
ボルタの電池でなぜ電子が負極のZnのところではなく正極のCuのところでH+と結びつくのか疑問に思っています。
過去のQ&A(1554515)の回答2にかなりわかりやすい説明がありました。それによると、「素材により、電子をH+に移しやすいものとそうでないものがあり、CuのほうがZnより電子をH+に移しやすいのでCuのところで反応が起こる(CuのほうがZnより水素過電圧が小さい)」旨の説明です。
ということは、負極Zn、水溶液H2SO4でボルタ形電池を作る際の正極の素材は、(1)Hよりも陽イオン化傾向の小さい、(2)Znより電子をH+に移しやすい(水素化電圧が小さい)、という要件を満たす必要があると考えてよろしいでしょうか。たとえば、正極にHgを用いた場合、(1)の要件は満たすが、(2)の要件は満たさないので電流は流れないという理解でよろしいでしょうか。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
(1)接続していない銅板と亜鉛板を希硫酸の中に浸けます。
亜鉛板の方から泡が出ます。銅板の方からは泡は出ません。
(2)その状態で亜鉛板と銅板を導線でつなぎます。
泡は両方から出るようになります。
金属の内部では同じ電位ですから両方から出ていいのです。
亜鉛板の表面と銅板の表面でいくらか出易さがが異なります。過電圧という言葉を使っておられますね。過電圧の違いはありますが過電圧の大きい亜鉛板からはまったく出なくなるというものではありません。接続した状態と接続していない状態を比較しているので泡の出方に違いがあるということがわかりますが、(2)しか見ていないのであれば、「どちらからも同じように出ている」としか思わないようなレベルの泡の出方です。(亜鉛からは泡が出なくなるとしている回答が多いように思います。でもそういうことはありません。)
接続した状態で出る泡の合計は接続していないときの亜鉛板の表面から出る泡よりも多いです。H^+に電子が渡される反応の場が広がることによる効果があります。亜鉛が溶ける場所と水素が発生する場所の分離による効果もあります。そのときに過電圧が異なるということも効いてきます。これは希硫酸の中に亜鉛粒を入れた時の水素の発生よりもそれに硫酸銅水溶液を添加したときの水素の発生のほうが激しい(この違いははっきりとわかります)ということから推測されることです。
昔は亜鉛の表面に水銀を塗るというのが行われていました。銅板の表面からの泡の出方が強くなります。この違いもはっきりわかります。でも亜鉛の表面から泡が出なくなるというわけではありません。
亜鉛板ではなくて銅板の方に水銀を塗るとどうなるでしょう。
こういうことはやったことがありません。わざわざ電池としての性能を悪くする方向のことをやるのですから普通はやらないことです。
推測です。
水素の発生は悪くなるでしょうがやはり見てわかる程度には泡が出るでしょう。反応の場の分離という効果はこの場合でも期待できます。とにかくどの場合にも亜鉛はどんどん溶けていっているのですから。
この回答への補足
(1)亜鉛板上でも銅板上でも水素は発生するが、銅板上のほうが水素が発生しやすいという理解でよろしいでしょうか。
(2)亜鉛板上での水素の発生を抑えるために水銀を塗るとありますが、単純に考えると、亜鉛の表面を水銀で覆うと、亜鉛と硫酸の接触がなくなり、Zn→Zn^2+という反応が起こらなくなるのではないのでしょうか。高校化学のレベルで電池を理解するうえでこだわるところではないのかもしれませんが、ご説明していただければありがたいです。
No.3
- 回答日時:
ボルタ電池は性能があまりよくありません。
電圧も安定しません。
水素が発生することでの分極の問題もありますが硫酸の中に亜鉛を入れるということでの自己放電(銅板があることによってはじめて起こる反応ではなくて亜鉛と硫酸の直接反応)も効率が悪い原因です。
ダニエル電池が教科書に載っていると思います。
Zn→Zn^(2+)+2e^(-)
Cu^(2+)+2e^(-)→Cu
の反応の組み合わせです。水素の発生はありません。
隔壁で反応を分離します。
ただこの隔壁には小さな穴があいています。この穴がなければイオンの拡散が起こらなくなりますから電価の中性という条件が満たされなくなります。
隔壁に穴があいていますので銅電極のある側にある銅イオンがゆっくりと亜鉛板の表面まで来て直接反応をしてしまいます。これは避けようがありません。しばらく使うと赤い銅の膜が亜鉛板の表面に付着しているのがわかるようになります。
ビーカーに希硫酸を入れて銅版と亜鉛板でボルタ電池を作ったものでソーラーモーターを回します。1時間回すことは無理です。
銅板と硫酸銅、亜鉛板と硫酸亜鉛(食塩水でもかまいません)でダニエル電池を作ってモーターをつなぎます。半日は十分に回っています。
まったく性能が違います。
安定した電流を取り出せるようになって初めて電流、電圧の関係のような定量的な実験が可能になったのです。
ダニエル電池1つ分、2つ分という風に電圧を考えることができます。
1D,2D、・・・と言えばいいと思うのですが最初の電池を作ったボルタの名前にちなんで1V,2V、・・・という呼び方をしています。
ダニエル電池の起電力は1Vです。
ダニエル電池とボルタ電池では反応が異なります。
でも当時はダニエル電池はボルタ電池の改良型という受け取り方だったようです。溶液と電極の組み合わせで電池の反応が決まるのですが当時は電極の種類だけで電池が決まると考えていたからでしょう。
現在でも電極の種類だけが問題であるという理解の仕方をしている人がいるようです。「イオン化傾向の異なる2つの金属と電解質溶液で電池ができる」という文章がそれに当てはまります。
両方とも炭素電極で溶液の種類が異なる場合でも電池になります。
酸化・還元反応が起こる組み合わせであればいいのです。
電池は「酸化・還元反応において移動する電子を外部回路に取り出して利用する装置である」という理解のほうがいいです。
外部回路に取り出す効率をよくするためには直接反応をできるだけ禁止しなくてはいけません。
教科書に出てくる鉛蓄電池は2枚の鉛板を硫酸の中に浸けるだけでできます。つけた段階で表面に不溶性のPBSO4ができます。
これを電源につないで電流を流すと片方がPb他方がPbO2になります。これで電池になります。こういう変化を起こさせる操作を充電と言っています。モーターにつないで放電させるとPbもPbO2もPbSO4に変わります。
No.2
- 回答日時:
>亜鉛の表面を水銀で覆うと、亜鉛と硫酸の接触がなくなり、Zn→Zn^2+という反応が起こらなくなるのではないのでしょうか
説明を省いていましたので質問が出るのではないかと思っていました。
水銀は液体です。液体金属に金属はよく溶けます。
亜鉛は表面の水銀に溶けていきます。亜鉛の水銀溶液です。液体状の合金ができていると考えてもいいでしょう。(アマルガムという言葉を聞いたことはありませんか。)
硫酸の溶けた水溶液と亜鉛の溶けた水銀溶液が接触していると考えてください。水銀は反応しませんが亜鉛は反応します。
以前の乾電池には水銀が使われていました。
その理由のひとつが水銀を塗ることで自己放電が抑えられるという効果です。
#1に書いてあることは高等学校の化学の実験書に載っていたことのあるものです。
私も何回か高校の授業でやっています。
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