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これが私の優しさです   谷川俊太郎

 窓の外の若葉について考えていいですか
 そのむこうの青空について考えても?
 永遠と虚無について考えていいですか
 あなたが死にかけているときに

 あなたが死にかけているときに
 あなたについて考えないでいいですか
 あなたから遠く遠くはなれて
 生きている恋人のことを考えても?

 それがあなたを考えることにつながる
 とそう信じてもいいですか
 それほど強くなっていいですか
 あなたのおかげで

あなたとは?優しさとは?

A 回答 (3件)

これが私の解釈です。



まず、なんともはや、身も蓋もないことだ!と思いました。
これが詩、これも詩、こんな詩もあるんだ、あっていいんだ、なんて哲学してる詩だろうか。
仮借のない、容赦のない、辛辣なまでに目を逸らさない。
さすがの谷川氏、と言っても、ほとんど知らないんですが;^^A
サワヤカなる毒、とでも申しましょうか。

ふつう、人前で、しかも本当に死にかけの人の前で、こんなこと言っちゃったら、間違いなく嫌われるでしょうねえ。叱られるでしょうねえ。ひっぱたかれるかも知れませんねえ。
でも、真実なんですねえ。本当のことを、恥ずかしげもなく、アカラサマに言う人は嫌われるんですねえ。え、谷川氏は嫌われてない。敬愛されている。それは、谷川氏だからです。私のような凡人がのたまうと、思いっきし憎まれます。でも、言っちゃったりして。


♪ボクらは みんな、生きている~生きているから楽しいんだ~
アナタは ひとり、死んでゆく~それはボクのことぢゃない~♪
ああ、、、

たとえば、友人の付き添いで病院に行って、待合室で長時間、待っているときなんか、「あー、早く済ませて、喫茶店入って、ケーキと紅茶かコーヒーで、いつものように しゃべりまくってから帰りたいなあー。きょうの夕食に、デパ地下名物の豪華弁当を奮発して買って帰ろうか、そのほうがラクだ」などと、あたまのなかは、友人の病状そっちのけだったりして。

さきの回答者さまの御意見にもあるようですが(と思いますが)、死ぬとこまでいかなくても、ちょっと痛い苦しい病気してみたら、じき分かりますって。いや、単に、すごく暑い寒いだけでも、それは、そこにいる皆も そうなのに、なんだか自分だけが暑い、あるいは寒い思いを特別しているように感じませんか。だから、同じようにブルブル震えている人の上着を、「おい、こっちに寄こせ」と剥ぎ取って自分が、ぬくぬく着込んだりね。あさましいですねえ~。

ですから、たとえば、自分を産み育ててくれた、かけがえのない母親が、目の前で息を引き取ろうとしているというときに、不埒にも、窓の外の若葉やら青空に思いが飛んで行き、そうかと思えば「永遠と虚無」なんて、えらく難しそうなことをモッタイブッて哲学してみたり、しまいに可愛いカノジョを思い浮かべて、うう、早く会いてえ、なんて、場にふさわしからざるケシカラン思いに耽ったりするの、朝飯前なんですねえ。

おかあさんは、その死にかけてる人は、それ知ってカッと目を見開き、恨めしそうな視線を向けるでしょうか。「薄情だねえ、お前は」と呟くでしょうか。
それとも、苦笑するでしょうか。「いいよ、いいよ」と微笑むでしょうか。


かけがえのない大事な人が死にかけているとき、私は、自分の悲しみだけでいっぱいでした。
ただ、死にゆく人の胸元に、小さい子どもみたいに、とりすがっていました。置いていかないで、と。


それからしばらくして、お通夜の晩に、突然、空腹を覚えました。考えてみれば、まる一日、何も食べても飲んでもいなかったのでした。そばにいた近所の女性が急いでサンドイッチを買ってきてくれて、私は、それをポソポソ食べながら言いました。「人間て、こんなときにも、おなか、すくんですねえ」
近所の人は、「そうよ!」と言いました。力強い声でした。
また別の女性は言いました。
「息子が急に死んだときね、何が何だか無我夢中だったけど、あるとき、ふっと、寒いな、と思ったの。そのとき、あ、わたし、まだ寒さを感じられるんだ、と驚いたわ」


男性は、ある年齢に達すると、身内の女性に対して、一種の冷淡さが備わる人が多いように聞くことがあります。
また、女性よりも理屈を好む人が多いとか。これは、私の感じることとは、また違いますけども。
案外、直視を怖れてるだけだったりして。まともに見たら、壊れそうなんだもん、ボク。
谷川氏は男性ですし、女性である私とは、そのぶん、感覚が異なるのかもしれないですが。


