説家の書いた物でも及ばない高みに登っているというのが、私の独断と偏見による感想です。『眠れぬ夜のために』で良く知られているヒルティの書いた『幸福論』の中の「読書について」の中でも、原則として小説や新聞は読むなと言っております。新聞を読むと自分が人間として生まれて来たことが嫌になるからだそうです。私も、20代の中程からヒルティの言うことを実行して見ましたが、その結果、40代頃から、今度は小説を深刻なものとしてではなく、頭の疲れた時の単なる娯楽として読めるようになりました。また、そのような経験をしているうちに40才頃から、自然に明治以前の日本の古典にも目覚めるようになりました。
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa5374604.html
も見て下さい。小説の名著を何冊か読んでいるうちに、ノンフィクションの古典も試して見て下さい。参考になれば幸いです。
とてもそそられます。
ヒルティのいうことが僕はそれを読んだことがないのでわかりませんが、実行ということにも興味がわきます。
リンク先のご回答とあわせて何度も読ませていただきました。僕もあちらの質問者の方と同じ年ごろだったので、とてもためになりました。
モンテーニュ、ヘロトドス、トゥキディデス、プルタルコスのなかから古本屋で探してみます。
ご回答ありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
短編は短編ならではの魅力、長編は長編でしか味わうことのできない格別の楽しさがあります。
トーマス・マン自身も長編の魔魅に取り憑かれ、自分の処女作は何が何でも大ロマン(ここでロマンとは長編小説という意味で使っています)、と念じて書き上げたのが『ブッデンブローク家の人々』だったといいます。『魔の山』(原文では多分にファルス [笑劇] の傾向がうかがえるそうなんですが)とは、また趣きが異なって興味深いかもしれません。
ドストエフスキーにしても俗に五大長編といわれるもの、すなわち、お書きになった二つと『罪と罰』『悪霊』までは好まれても『未成年』は一般にあまり読まれていないようなので、この際そこまで目を通しておくとか。(この長編はかなり異なった視点から書かれています)
あと、中編小説の規模ですが、『地下室の手記』は機会があればぜひ読んでおかれるとよいでしょう。
色恋沙汰は二の次ともいうべきこの系統で、個人的に若い時に読んで心ひかれた小説を挙げさせてもらうと、リルケの『マルテの手記』、未完に終わったホフマンスタールの『アンドレアス』が思い浮かびます。
ヴィリエ・ド・リラダン『未来のイヴ』は反俗的、思弁的、アイロニカルな小説。齋藤磯雄の旧字旧かなによる翻訳も面白いところでした。カフカの『城』や『審判』はよく分からないながら気になったものの一つ。
童話ふうということで思いつくのはノヴァーリスの『青い花』(哲学系というべきかもしれません)。いったいにE.T.Aホフマンをはじめドイツ・ロマン派の小説はメルヘン感覚で楽しめます。
また、童話が価値が低いとみなすのでは決してない、むしろ逆かもしれないという意味において、ウォルター・デ・ラ・メアの「物語集」は私の好みです。シュペルヴィエルがいいという人も結構います。
音楽を扱った小説でいえば、これも詩人が書いた中編小説、メーリケの『旅の日のモーツァルト』。
フランスの百科全書派で音楽にも造詣の深かったディドロの『ラモーの甥』は一種の奇書で、音楽ファンならずとも一読の価値があると思います。
(余談。このディドロやJ.J.ルソーが絶賛してやまなかった作曲家がペルゴレージ。後年のモーツァルトと比肩されるほどの才能だったとwikiにあり、短命だったモーツァルトよりさらに短命でした。J.S.バッハは西洋音楽における、おそらく至高の作曲家。そしてモーツァルトは最良の作曲家だったと感じ入るのですが、いかがでしょうか)
ギリシア神話で一等有名なところといえばオウィディウスの『転身譜(変身物語)』。けれどもいまだに読みとおしたことがありません。ところどころ拾い読みの状態です。
いっぱい挫折しているもののうちでも、ローレンス・スターン『トリストラム・シャンディ』は、そのうち読み切りたい小説の一つです。
最後に。フィクションかノンフィクションか。役割が違うんでしょうね。
ちょうど、政治と経済とが密接に関連しあいながら、その役割が異なっていることと同じことです。
ノンフィクションのフィクションに対する優位性は立花隆など、ジャーナリストの論法によく見かけます。自分が根拠と確信をもって選び成果も上げたノンフィクションというジャンルが不当に等閑視されていることへの憤懣もあるのでしょう。そしてそれにはもっともなところがあります。
われわれは「小説」という、せいぜい18世紀以降の西洋で発達した一文芸ジャンルを偏愛しすぎているのかもしれません。
もっとも、こうした反省、客観視は心ある人ならみな留意していることです。
最近、講談社からムックで、いまやジャーナリズム界の中心となりつつある佐藤優編集による『ノンフィクションと教養』という一冊が出ています。のべ1,000冊、正味800冊のノンフィクションの名作古典が紹介されています。ご参考まで。
日本のことに一言も触れなかったので、和歌一首に代表してもらって締めくくることにします。
淡海(あふみ)の海、夕浪千鳥、汝が鳴けば、心も萎(しの)に古(いにしへ)思ほゆ 柿本人麻呂
千三百年経った今でも美しい調べに聞こえます。
マン・ドストエフスキーの教えていただいた題名を探してみます。この際作品すべてを将来網羅したいと思います。
リルケ、ホフマンスタール、ヴィリエ・ド・リラダン、カフカはすべて読んだことがないので楽しみにして探してみます。
青い花は一度読みました。童話は好きなので「物語集」も遅からず手に入れたくおもいます。
jpラモーは私のお気に入りの作曲家ですのでそのディドロのラモーの甥はぜひとも読みます。
ペルゴレージはあまり回を重ね聴いたことがないです、彼の他の作品をも聴いてみたいと思います。JSバッハ・モーツァルトの意見には心からの共感を持ちます。
事実か創作かという点では 私は自分の興味のあるものをただ選んでいただけなので、あまり関心を持ったことがなかったです。
ギリシア神話や新約聖書などは史実創作それら二つの折衷に思えますが、これらの意義は今に至るまでおおいにあったと思います。また創作も少ながらずなんらかの事実を含み、史実は創作の作用によって変わってきたのではないかと思います。ぼくがなんとなく思ったことです、無教養なぼくの意見など耳も腐ってしまうだろうとおもいます、ごめんなさい・・
佐藤優のその本を買って そこから色々学べたらとおもいます。
綺麗な詩ですね、夕浪千鳥とはなんでしょうか。いつか詩を理解できるようになるのでしょうか・・
ご回答ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
マン、ドストエフスキーなど西洋文學の中でも王道と目される作品類がお好きならば、それを極める方向性でたくさんの書籍があると思います。
世界文学全集をひもとけば、多少の当たり外れはあっても、楽しめるでしょう。
もっと極めるというか、源泉を味わうという意味で、聖書できればBibleは、欠かせないと思います。
宗教としてのキリスト教には、興味のない日本人が読んでも、十分面白く、楽しめるのは、創世記、詩編、新約、くらいかもしれませんが、私たち日本人には、観念哲学にしか見えないものが、著者たちにとっては、生活哲学だったわけですから、本来は先に読んでいたほうが良いのでしょう。
聖書は、読み進めるに従って、意味不明の箇所が多くていらいらしますから、そういうときには、Bibleの同じ箇所を参考にすると、簡単に理解できます。英語力等があるなら、はじめから日本語でないもののほうが、分かりやすいです。
他に中国古典、日本の古典も欠かせないと思います。
中国の古典は、西洋文学とはまったくストーリー展開等が違って、滅茶苦茶楽しい。中国古典文学全集の中からアトランダムに選んでも、簡単な解説から興味を持てそうなものをセレクトしても良いと思います。
日本の古典は、源氏物語や伊勢物語などの王朝文学も頂点の一つでしょうが、万葉集にたどりつく、古今集、新古今集などの和歌集の中には、一生忘れられなくなる「一首」が、あなたを待っているかもしれません。
入門編として、百人一首とその解説本や、芭蕉の奥の細道などから入ると、分かりやすいと思います。
あなたが、きっと若い人だと思うので、全体的に上から目線で書いていますが、もしかしたら失礼かもしれません。
互いに正体不明ですから、ご了解ください。
聖書は新共同訳の新約、カトリックの解説の本、その祈りの本などを読んでいました。Bibleとはなんでしょうか?英語力は駄目です、お勧めしていただいたのに申し訳なく思います。
今度は旧約にも目を通してみます。
中国の古典も見てみたくなりました。中国古典文学全集というものを探して見たいと思います。
私のような若輩者にもご丁寧に教えてくださりとても感謝しております。ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
マンやドストエフスキーなど,難しいものを読まれるのなら大抵のものは大丈夫だと思いますが、
同じ作家の作品ではやはり有名な「罪と罰」、彼の処女作「貧しき人々」がお勧めです。
http://digi-log.blogspot.com/2008/02/blog-post_0 …
http://www.mcg-j.org/mcgtext/bungaku/russia/russ …
トーマスマンは「ヴェニスに死す」を読みましたが,何ともやりきれない気持ちにさせられる哀愁ただよう小説です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A7% …
でも、私が一番お進めしたいのは,ヘルマンヘッセの「知と愛」です。
原題は「ナルチスとゴルトムント」
正に,知に生きる人と愛に生きる人の一生を貫いて続く友情の物語です。
これは今まで何度読んでも同じところでは感動と涙無しにはいられない作品でした。
人間の生の問題,死の問題を考えるとき,是非とも読まなければならない書物だと言う気がします。
以上、独断でいくつか挙げさせていただきました。
ご回答ありがとうございます。
罪と罰を見つけてドストエフスキーをもっと知りたいと思います。
マンのヴェニスに死すは読んだことがあり、魔の山とは違った意味で好きでした。
ヘッセのその作品を最初に探してみたいと思います。
ありがとうございました。
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