~それがあなたを考えることにつながる
 とそう信じてもいいですか
 それほど強くなっていいですか
 あなたのおかげで~


そうしてみると、「強くなって」、というあたり、なんだか、牽強付会の「強」じゃないの?という感じがしないでもない。つまり、コジツケだろ?だから信じるしかないってか。
いいですかぁ、って。あなたのおかげで、って言われてもね。ニヤニヤしながらね。
イヤミな人ですなあ、
という感じがしないでもない。
悪く とり過ぎなんだろうか。。。


ああ、いいんだよ、それで。死にゆく 私の前で、これからも生きていくはずの あなたは、生の道々、出会う事どもに、子どものように、あたまがいっぱいで。
そうあってこそ、私を安心して旅立たせてください。


薄情不肖者ですから、飛んで行きたいところへ思い飛んで行く。
さんざ飛び回って着地して、最後の最後に言い訳みたいに、
それがあなたを考えることにつながる、でしょ、って。でしょ、って。
強くなっていい?って、それは、開き直りというものぢゃないでしょか。
あなたのおかげです、って言われてもな。
嬉しくないぞ、こら。


いえいえ、こんな私、あなたのおかげなんですから。
最後になって、それでも なんとか、まとめてみましたよ、あなたに もらった私の優しさ。

喜んで許してくれますよね、あなたの優しさは。



(この解釈は、あくまで回答者個人のものであり、実際の作者ご本人とは一切関係ありません。すびばせん)
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場面は病室。


あなたは死にかけている人。

「若葉、青空、(永遠と虚無)、生きている恋人」
は今あなたに起きつつある「死」とは逆のイメージを持つもの。簡単に、生のイメージとしましょうか。
(永遠と虚無については掘り下げる必要あり。)

死にかけている人を前に、死ではなく生を考えることは、死がまさしく生を教えてくれる(際立たせる)からである。
回りまわって、生を考えることが、死を考えることにも繋がるはずだ。
死にそうなあなたが、私に生を考えさせ、私はそれは、回りまわってあなたの死を考えることに繋がると信じようとしている。
あなたのおかげで、私はそれほど強くなろうとしている。

死を前にしてあなたの死を考えないこと、生を考えることであなたを考えることが、私の優しさです。

前回答者さんのおっしゃるとおり、冷たいかもしれないけど、あなたが私を強くしてくれたから、私はこれを優しさだと思えるのでしょう。
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もとより、さまざまな解釈があると思います。

以下、私なりに。ご参考まで。

「窓の外の若葉」と「そのむこうの青空」から自然に連想されるのは、これは昼間の病室ではないかということです。
したがって「あなた」とはその病室のベッドに横たわる人。命の尽きるのが旦夕に迫っている人。
語り手は傍にいます。

病人の状態は二通り考えられます。
一つは今は小康を得て眠っている状態。しばしの安寧にまどろんでいます。
もう一つは病人はひょっとして危篤状態にあるのかもしれません。そうするとこれはきわめて劇的な場面になります。

語り手は「あなた」の横顔を見つめて、もうすぐ亡くなるのだと感じたり、窓の外を眺めたり、ほかのことを考えたりしています。
そしてそうした、直接に「あなたについて考えない」ことであっても、めぐりめぐっては「それがあなたを考えることにつながる」と、そう信じたい。
つまり、近しい人の厳粛な死を真正面から受け止めようとはしていないかのようであるけれども、「あなたのおかげで」、あなたをきっかけとして強くなった私は、もはやそういうことに捕われなくなったのだ。そう信じてもいいですか。

なぜなら、この期に及んでさえ、あなたのことを私は私の頭の中に100パーセント一杯にすることができないのです。私は薄情でしょうか。薄情かもしれません。そして「これが私の優しさ」なんです、優しさの限界なんです。こう言っているように聞こえます。

谷川俊太郎は、あるいは世間で信じられているかもしれないようには、人類愛とか友愛とかそうしたものを開放弦でうたう詩人ではありません。主観に任せた19世紀ロマンチシズムの詩人ではなく、まぎれもなく現代の表現者ですから、ある部分、きわめて冷めています。

「死ぬのはいつも他人」とうそぶいたのは20世紀アートに最大の衝撃を与えたマルセル・デュシャンでした。
谷川氏もパウル・クレーの『死と炎』という絵に、こんな詩をつけています。最初の四行だけ引きます。

 かわりにしんでくれるひとがいないので
 わたしはじぶんでしなねばならない
 だれのほねでもない
 わたしはわたしのほねになる

どれほど近しい人であれ、死ぬのは自分ではないのです。
おそらく自分が死ぬ時ほどに自分の身になることができない。
これは冷酷すぎる現実です。切なく苦い認識です。
谷川氏はそこのところを、一見さわやかに表現しているのだと思います。
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